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東京新聞紙面連動企画 こちら特報部「『メール110番』って何?」

森本毅郎 スタンバイ!

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。実は、8月8日の朝刊『こちら特報部』に見慣れない言葉がありました。それは「『メール110番』って何?」という見出し。みなさんは、「メール110番」ってご存じですか?私は聞いたことがなかったので、今回はこちらを取材しました。

 

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200817074040

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★監禁された女子高生を救った「メール110番」

この記事は、先日報道された、ある事件をきっかけに書かれたものなのですが、どんな事件をきっかけに「メール110番」が注目されたのか、そもそも「メール110番」とは、どのようなものなのか。担当した特報部の古川雅和記者に聞きました。

古川雅和記者
「横浜市内で埼玉県内の女子高校生が、会社経営の男に監禁されていた事件がありました。女子高校生は携帯をその男に取られ、(部屋の)中の鉄パイプに括り付けられていて、何もできなかった、という状況だったんです。そこで彼女は携帯型のゲーム機を使って、埼玉県警のメール110番というところにアクセスし、助けを求め、それを受け取った埼玉県警の署員が横浜に駆けつけて、無事解放につながった、こういう事件がありました。あまり馴染みがないと思いますが、埼玉県警のホームページにメール110番というところがありまして、そこにアクセスして、自分の名前等々を入れて助けを求めることができた、と。本来はろうあ者の方が使うためのものだったんですが、一般の方も使えるようになっています。」

普通の110番は、電話で「1・1・0」をかけますが、この「メール110番」は、インターネットのメールを使う110番システム。メールの宛先が110番=通信司令室になっているので、電話がなくても、インターネットにつながれば使えます。

宛先も「110番、埼玉」と検索すると出てくるので、電話が掛けられない状況でも、何かネットにつながるものに触れられれば、SOSを出せる仕組みです。

元々は、聴覚障害者の方々の110番通報のために導入したもので、埼玉県警では2003年から運用を始めました。

自分のスマホを取り上げられてしまっていた女子高校生でしたが、インターネットにつながる携帯型ゲーム機を使って、この「メール110番」にアクセスしてSOSを発信。救出につながりました。

★年間の110番通報の0・04%

この救出劇で注目された「メール110番」ですが、実は、私と同じく、記事を書いた古川さんも、これまで知らなかった、ということ。では、いったい、どのくらい使われているものなのでしょうか?古川さんに聞きました。

古川雅和記者
「あまり使われてないですね。去年、110番通報が、55万3757件あったそうです。このうち、メール110番が242件、0・04%と警察は言ってます。この内容は駐車違反の苦情みたいなものや騒音の苦情が大半で、メールが一件もこないときもあるそうです。いま警察庁が、一つアプリを作りました。ワンクリックで、簡単に、警察と連絡が取れるようになった。メール110番だと、自分の名前や住所を一から打ち込まなきゃいけない、となると、緊急性が高い状況に置かれたときに、メール110番で、果たして命が助かるのか、危機を脱することができるのか、どうしても疑問符が出てしまいます。なので、このアプリが、採用されているところも多くなってます。」

埼玉県警によると、去年一年間の110番通報のうち、メール110番が使われた通報は0・04%。しかも、いたずら通報の処理など、無駄な手間もかかっていたそうです。

一方で、全日本ろうあ連盟から「緊急性が高いときにメールでは不安」、という声もあったそうです。

そこで、メール110番よりも、便利で簡単な通報手段として、警察庁が、スマホのアプリ「110番アプリ」を開発。スマホにアプリをダウンロードして、名前や住所、連絡先などをアプリに入れておけば、ワンクリックで通報できる。これなら、ずいぶん素早く通報できるようになりますよね。

★効率化を進めるだけで、果たしていいのか?

各県警などでは、次々に、アプリへの移行が進んでいるので、これで、もっと便利に、多くの人が助かるのかと思ったのですが、「ちょっと待って」と古川さんは言います。

古川雅和記者
「警視庁は今年6月に、メール110番のようなシステムから、このアプリに移行しました。神奈川県警も3月末で、こちらのアプリにしてます。埼玉県警、千葉県警、この両県警は併用してます。効率化をすすめるだけで、果たしていいのか。今回のこの女子生徒のように、携帯を取られてしまった、そしたらアプリはもう使えなくなりますよね。ということは、今回、彼女は、この埼玉県警がメール110番を残してあったおかげで連絡手段が作れた、と考えることもできます。埼玉県警が、仮にアプリに一本化してしまっていたら、彼女の身の危険っていうのは、どうなっていたのか、ちょっと想像つかないですね。無駄を省くということが、いいことなのかどうか、今回の事件を機に、もう一回立ち止まる必要があるんじゃないか、という気はします。」

たしかに、緊急性の高い110番通報がほとんどなく、いたずらメールの処理に時間を割いている現状では、メール110番よりもアプリの方が良い、となるのは分かります。しかし今回の事件では、このメール110番が無かったら、スマホは取り上げられていたので、SOSが出せなかった・・・と思うと怖い。

無駄を見直して効率化していくことはもちろん大事ですが、果たして何を持って「無駄」と考えるのか・・・

普段は無駄に見えてしまっても、いざ、という時のための選択肢は、ひとつでも多いほうが安心ですよね。このあたりのバランスは、一度、立ち止まって考えてもらえれば、と古川さんは仰っていました。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。