TBSラジオで放送中の「ACTION」。水曜パーソナリティは、Creepy NutsのDJ松永さん。
9月16日(水)のゲストは、動物行動学者の新宅広二さん。新宅さんは今年6月に『動物たちのハローワーク』というご本を出されています。今日は新宅さんから、動物の行動や習性を職業に分けたらどうなるのかをDJ松永さんがお伺いしました。
ハダカデバネズミは総合商社
新宅:面白いのは、哺乳類なのにミツバチと同じ社会構造なんです。どういうことかというと、群れのなかに子供を作らない個体がいて、それが女王のために一生を尽くすんです。
松永:本当にミツバチだ!じゃあ女王バチみたいな存在もいるんですか?
新宅:女王デバネズミもいますね。
幸坂:それは見た目に特徴はあるんですか?
新宅:大きいですね。
松永:本当にミツバチと一緒ですね!
新宅:そして女王が通ると、全員ひっくり返って敬礼するんですよ。
松永:敬礼の仕方がひっくり返るんですね、かわいい!
新宅:それでおしっこをかけられるんですが…。
松永:散々な扱いだ(笑)ミツバチはハチの巣がありますが、ハダカデバネズミはどうですか?
新宅:モグラみたいに土の中で生活していて、それぞれ子育てする部屋やおトイレの部屋が分かれています。
松永:ちょっと人間っぽくもありますね。
新宅:面白いのが人間みたいに分業しているんですよね。たとえばお布団係というのがあって、赤ちゃんたちを自分の肌でお布団の代わりに温めてあげるんです。
松永・幸坂:かわいい~!
新宅:ほかにもお掃除や育児、食べ物を取ってくることや女王の身体をきれいにするなど分業しているんですね。
松永:女王みたいな大きい個体が産まれるのはなぜですか?
新宅:女王は子供を産むことが仕事なので、産みやすい環境を産まない個体がサポートするためというのはありますね。
松永:その女王が産んだ個体のなかに次の女王がいるんですね。
新宅:そうですね。で、かけるおしっこのなかに赤ちゃんが産めなくなるフェロモンが含まれているので、それをかけられた個体は妊娠しないようになっているんです。そういうシステムで成り立っていて、女王がいなくなるとそのフェロモンの魔法が解けて、次の女王が出てくるんです。
幸坂:掃除係が終わったら昇給みたいなことってあるんですか?
新宅:役割が年齢や経験などで少し変わってくることもあります。
松永:本当に人間みたいだ…!なんでそうなるんですか?
新宅:それはダーウィンの時代からのずっと謎で。「子供を残すために生きているのでは?」という仮定はあったんですが、どうやらそうじゃないらしいと今はなっていますね。
アネハヅルは登山隊
新宅:こちらはツルのなかで一番小型の部類ですね。そして渡り鳥なので、かなりの距離を移動します。特にアネハヅルはエベレストを超える鳥の代表的な存在です。
松永:じゃあ相当な高さを飛びますよね?
新宅:エベレストは8000mなので、それ以上ですね。ジェット機の航路の高さで、酸素もほぼないです。
松永:なんでそんなところを飛べるんですか?
新宅:鳥は呼吸の循環器が哺乳類と違っていて、特殊な機能をたくさん持っているんです。そのなかでもアネハヅルは特に高いところ飛ぶ一種ですね。
幸坂:強風に煽られますもんね。
新宅:強風もそうですし、気温もマイナス40度ぐらいで、酸素も地上の何分の1しかないですよね。
松永:生き物として強すぎますよね。
新宅:最強だと思いますよ。あとアネハヅルを登山隊だと思うのはメンタルの部分です。ヒマラヤもエベレストを超えなくても、横を抜ければ移動はできるんです。でも何万年も山を超えてきたんです。それを皆で励まし合ってやるんです。
松永:群れて飛行するんですね。
新宅:そうですね。たとえばその年に産まれた雛鳥のデビュー戦とかで。
松永:デビューでエベレスト!過酷だわぁ~。
新宅:そこで当然脱落者も出るんですけど、絶対に脱落者を出さないために全員で引き返して、全員が超えるまで何回もチャレンジするんです。
松永:「One for All, All for One」ですね!
新宅:そのときも編隊飛行というVの字型で飛んで、先頭を交代しながら皆で鳴き合って、「皆大丈夫か~!」と声を出し合っていて、あれは熱いものがありますね。
松永:それはグッと来ますね!ドキュメントで追っかけてほしいけど、カメラを撮るほうも命懸けだ(笑)
新宅:そんなことまでして山を超えることを今までやめずに続けていて、しかも自分だけじゃなくて皆で乗り越えるところにぐっと来ますね。
引き続き、職業別の動物の習性についてお話を伺いました。GUEST ACTION全編はradikoのタイムフリーで。