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中国からの帰国者(残留孤児)やその配偶者、二世らが利用する東京・板橋区のデイサービス施設

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「中国からの帰国者(残留孤児)やその配偶者、二世らが利用する東京・板橋区のデイサービス施設」

担当:崎山敏也

東京・板橋区にあるデイサービス施設「一笑苑」。中国からの帰国者、いわゆる中国残留孤児やその配偶者、二世らが利用しています。様々な事情で中国からの帰国に時間がかかった人の中には、日本語がわからず、家族も仕事で忙しかったりで、高齢になって地域で孤立している人が多いため、中国語が話せるスタッフがいるデイサービス施設として、二世、三世が中心になって、3年前、オープンしました。

送迎の車

新型コロナウイルスが流行する中、3月、4月頃は感染を恐れて、デイサービスの利用者も定員の3分の1、4分の1という状況でしたが、施設内や送迎の車の感染管理を徹底して運営を続けてきました。施設の管理者で、帰国者三世の三上貴世さんは「利用者本人だけでなく、子供が、やっぱりここじゃないとお母さん預けるところがない、言葉が通じない、とここに来るんです。日本人の訪問介護だと、例えばここ掃除してもらいたい、とかどうしてもコミュニケーションが取れないんです。文化、習慣が違うから」と話します。

ある日の「一笑苑」の昼食

「一笑苑」の昼食は東北風味の家庭料理です。昔話をするにしても、同じような境遇で生きてきた人とが話があいます。日本語がうまくても、住んでいる地域の人と昔の話があわないからと、一笑苑を利用する人もいます。最近は、利用を再開する人もいる一方、利用を中断している本人や家族から三上さんにひんぱんに相談の電話やメールが来ます。三上さんは「家にいるのも逆に、私たちは心配です。コロナになるよりも、何か他の病気にならないか、転んだりしてないか、とか。実際、ここに来なくなってから、認知症が進んで、けっこう夜明けに、電話で起こされます。夜中でも調子悪いと電話かかってくる。家にいると、運動とかしないから、身体能力も落ちます」と話します。

家で一人でテレビを見ていても、新型コロナの情報は中途半端にしか理解できないくて余計に不安になるし、家族も仕事の悩みや不安を抱えています。利用者の中には、戦争直後、子供の頃の夢を見て不安感を訴える人も多いと三上さんは話します。「思い出したくないけど、どうしても、思い出してしまう。戦争が終わった時、7,8歳だと、記憶がなんとなくあって、でも、大人みたいにはまだいろんなことわからないから、怖い思いが残っている。妹をお母さんが背中から降ろしたら、いなくなっていたとか、弟が開拓団長に殺された、自分の目の前で、とか」。

「食料と引き換えに自分は売られた」「靴がなく裸足で何日も寒い中歩いた」「周りの人たちが撃たれて亡くなっていく」そんな記憶がよみがえる中でも、デイサービスに来ると、中国語で話すスタッフがいて、同じ境遇の利用者との会話で不安が和らぎます。一笑苑の三上さんはこの場所を守っていきたいと、経営は大変ですが、様々な工夫をして日々運営しています。

体操や様々なレクリエーション

 

中国語で対応できる介護施設や介護スタッフの数は少なく、一方、帰国者やその家族は固まって住んでいるわけではないので、近くにそういう施設がなく、十分な介護を受けられない人はまだまだたくさんいます。戦争のことが話題になるこの時期だけでなく、日ごろから、帰国者のように言葉の壁で困っている高齢者がいないか、多様な文化で育った人が日本に増えているいま、地域でも中国残留孤児、帰国した人たちに関心を持ち続けてほしいと崎山記者は感じました。