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町の本屋さんであり、障害者の就労支援の事業所でもある、川口市の「ててたりと」▼人権TODAY(2020年9月12日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「町の本屋さんであり、障害者の就労支援の事業所でもある、川口市の『本屋さん ててたりと』」

担当:崎山敏也

川口市の「本屋さん ててたりと」

埼玉県川口市にある、「本屋さんててたりと」。中に入ると、文庫、マンガ、様々な雑誌、実用書に、子供向けの本などが並んでいます。小さな、普通の町の本屋さんですが、身体障害、知的障害、精神障害のある人が利用している「就労継続支援B型事業所」でもあります。必要な支援を受けながら、働く場です。

利用者はそれぞれに必要な支援を受けながら、働いています。レジ、接客、本を選んで取次に注文、返品から、店の掃除、定期購読先への配達。利用者の1人、薬師寺和之さんは、店内のイベントコーナーの前で「障害があって、これはどうしてもできないっていうことがある方ももちろんいらっしゃるんでしょうけど、特に職員の方の指示というよりかは、こうやりました、というので、どんどんやらせてもらえるという感じです。じゃあ、今回、イベントで絵本をやろうってなった時には、なんか面白そうな絵本とか、利用している人が選んでます。こういうことがダメ、とか言われないですし」と話します。

利用者がやりたいことをやってもらうというのが「ててたりと」の方針です。本好きで以前、本屋で働いていた利用者は選書担当ですし、絵を描くのがとても好きということで、上手い絵、個性あふれる絵で宣伝のポップを作る利用者もいます。お客さんから「これも売ってもらえませんか?」と、ポップそのものが言い値で売れたこともあるそうです。

絵を描くのが好きな利用者が作ったポップの数々(一時的に借りてきました)

薬師寺さんは以前、営業の仕事をしていたということで、美容室や喫茶店、病院、銀行などに、雑誌の定期購読の売込みにも行っています。「一軒一軒、鳩ヶ谷の方から始めて、飛び込みの営業で、こういう施設なんですけど、というような話をして、という感じです。ここで、飛び込みの営業まさかやるとは思わなかったですけど、自分自身は元々持っていた社会性みたいなものを取り戻すというのが大きな目的なので、いろいろやっている過程で気づきがありましたね」と話します。

「本屋さん ててたりと」は2020年9月13日で、開店してちょうど2年。近くに本屋がないので、最初は、車がない、遠くまでは行けない、地域の高齢のお客さんが多かったんですが、薬師寺さんたちの営業の成果もあり、今は売り上げの半分は雑誌やテキストなどの定期購読だそうです。コロナの流行で学校が休みの時期、地元の小中学生も立ち寄るようになってきました。

買った本を入れてくれる紙袋

「ててたりと」は、逆に読むと「とりたてて」。要するに「普通の本屋さん」です。運営する、TETETARITO株式会社の代表、竹内一起さんは「町の本屋で、地域で本を買う人とかからすると、ただの本屋さんに過ぎないんだけど、例えば、働いてる薬師寺さん達にとってはすごい特別な場所だったりするわけですよね、この場がね。お客さんが買う時は、商品としての本だけど、ここで扱っている薬師寺さんたちにとっては商品じゃない意味が出てくると思うんですよ」と話します。家に引きこもりがちだけど、外に出るきっかけにしたい、とか、働いて給料を得たい、次のステップにつなげたい、と利用者それぞれにとって、持っている意味は様々です。

竹内さんたち職員の仕事は、本を売ることではなく、「利用者が本屋で働くこと」を支援することです。それぞれの体調などの事情、生活の状況に応じて、精神保健福祉士や臨床心理士の専門職の職員が相談に乗ったり、アドバイスしたり。一人一人のペースを尊重しているので、一日2時間という利用者もいます。竹内さんは「利用者さんにとっては、本屋さんという生産活動の場なんですけど、私たち支援者にとってみると、やっぱり支援の場です。ここでの活動で力をつけて一般就労したいって人にはそういったサービスもしますし、ずっと家に閉じこもりがちだったんだけど、こういうところに出るようになって生活リズム整えたいっていう人にはそういう支援をします」と話します。また、薬師寺さんは「スタッフの人が何でも相談乗ってくれますし、短所を埋めていくという部分ももちろんあるんでしょうけけど、自分の場合はそれより、長所を伸ばしていく方に、力をいれていただいているのかなと感じます。ほんとうにある程度、いろんなことがついてくるようになって、なくしていた自信も少しずつ出てきていますし、つながらせてもらってよかったなという風に思っています」と話します。

福祉の場でもあり、仕事の場でもある川口市の「本屋さん ててたりと」。鳩ケ谷駅、蕨駅、西川口駅の間くらい、「上青木交番」の交差点近くにあります。放送した時期には、同じ川口市内にある、普通の流通には乗りにくい本を扱っている「Antenna Books&Cafe ココシバ(https://cocoshiba.com/)」と、お互いの本を交換した特集棚「ててシバ」が設けられていました。

同じ川口市内の「ココシバ」とコラボ

お客さんにとっても、予想外の本に出会って、「ててたりと」が特別な場になることもあるかもしれません。

「本屋さん ててたりと」  埼玉県川口市上青木西5-25-17 048-423ー4858

(http://tetetarito.com/)