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徳島の「最先端の過疎地」に見る、脱東京一極集中のヒント

森本毅郎 スタンバイ!

きょうは、新型コロナウイルスの感染拡大で、浮き彫りになった「東京一極集中」について、9月10日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200910073546

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

先日、都市部に人口や企業が集中するリスクを回避しようと、人材派遣会社のパソナが本社機能を淡路島に移転すると発表。「脱・東京」の動きが、少しずつ始まっているようです。そんな中、岩手県のある取り組みが注目されていました。どんなものか、岩手県庁・ふるさと振興部の阿部いづみさんに聞きました。

★岩手と遠距離恋愛しませんか?

岩手県庁・ふるさと振興部 阿部いづみさん
岩手県では「遠恋複業課」という取り組みを行っております。遠距離恋愛の「遠恋複業課」。そのまま首都圏にいながら、岩手に「副業」という形で関わっていただく。例えば岩手県のゲストハウスと首都圏の副業人材の方がマッチングして、ゲストハウスのホームページを作成してもらったり、あとは食品製造業の場合、本業が休みの週末に首都圏の飲食店を回ってもらい、岩手の食材を売り込む。移住は正直ハードルも高いので、特に県内に在住の方に、まずは副業で岩手を好きになってもらいたい、関わりを持っていただきたいというところで始めた取り組みです。
森本毅郎スタンバイ!

岩手県の「遠恋複業課」

都心に拠点を置きながら、岩手で副業ができるという、「遠距離恋愛(えんれん)」に見立てた働き方。例えば、宮古市の水産物養殖会社と県外在住者が、ホタテのブランディングの仕事を通してマッチング成立。また、盛岡市の観光葬祭業者と県外の人が、首都圏での営業代行を請け負うという形でマッチング成立したりと、様々なカップルが誕生しています。

新たな募集枠は近いうちに公開予定ということですが、こうした都市部のビジネスパーソンが地方の企業で働くという「職場の分散化」は、全国的にも広がっているようで、他にも、鳥取県では週に1回、県の企業の副社長として都市部の人材を受け入れる「とっとり副業兼業プロジェクト」というものを、今月からスタートさせています。

★サテライトオフィスは、徳島の限界集落

このように個人が地方で副業する動きが広がっているんですが、一方で、東京の企業が地方に一部を移転して成功する事例も増えているようです。2003年に先駆けて地方に職場を分散した企業があったので、話を聞いてみました。テレビ局から委託を受け、映像制作や配信を行っているプラットイーズという会社が東京と徳島の2拠点に職場を置いているということで、会長の隅田徹さんに聞きました。

株式会社プラットイーズ・会長 隅田徹さん
本社が東京の恵比寿にあって、サテライトオフィスが徳島県の神山町にある。古民家を改修して、蔵、納屋、母屋を改修して事務所にしている。そもそも東京の機能分散。主に首都直下型を想定して、ある程度距離の離れた所に同じ機能を置こうと。あと、社員の選択肢を増やすことが会社の役割と考えて、ここにオフィスを置いている。ただここは本当に田舎。神山町には鉄道がないので、通勤や移動はほぼ全て車。人それぞれですが、僕は気に入ってます。
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神山町の所在地(神山町役場ホームページより)

森本毅郎スタンバイ!

徳島県神山町にある、プラットイーズの「えんがわオフィス」

徳島は支社ではなく、あくまでも東京の本社機能の一部を移管した「第2オフィス」という位置付け。現在、東京・恵比寿のオフィスで92名、徳島のオフィスで13名の社員が働いていて、自由に勤務地を変えられます。

でも、気になるのは、なぜこの場所なのか。

実は現在、神山町は、都市部の20社近くのITベンチャーがサテライトオフィスを置く「最先端の過疎地」で、比較的若い世代の移住者が全国から集まっているそうです。一見のんびりした四国の山里ですが、県の施策で光ファイバー網が整備されていて、積極的に、ベンチャー企業の誘致が進められてきたそうです。もちろん、コロナも徳島のオフィスで問題なく乗り切れたということで、この状況になって、改めてリスク分散の効果を感じているようでした。

★「最先端の過疎地」で、はからずも地域再生

さらに今年、移転から7年が経ち、当初は意図していなかった動きも生まれているそうです。

株式会社プラットイーズ・会長 隅田徹さん
町内で飲んでた時に、「ここは人がいっぱい来る割には宿が少ない、宿を作ろう」という話になって、私が社長をやることになった。町民が50人もお金を出してくれて後に引けなくなってしまった。私は映像産業しかやったことないので全くド素人だったが、お陰で今は、古民家再生の仕事もやっています。巻き込んだのか、私が巻き込まれたのか。いずれにしても神山町は「外の人慣れしてる田舎」。なので、僕のような東京で余ってる人間が喜ばれる。元々地域起こしや地域活性化を仕事にしていた訳でもないが、役割の中で、結果的にお役に立てている感じ。

映像制作の会社なのに、気付いたら地域再生に一役買っていました。しかもこの会社は地元住民の「雇用の受け皿」にもなっていて、サテライトオフィスには、徳島県出身者も多いそうです。もちろん行政の支援もある程度必要ですが、移住者と地元の人々が一緒になって町を盛り上げていく成功例の一つとも言えそうです。今後、働き方の多様化も、リスク分散の一つと捉える企業が今後増えていくかもしれません。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!