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おすすめラジオクラウド 荻上チキ「大坂なおみ二度目の全米オープン制覇」

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こんにちは。文字起こし職人のみやーんです。僕が選んだラジオクラウドのおすすめコンテンツを紹介するコーナーの第78回目。今回は『荻上チキ Session-22』の中から「大坂なおみ二度目の全米オープン制覇」をご紹介します。


南部広美:「大坂なおみ選手、テニス殿堂入りの資格を獲得」。テニスの四大大会、全米オープンの女子シングルスで逆転で2年ぶり2回目の優勝を果たした大坂なおみ選手が女子テニスの14日付の世界ランキングで9位から3位に浮上しました。また国際テニスの殿堂入りの候補になる条件を満たし、現役を引退してから5年後に資格が発生し、最終的に投票で決まることになります。

今回の大会中、大坂選手はアフリカ系アメリカ人暴行死事件などの人種差別に抗議し、1回戦からの7試合でそれぞれ異なる事件の被害者の名前が入ったマスクを着用したことでも関心を集め、優勝後のインタビューではマスクに込めた思いを聞かれ、「あなたが受け取ったメッセージは何でしたか? その方が重要な問題です」と強調しました。

一方、全米オープン車椅子の部は13日、男子シングルスの決勝が行われ、国枝慎吾選手が5年ぶり7回目の優勝を果たしたほか、女子ダブルス決勝では上地結衣選手とイギリスのジョーダン・ホワイリー選手のペアが2年ぶり3回目の優勝を飾っています。

荻上チキ:大坂選手の優勝、すごかったですね。

南部広美:本当に。胸が熱くなりましたね。

荻上チキ:見ることのできるスポーツって人によって違うと思うんですけど。ルールを知ってるとかね、昔やってたとか。僕、小中学校の時、テニススクールに通っていて。楽しかったんです。部活ではなくて、スクールに通っていたので。

南部広美:本格的じゃないですか。

荻上チキ:大人たちにまぎれて。いろいろルールの説明から練習……さまざまなフォームの練習までしていたので、とても楽しい記憶があるんですけれども。なのでそのテニスもあの試合を……大会などをひとつひとつ追いかけていくということはしていないんですが。時折、放送している試合なんかも眺めていたりすると「すごいな」って見入ってしまいますよね。そのパワフルさとテクニカルな様に。で、今回大坂選手のその気迫がすごかったじゃないですか。

南部広美:本当、そうでした。

荻上チキ:そしてその前後のさまざまなインタビューの模様、あるいは振る舞いなどもすべてが注目をされていましたよね。で、時代的、社会的な背景として一体何を言うのか、どのように振る舞うのかということも注目をされていった中で、何でしょうね? 有言実行というか。その言葉と行動を共にするようなアクションというものがここまで発揮されるんだなっていうことも思ったりしました。

で、こういったある種のパフォーマンス……「パフォーマンス」って否定的な意味で言う人もいますけれども。パフォーマンスというのはまず、非常にフラットな言葉で。そのパフォーマンスを通じて、何かを訴え、何かを問いかけるというのは社会運動の中ではとても重要なものになるんですよね。で、訴えることだけではなくて、問いかけたものというのがとても重要だと思っていて。その中で、日本のメディアとか、記者とか、スポンサーとか、そうしたもののリアクションのあり方などについて、やっぱり大きく考えさせられるようなところがありましたよね。

たとえば、いくつか似たような反応というのがあって。「テニスプレーヤーはテニスだけしていればいいんだ」という風に言わんばかりの……というか、そう言ってるような記事みたいなものもいくつか出てきたりしたわけですよね。そういったような発言をする人はその「政治性」の範囲というものを自分が好ましいもの以外のところにだけに狭めてしまっているようなところがあるわけです。

たとえば「優勝して国歌を歌う」とか、あるいはさまざまなインタビューの中で「こういったもので応援してくれた人々にこう誇りを持ってほしい」とか「ありがとう」と述べるとか。そうしたことの全てが「政治」なんですよね。何に対してどんなメッセージを発するのか。政治性がないメッセージなんて存在しないわけですよ。

しかしながら、ある種の政治性だけ敏感に反応して「それをやるべきではない」という風に言うということは、その時点で「その政治パフォーマンスに対して私は否定的ですよ」っていう風にカミングアウトしているような、自首してるような。

南部広美:表明しているような。

荻上チキ:そうしたようなことになってしまうんですよね。で、こういったたとえば人種差別であるとか、そうしたものに対して抗議をする。「差別はよろしくない。人の命を大事にしろ」という。まあ、Black Lives Matterということを主張することに対して、これほどまでに過敏に否定的に反応するという人たちが多いということを浮き彫りにしたというのも今回の一連のメッセージだったと思うんですよ。つまり、そのメッセージに共感して支持する人たちもいる一方で、そのメッセージを矮小化して無理解のまま攻撃するという人たちも相当いた。

あるいは、「テニスだけやっていろ」とか「アスリートはアスリートとしてスポーツだけやっていろ」という風に言わんばかりの発言というものがあって。その論理で言うと、たとえば「大工さんは大工のことだけやっていろ」とか「ラジオパーソナリティーはラジオのことだけ話してろ」とか、何でも言えてしまうわけですよ。

「じゃあ、誰が政治について話すの? 政治について話すプレイヤーって誰と誰なの?」っていうことが生じてしまうんだけど、自らのその発言というものが一体いかなる社会を作り上げていくのか? つまり、「政治のことは政治に任せましょう。だから他のやつは口を出すな。プロに任せましょう」っていう、それこそおまかせ民主主義を大肯定するような議論というものも浮き彫りにしてしまったわけですよね。

だからこういったような一連のアクションが浮き彫りにするものというのは相当に大きくて。そうしたものを浮き彫りにするっていうことを含めて、さまざまな社会的メッセージを発信するということはやっぱり意義深い。で、意義深いことに感心ばかりしていてはダメで。問いかけがあったのだから、それ応じる。それにリアクションするということが必要になるわけですよね。こういった様々なメッセージをアクションで起こしたものに対してどうリアクトしていくのか。どう反応をしていくのか。

その点においてはやっぱりじゃあ、足元の国内の差別はどうなのか?っていう問題について問うていく。あるいは、その人差別以外の……たとえばジェンダーギャップであるとか。いろんな論点が存在するわけです。そうしたことに対して、同じような敏感さを持つだろうか? あるところに対しては敏感さを持つけれども、同じような感度で他のところに対しても、他の論点に対しても関心を持つことができるだろうか?

なぜ自分は持てないんだろうか? 自分の中にどんなバイアスがあるんだろうか? そうしたものを比べていくって作業が必要になってきますよね。なので、この間にさまざまなヘイトスピーチの問題。あるいはヘイトクライムの問題。あるいは警察や権力などを使った差別的な対応の問題が世界各地で注目されています。

そうしたものに対して声を上げていくために何ができるのか? いや、何でもできるんですよ。Twitterでリアクションするのもひとつのアクションですから。そうしたようなことの重要さというものをますます考えさせられるようなタイミングだったなと思いました。


大坂なおみさんが発したメッセージに感心するだけではなく、大坂さんが起こしたアクションに対して1人1人がどうリアクトしていくのか、ここが大事なんですね。大坂さんのメッセージを受け止め、これからの行動に生かしていきたいと思います!

「大坂なおみ二度目の全米オープン制覇」

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