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視覚障害者の支援「同行援護」がコロナで激減▼人権TODAY(2020年8月1日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・
“視覚障害者の支援「同行援護」がコロナで激減” についてです。

人権トゥデイ

「otomo」ホームページ

★視覚障害者の目の代わりとなる「同行援護」、コロナで激減

きょうは、視覚障害者のための「同行援護」という支援について。新型コロナウイルスの影響で、「同行援護」の数が激減しているようですが、まずは、どのような支援なのか。足立区で、「otomo(おとも)」という同行援護のサービスを展開している、リンクス株式会社の代表取締役、鈴木貴達さんに聞きました。

リンクス株式会社・代表取締役 鈴木貴達さん
「同行援護」とは、視覚に障害のある方の外出に同行して、移動の支援や、外出先での情報提供、代読・代筆など、視覚障害者の目の代わりをする支援。お買い物とか通院、コンサートや散歩など、様々なことに利用できる制度。障害者の方がヘルパーの腕を掴むので、濃厚接触を前提にした支援。特に緊急事態宣言のあった4月は、通常の予約の約50%減の利用数。今後クローズしていく事業所も増えてくのではないか。

「同行援護」は、通勤・通学など経済活動と分類されるものではなく、買い物などの余暇活動に利用できる制度。1時間あたり2500〜3500円程で公費事業として1割負担で利用することができますが、毎月トータル3000時間位の利用がある中で、一番ひどかった4月は、1500時間と半減。

やはり外出自体が減ったことと、密着を避けたいという心理が働いたようで、6月には7割まで回復してはいるものの、まだまだ休業中の事業者も多く、今後、十分に支援が行き届かなくなるのではと鈴木さんは心配していました。

★「3密」必須の同行援護、利用者も戸惑い

では、利用者はどのように感じているのか。3年前からotomoのサービスを利用している、足立区在住の太田佐千枝さんのお話です。

足立区在住・太田佐千枝さん(otomo利用者)
スーパーとか入っても、八百屋さんに行っても、どこに何があるかわからないので、「今日はいくらですよ」「今これ安いよね」とか一緒に話をしながら、カゴに入れてもらう。もちろん同行援護の人とは「3密」。かなり密着して歩くわけですし、自分が良くても同行援護の方は悪いなと思って、頼むことが減りますね。これからも必要とさせてはいただきたいけれど、本当にコロナと一緒にどう付き合って生活していくかっていうところですよね・・・。

太田さんは所謂「ロービジョン」の方で、曇りガラスから見ているような見え方だそう。週に1度、必ず利用していたスポーツジムへの同行援護は、コロナの影響で中止していて、今はちょっとした散歩や、必要最低限の買い物に利用を留めているそうです。

また、付き添うヘルパーさんの側からも、自粛したいとお願いされるケースも増えているようで、「3密」前提の同行援護、利用する側も、提供する側も、困惑しているようでした。

★同行援護は当事者にも認知されていない

さらに、コロナとは別に、同行援護にはこんな課題もあるようです。

リンクス株式会社・代表取締役 鈴木貴達さん
同行援護の利用者数は約2万人いるが、視覚障害者の数は約31万人が障害者手帳を持っている。1割未満の利用者数なので、その中にはまだまだこの支援を知らない方もたくさんいるのではないか。視覚障害って「情報障害」と置き換えて言われることが多いが、目で見てパッと情報をキャッチできないので、テレビ・ラジオ、友人・家族から教えてもらうような経路しかない。そういう中で、必要な情報が必要な方に行き渡っていないケースは多くある。

全ての目の不自由な人が、同行援護を必要としているわけではありませんが、それにしても、「1割未満」というのは、かなり少ない数字。制度自体は10年程前から始まっていますが先程の太田さんも、友達に教えてもらうまで知らなかったと仰っていたので、認知度は、本当に低い。

しかも業界全体ではヘルパーの高齢化も深刻に。隙間時間にできる仕事なので、主婦の方や定年退職した人が、資格を取ってガイドヘルパーになることが多いようですが、コロナをきっかけに引退、という人も出てきているそうです。

★「気に掛ける」ことが支援に繋がる

このように様々な課題が山積している同行援護。最後に、自身のお母さんも目が不自由というotomoの鈴木さんが、こんな話を聞かせてくれました。

リンクス株式会社・代表取締役 鈴木貴達さん
ソーシャルディスタンスってコロナ禍で言われているが、視覚障害者にとっては、社会的距離を保ちながら生活するのがめちゃくちゃ難しい。スーパーで並んでる時の足元にある「ここに並んでください」のステッカーが見えなくて列を詰めたら嫌味を言われたり。いまなるべく人に関わらない方が感染防止のためですよとなっていますが、例えば街で視覚障害者の方を見かけたら、ちょっと気にかけたり、ちょっと困ってるようだったら声をかけたり、危険な時にはやっぱり助けてほしいなって思います。

新型コロナウイルスの感染拡大は、視覚障害者にとって、さらに不自由な時代をもらたしていました。そこをどう寄り添っていくか。

先日も視覚障害者の駅のホームからの転落事故がありましたが、私たち一人一人が気に掛ける、見守る。そういった支援の「目」がますます必要なのではと思いました。

(担当:TBSラジオキャスター 田中ひとみ)
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同行援護「otomo(オトモ)」
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