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武田砂鉄による「卑屈で素直なCreepy Nuts論」

ACTION

8月26日(水)の「ACTION」パーソナリティは、Creepy NutsのDJ松永さんに代わり武田砂鉄さんが担当! オープニングでは、この日、ミニアルバム『かつて天才だった俺たちへ』を発売したCreepy Nutsを砂鉄さんが分析しました。

武田:今日発売のミニアルバムの音源を早速聴きまして、販売用のプレスリリースも手に入れたんですが、それぞれのプロフィール文が載っています。R-指定さんは12行に対して、DJ松永さんは5行です。そして残りの7行の部分にTwitterとInstagramのQRコードが載っているのがいかにも松永さんらしいですよね(笑)R-指定さんのプロフィールには、「MCバトルの戦歴からは想像できないほど内向的で卑屈。HIP HOPとはあまりにもかけ離れたバックボーンとパーソナリティ故に生まれた、強烈な劣等感を創作表現活動の源としている」と書いてあります。これ、なかなか無いプロフィールですよね。でも実際にお目にかかると、非常に外交的で素直で強烈な肯定感を感じる人ですよね。でも「卑屈」と「素直」は共存できるということが分かって、Creepy Nutsの存在感の強烈さはそこにあるのではないかと分析しています。

武田:僕は最近、「卑屈でいることはとても素直な状態じゃないか?」と考えています。生きていると、「こういう風になっているから、こうしてください」ということが増えていきますね。それに身体を合わせていくことが素直ということになりますが。たとえば、「お前、この先輩の言うことには絶対、”はい!”って言えよ」って強制されていますね。「はい!」って言いたくないのに言わなきゃいけない。で、「どうしてこんなやつに、”はい!”って言わなきゃいけないんだ?」と思い続けていると卑屈なやつと思われますよね。でもよくよく考えていると、「思い続けている」んだから、卑屈じゃなくて素直ですよね。

松永さんは文學界で『ミックス・テープ』という連載をしていまして、これがなかなか読ませる自伝的内容となっていますね。

武田:松永さんが中学時代にサッカー部の控え部員でベンチ入りすら果たせなかった話はラジオでもよく話していますが、僕もサッカー部で控えゴールキーパーを中学3年間やっていたので、気持ちがよく分かるんですよ。僕の上には松原君という正ゴールキーパーがいまして、ある試合で彼が片腕を怪我したんです。そうしたらピッチにいる人間全員が僕を見たんです。そこで僕が不安そうな顔をしていたから、松原君は片腕で試合に出続けたんですね。僕はすごく安心したんですが、よくよく考えたら「片腕が使えない松原君より下なのか…」と落ち込みました(笑)

武田:松永さんはスタメンはおろか、ユニフォームももらえなかったと。3年最後の試合も体操着に身を包んで、新入生と保護者と一緒にメガホンで声を枯らしたと。それでも中学の卒業文集にはサッカーのことを書いたと。エッセイの『ミックス・テープ』にはこう書いてあります。「卒業文集には自分がレギュラーか補欠かには一切言及せず、ただただ責任感と当事者感が溢れる文章を書くことによって、読む人にレギュラーで最後の戦いをやり抜いたと錯覚させるようにした。未来でどんな人に渡るか分からないから、誤魔化せるものは今のうちに誤魔化しておこうと思った」と。非常に卑屈ですが、とても素直だなと思いますね。自分の気持ちには嘘をついていないです。

中学の体育会系の部活で上手くいかないと、次の高校でどうするかという問題があります。選択肢は3つです。

1.それでも同じスポーツをやる

2.違うスポーツをやる

3.スポーツはやらない。

僕は2を選んだんです。サッカーがダメだったからバレーボールにしたんです。バレーは人数も少なくて僕は背も高かったのでレギュラーにはなれたんですが、どこかでサッカーを辞めた意識がありましたね。

幸坂:引きずっていたんですね。

武田:そうですね。そして松永さんはどうしたかというと、同じスポーツを選んだんです。サッカーを選びました。かっこいいですよね。

幸坂:貫いていますね。

本日お休みのDJ松永さん

武田:でも理由がくそダサいです。エッセイにはこう書いてあります。「高校でサッカーはもうやらないつもりだった。もうみじめな思いはしたくないし、プロを目指せない人間が部活を全力で頑張った先になにがあるか分からなかった。けれど、人数も少なく半分ぐらいが初心者で構成されている弱小部と知った瞬間、サッカー部に入ることを決めた」と。素直ですよね(笑)卒業文集で責任感と当事者感溢れる文章を書いていたことが早速活きていますね。そして、そこで調子に乗って辛辣な言葉を吐いていましたが、半年後には実力不足でスタメンではなくベンチに入りました。それで「大口叩いていたのにベンチ」ということで、一緒に帰ってくれる人がいなかったということで、小学校から続けていたサッカーを辞めたそうです。それで部活を辞めて高校2年生のときにDJセットを買い、夢中になって高校を中退する。そして今のキャリアになると。これを考えて結果的にいうと、もし松永さんが高校入学のときにサッカー部でなく妥協的に別の部活を選んで3年間続けていたら、今の世界一のDJは生まれていないですよね。だから中学の卒業文集で誤魔化して、弱小っぽいからサッカー部に入るという選択は、とても卑屈だけど素直な判断ですよね。

武田:今回のアルバムタイトル、幸坂さんなんですか?

幸坂:『かつて天才だった俺たちへ』ですね。

武田:さすがですね。さっきは間違えていましたね(笑)

幸坂:そんなことないですよ(笑)

武田:この表題曲が帝京平成大学のCMソングになっています。歌詞は「苦手だとか 怖いとか 気付かなければ 俺だってボールと友達になれた」「神童だった貴方へ 似たような形に整えられて 見る影も無い」とあります。歌詞はRさんによるものですが、どうしても松永さんが立ち上がってきますね。ものすごいアンチテーゼですよね。すごいサッカープレイヤーに対して「神童」って言葉はよく使われますね。ずっと卑屈でそれを保ち続けて、素直でたくましいというのはかっこいいということを2人に教えてもらった気がしますね。僕とCreepy Nutsはやっている仕事は違いますし、卑屈を溜め込んだあとにぶつける先も全然違うんですが、ずっと卑屈でずっと素直というのは素晴らしいことだなと。これは結構な勇気にもなりますよね。ラジオで松永さんの話を聞いていると、世界一なんだけど未だに目線が中3の試合でベンチからも外されて、観客席から見ている視点でいつも喋っていますよね。それを保つってすごいですよね。普通は調子に乗りますよ。それは卑屈を長年飼い慣らしているからだと思いますね。同じ番組で横並びでやらせてもらえるのは嬉しいですよ。こうやって2人の尻ぬぐいとして代打ができることはとても光栄です(笑)

幸坂:月曜から金曜まで全員卑屈で素直なパーソナリティでお送りしております。

武田:1年半やって気付いたでしょ?卑屈で素直は素晴らしいって。

幸坂:いつも素晴らしい方々とやらせて頂いているACTIONでございます(笑)

武田:もうこれだけCreepy Nutsを持ち上げたら大丈夫ですよね?(笑)

幸坂:オッケーです!

オープニングトークはradikoのタイムフリーで。

8月26日(水)のオープニングトークを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200826153000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)