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受刑者・出所者らを支援するNPO「マザーハウス」▼人権TODAY(2020年8月22日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回は、「拘置所や刑務所など刑事施設に収容されている人、出所した人の社会復帰の支援をしている都内のNPO法人マザーハウス」という話題です。

NPO法人マザーハウスとは

犯罪の疑いで逮捕され、留置や拘置されている間や、裁判で有罪が確定し刑務所に入ると、その人の生活は日常から切り離されて、いろいろな面で管理され規制されます。
家族や知人とのコミュニケーションも限定されて、孤独やつらさを感じる受刑者がいます。    
また刑を終えて出所してから、住居や仕事が見つからないなど生活に困窮する人もいて、その影響で再び犯罪をしてしまうケースもあります。    
こうした厳しい状況にある受刑者の精神的なケアや出所時の困難解消を手助けして、よりよい形での社会復帰を支援しているのが墨田区にあるNPO「マザーハウス」です。
代表の五十嵐弘志さんに、NPO設立の理念を聞きました。

NPO法人マザーハウス・代表 五十嵐弘志さん

刑務所っていうのは孤独な場所で、社会とのつながりがなくなる場所なんですね。刑期が終ったら社会で生きていかなきゃならないのに、社会との繋がりがなくなったら、どこで生きていくのと僕は思うわけです。ところが彼らの声を聞いてくださるところが少ない。「実は僕、刑務所から出てきたんだけど、今日泊まるところがないんです。仕事もないんです、独りぼっちで寂しいです」と正直に言えるところがあれば、そこで話せるじゃないですか。じゃあその人たちのために自分が何ができるか、それで「マザーハウス」をスタートしたというのが経緯です。

 

五十嵐さん

   

私たちは刑務所や受刑者について、映画やドラマで見たりして多少の知識がありますが、当事者にはそれだけではわからない複雑な事情があります。

たとえば当事者だけでは、出所後すぐに携帯電話を持つことも難しいそうです。
逮捕された後、留置・拘置が続くと本人が携帯を解約することが困難で、長期間、料金滞納状態になり、多額の未納額を支払わないと通信を再開できないことがあり、刑務所から出所してすぐに支払は無理なため、自分の携帯が持てない場合があるのです。
    
携帯電話がないと、現代社会では生活する上でハンデがとても大きいです。
まして住む家を探したり、職をみつけることは一人では大変ですが、服役によって家族と疎遠になる人も少なくなく誰かの支援なしに出所後の生活基盤を作ることは大変です。
    
「マザーハウス」では出所者には住居、生活支援のほかに、コーヒー販売による就労トレーニング、居場所づくりなどの支援を行なっているほか、受刑中の人とNPOの会員が文通することで精神的なサポートや出所後についてアドバイスをする取組みや身元引き受けなども行なっています。
文通は受刑者にとって大きな心の支えになり社会とつながっている実感を抱かせます。
「マザーハウス」には、受刑者からの手紙が数多く届いています。

受刑者からの手紙


    
「マザーハウス」は2012年に任意団体として出発し、2014年にNPO法人の認可を受けています。
実は代表の五十嵐さん自身、前科3犯で、のべ20年服役していたという方です。
3度めの服役中にキリスト教と出会ったことから支援団体の設立を思い立ったとのことですが、実際に服役経験があることでより親身になって当事者のサポートができると話していました。
五十嵐さんはこのように語っています。
   

NPO法人マザーハウス・代表 五十嵐弘志さん

僕は来年、社会復帰して10年経つんですけど、(出所者に)俺も20年間入ってきたから、君の体験が分かるよ、刑務所でどういう苦しみがあったか分かるよと言えるんです。体験があるからこそ、その人間の弱い部分も理解できるし、孤独や寂しさも理解できる、当事者だから同じ立場の人に強く言える部分ってありますね。 

「マザーハウス」は現在、団体を支援する会員が110名以上、刑事施設内で入会している準会員が約800名います。
こうした会員からの年会費や寄付、物販による収入などで運営されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大で、物販を行なっているカトリック教会のミサや公の場での講演会が中止になり運営にマイナスがあると嘆いていました

出所者が新型コロナウイルスの問題で困っていることもあります。
それについて五十嵐さんはこのように語っていました。
 
   

NPO法人マザーハウス・代表 五十嵐弘志さん

行く場所がなくなっちゃったってことですね。今までたとえば教会に行けばミサをしているからそこに出てみれば、話ができるよというんがあったけど、そのミサが(新型コロナのために)中止や制限されている。対面で話せる場所がなくなったんですよやはり面と向かっていろいろ話ができたのが、できなくなって。出所者が今までいられた場所が、新型コロナの問題があって限られてすまうので。話ができないと悩みや苦しみを彼らは一人で抱えてしまうんです。 

これまで当事者の居場所になっていた教会のミサの中止で、スタッフと顔を合わせる機会が減ったり、ミーティングなどがオンラインで行われることでネット環境の脆弱な当事者が相談できなくなって、一人で悩みを抱えてしまうことが多いそうです。
居場所が少なくなることで、孤立してしまい社会復帰に悲観的になる出所者もいるということです。
    
こうした厳しい立場にある受刑者や出所者に対して私たちが支援できることは何でしょうか。

まず、当事者や関係者に支援NPOがあることを知らせることができます。
「マザーハウス」のような受刑者・出所者の支援NPOは数が少なく、社会的にもあまり知られていないので、当事者や関係者から相談があった時につないでほしいと五十嵐さんは言っていました。
    
また五十嵐さんには「人生を変える出会いの力 闇から光へ」という著書があり受刑者、出所者の置かれている厳しい立場を知ることができます。
そうした本から受刑者・出所者の社会復帰を支える大切さを考えることも重要だと思います。

五十嵐さん


    
NPO法人「マザーハウス」に関する情報は以下のホームページからご覧ください。

NPO法人マザーハウス https://motherhouse-jp.org/

五十嵐弘志さんの「人生を変える出会いの力 闇から光へ」書評
https://www.christiantoday.co.jp/articles/21558/20160730/igarashi-hiroshi-book.htm

(取材報告:藤木TDC)