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「僕は無駄が好きですね」行定勲監督が語る、映画の無駄論

ACTION

TBSラジオで放送中の「ACTION」。金曜パーソナリティは、武田砂鉄さん。

9月11日(金)のゲストは、映画監督の行定勲さん。武田砂鉄さんは河出書房に勤めていた2004年に『文藝』で行定さんを特集していたことを懐かしんでいました。今日は本日公開された行定さんの監督作品、『窮鼠はチーズの夢を見る』の話を中心にお伺いしました。

『窮鼠はチーズの夢を見る』あらすじ…
関ジャニ∞の大倉忠義演じる恭一と、成田凌演じる今ヶ瀬の揺れ動く恋模様を描いたラブストーリー。学生時代から受け身の恋愛をしてきた恭一は、大学の後輩である今ヶ瀬と7年ぶりに再開し、「昔からずっと好きだった」と突然思いを告げられる。恭一は戸惑いながらも今ヶ瀬の真っ直ぐな思いに少しずつ心を開いていくが、恭一の昔の恋人が現れて、2人の関係が変わり始める…。

武田:このメインのポスターを見ると、明らかに河出文庫が写っています。「なんの文庫なのか?」を河出の人間に聞いたら、パトリシア・ハイスミスの『太陽がいっぱい』でした。この著者はレズビアンであることを隠して亡くなりました。「ここには行定さんの強い思いがあるはずだから聞いてこい」と言われております(笑)


行定:まさにそういう目配せですね。僕も気になるんですよ。背景に映っている本とかが監督によっては結構ぞんざいに扱われています。「このキャラクターで村上春樹はないだろう」とか(笑)今回でいうと、パトリシア・ハイスミスの作品って同性愛的なのが必ず出てくるので、少し拝借して感じてもらえたらなと思いますね。

武田:監督としては仕掛けている感覚はありますか?

行定:そもそも「読んでいる本はなんでもいい」というわけではないので。であればタイトルを見せるわけではないけど、なにか感じてもらえたらなと。意外と作品の世界観ってそういうところから作られるのかなと思いますね。意図がないデザインって見るに堪えられないじゃないですか。あとなにかを模倣しているものもカッコ悪いですね。読んでいる小説や見ている映画は、実存しているもののほうがいいですね。そこに意味がつけば尚いいです。

行定:恭一がパトリシア・ハイスミスを読んでいるのは無自覚でしょうね。「有名だから読んでみようかな」ぐらいな与え方です。あと映画の中でジャン・コクトーの『オルフェ』を見るシーンがありますが、今ヶ瀬というゲイの青年が『オルフェ』と向き合うのは意図的ですね。その意図というのは観客にとっては大したことないかもしれないけど、作り手の僕にとっては登場人物を知る一つの術ですよね。重要なポイントじゃないところでそういうことを示したいというのはありますね。

武田:そういった場面って言われないと分からないゾーンですよね。その言われないと気付かれないゾーンというのは悪い言葉を使うと「無駄」なのかもしれませんが、その無駄をたくさんまぶしている感覚ですか?

行定:そうですね。無駄が好きですね。世の中に全く目に留まらないもののほうが好きです。物語ってなんであんなに展開を作らなきゃいけないのかというと、それがないと登場人物について深く知れないんですね。彼らの心情を炙り出すために事件を起こすんですけど、僕はその事件にあまり興味ないんですよね。事件がなくても、人柄とか置かれた状況の雰囲気とかって知らず知らずのうちに分かってくると思うんです。だから僕自身は物語にあまり興味がないんです。

行定:下手な映画を見ていると、映画の登場人物のほうがなぜか観客よりもあらかじめ事情を知っていて、それを説明しているように見えることがあります。それに対して没入できる映画は観客のほうが能動的に登場人物のことを知っているパターンかなと思います。でも映画に映っている人たちは本当に無自覚で愚かだったりして、「お前馬鹿だな~、いい加減気持ち分かってやれよ!」と焦らされる気分ですよね。そこで無駄に別れちゃって、「好きなくせに~!」と思わされるのはラブストーリーのいいところですよね。

武田:映画によっては、「3分後にこうなりますよ!」と告知されて、本当に3分後にそうなるってものもありますよね(笑)

行定:しかもそれを第三者が説明したりもしますから(笑)

武田:「えっ?アイツがあんなことになるのかい?」(笑)

行定:それはまず必要ないですよね(笑)映画って無駄が多いところが面白いですよね。小説って書いていくと無駄なものってないと思うんです。字って均等に読者に与えられるので。でも映画ってちょっと気を抜くと通り過ぎていく場面はあるので、気付いているのと気付かないとでは解釈が変わったりもするんですよね。

引き続き、映画のお話を伺いました。GUEST ACTION全編はradikoのタイムフリーで。

9月11日(金)のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200911162830

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)