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関東についに到来!神奈川を襲う『ナラ枯れ』

森本毅郎 スタンバイ!

今、全国で被害が拡大している森林の「ナラ枯れ」について、10月1日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201001073758

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

以前、「ナラ枯れ」の被害が大阪で拡大しているという話を、4年ほど前に番組で取り上げたことがありましたが、当時「今後、要注意!」と名指しされていたのが関東での被害でした。

そしてついに今年、大きな被害が関東、特に神奈川で報告されています。いま何が起きているのか、神奈川県庁水源環境保全課の今野次郎さんに聞きました。

★季節外れの紅葉?いえ、「ナラ枯れ」です

神奈川県庁・水源環境保全課 今野次郎さん
神奈川県では、木の緑が一番濃い8〜9月にかけて、急に木が枯れてしまうという現象が起きている。よく見られるのは、緑が広がっている中に赤い木が点々と見える。(紅葉ではない?)枯れている木です。これは「ナラ枯れ」という現象で、昨年までも、夏場に木が赤くなっていて何だろうと問い合わせが来ることもあったが、今年は連日かなりの量の情報を頂いている。ちょうど昨日、横浜横須道路を仕事で走ったが、道の両脇の森林が、かなり枯れているのを見かけた。
森本毅郎スタンバイ!

ナラ枯れ(出典:神奈川県の広報資料)

「ナラ枯れ」は、コナラやミズナラなどのナラ類や、カシ類の広葉樹に見られる木の病気。「カシノナガキクイムシ」という虫が大量にやってきて、その影響で木を枯らしてしまいます。

神奈川県内では、3年前に初めてナラ枯れの被害が報告されて、当時、横須賀市、鎌倉市、三浦市、相模原市、箱根町の5つの自治体で、被害が確認されていました。

それが年々拡大し、直近の調査では、横浜、逗子、茅ヶ崎、川崎、厚木、伊勢原市など、15の市と、6の町で、被害が報告。被害面積も、この3年で、約5倍の13ヘクタールにまで拡大。実に東京ドーム3個分の木々が神奈川県内で枯れている状況です。

でも、木が枯れて何が問題?とも思ったんですが、まず、景観の悪化が指摘されています。今回いくつかの自治体に問い合わせてみたところ、「紅葉シーズンに人が来なくなる」という風評被害を懸念し、取材拒否のところも…(GOTOトラベルでナーバスに?)。また、ナラ枯れは、大木から枯れるという特徴もあるので、保水力のある木が一気に大量に枯れると、 土砂災害につながる可能性も心配されています。

★高くつく対策費用。枯れっぱなしの森多数

では、どうすれば良いのか?改めて、ナラ枯れの仕組みと対策について聞きました。神奈川県藤沢市にある、株式会社湘南グリーンサービスの樹木医、関隆夫さん。

株式会社湘南グリーンサービス・樹木医 関隆夫さん
原因は「ナラ菌」というカビの一種。それが木の中に発生して木を枯らす。カシノナガキクイムシという虫によって運ばれたカビが木の中で増殖し、木の中の水の通る機能を詰まらせて、一週間もしないうちに木が枯れる。3年前以前は、神奈川県ではほとんど事例がなかったので、予防のために殺菌剤を直注入しようという人は少なかった。でも今年非常に多くなってきたので、どうしても枯らしたくない木とかに、慌てて殺菌剤を入れるようとしている状況。
森本毅郎スタンバイ!

「カシノナガキクイムシ」とは(出典:神奈川県の広報資料)

体長5ミリの、カシノナガキクイムが木に穴を開け、木の内部に「ナラ菌」が持ち込まれます。すると、幹の中の水を吸い上げる「パイプ」を詰まらせてしまいます。普通、木が枯れるときは、葉っぱが黄色→茶色→落ちて徐々に枯れていくという時間をたどるが、ナラ枯れは、水分補給ができない状態なので、20メートル近くある木でも、あっという間に枯れるそうです。

殺虫や殺菌したり、起きる前の予防接種など、いくつか対策はあるそうですが、薬剤費や人件費を合わせると、ざっくり1本、1万円。これが、木の本数分かかってくるので、それなりの金額です。

関さんの担当案件でも、直径1メートルクラスの木、60本に対策を施したいと言うお客さんがいるそうですが、見積もりが80万円ということで検討中。

しかも、民家に近くて倒木の危険性があるようなところだと、伐採も必要になってきますが、伐採には、1本ざっと10万円かかるそうなので、実態は、特に所有者が民間人の場合は、放置しているケースが大多数のようです。

★「木を成長させすぎない」管理が大事

今年は特に、気象の影響でカシノナガキクイムシも数が多いるようですが、ここ数年、全国的にナラ枯れが広がっているのにはこんな背景がありました。

株式会社湘南グリーンサービス・樹木医 関隆夫さん
元々、コナラやカシの木類(どんぐりができる木)は、人の手によって植えられた。燃料目的。墨を作ったり薪を使ったり、直径10センチ位になると全部切って、切り株を残して次の世代が出るので、そういう風に人間の手で育ててた。でも、薪や墨を使わなくなってしまい、山の中で放置。かなり大きく育ったために、大きくなった木を好むカシノナガキクイムシによって侵食されている。なので、定期的に太くならないように里山の森を管理すれば、カシナガの被害は抑えられる。なかなかでも現実的ではない。山を誰が管理するのか、高齢化など難しい問題。
森本毅郎スタンバイ!

湘南グリーンサービス(藤沢市)の樹木医、関さんにお話を聞きました

この話、スギ花粉の状況と似ています。昔たくさん植えた杉の木が、いま多くの人を花粉症に悩ませる原因に。それと同じように、山林が活用されなくなり人の手が入らなくなった結果、ナラ枯れが起きているという似たような背景があります。県としても、一昨年から、薬剤の使用などに一部補助金を設けてはいるものの(※)、やはり処置を施す所有者はごくわずか。県としても、頭を抱えているようです。

※神奈川県の補助制度について
森林所有者が補助金を活用するためには、事前に市町村と連絡調整していただく必要がありますなお、県の補助事業を活用していない市町村もありますので、ご注意ください。詳しくは、「神奈川県 環境農政局 緑政部水源環境保全課」までお問い合わせください、ということでした。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!