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松田青子×武田砂鉄、家父長制の中での女性アイドルの在り方

ACTION

TBSラジオで放送中の「ACTION」。金曜パーソナリティは、武田砂鉄さん。

7月17日(金)のゲストは翻訳家・小説家の松田青子さん。最新作『持続可能な魂の利用』は家父長制に象徴される「おじさん」がテーマの今の日本社会を描いた長編小説です。今日は松田さんから、物語にも登場する女性アイドルと男性優位な日本社会について武田砂鉄さんがお話を伺いました。

武田:この小説の主人公の女性が突如、ある女性アイドルグループにハマりますね。これは名前は出していませんが、どうやら欅坂46であることが分かる描写があります。なぜ欅坂をモデルにされたのですか?

松田:私が欅坂が好きだったのもあるんですが、今回の小説を書くにあたり、日本女性がおかれている構造を有しているのがアイドルだと思うんです。同じように男性に選ばれて、その人たちに選ばれないと活躍どころか働くこともできないという。なのでアイドルについて書けば、日本社会の状況が重層的に伝わると思ったのと、AKBグループにしたのはこの10年の象徴的なグループだと思ったからです。その中でも欅坂にしたのはAKBグループ内で比較ができると思ったからです。で、現実にいるアイドルをモデルにしたのは、小説を読みながら「これは現実と地続きなんだ」と常に意識してもらいたいと思ったからです。

武田:本の中でも触れられていましたが、かつてグループの中で恋愛が発覚して丸坊主になった、個人的にはさせられたと思っていますが、その案件はなかなか言葉に表せられないぐらい思い案件ですよね。

松田:あれは衝撃過ぎて、そこから数年間はアイドルを見ることができなかったです。

武田:なかなか言語化しにくい衝撃でしたよね。


松田:私が思ったのは、悪しき構造ということはそれなりに理解していたつもりだったのが、自分がすごく甘かったと気付かされたのと、アイドルは多面体なので、いろんな楽曲がありますね。だから搾取を感じない瞬間もたくさんあるんです。意見を言うアイドルもいますし。でも、ああいう出来事が起こったりすると現実を思い知らされますよね。そういう衝撃でした。

武田:僕もグループアイドルについてポジティブじゃない書き方をするときがあります。たとえば「恋愛禁止ってそもそも人権無視じゃない?」と書きます。「なんであいつは恋愛禁止なのに恋愛しているんだ」という言い方がそもそもおかしいですよね。

松田:私もそう思います。アイドルの女の子が恋愛をしたり、おかしいことを「おかしい」と表明すると罰せられたりその場から排除させられたりするじゃないですか。それって人間であることを認められていないですよね。で、アイドルはプロフェッショナルな一つの仕事だと思うんですね。でもそういったルールを決めることによって社会全体で彼女たちを軽視することにつながっているんじゃないかなと思いますね。

武田:この本を読んでいると、そのアイドルのファンの中でも男性優位な社会が見えます。女性を性的搾取する問題ということも一部分では見えてきますね。

松田:アイドルを見るという行為自体は男性も女性も同じなんですが、女性のほうが同じ視線に自分たちもさらされる場合が多いので、自覚的なことが多いですね。あと「見る」ということよりも、相手を「どう見るか」「どう尊重するか」という話だと思っています。


武田:この本では「見る」「見られる」ということも大きなテーマとして横たわっていて、この社会は女性が「見られる」場面、つまり視線がまとわりつく場面がたくさんあって。私は男として暮らしていますが、男はあまり見られません。でも女性が社会で生きていると、ありとあらゆる目線を喰らうと言いますか。そういった差がすごく生じていることをこの小説を読んで改めて思いました。

松田:男性があまり見られていないということも一時期衝撃を受けてました。あまり見られていないですか?

武田:僕は背が高いので誰も見てくれないのかもしれません…(苦笑)要するに、会社の中でも男女のバランスは男性が多いし、権威的な立場にいる人も男性が多かったりするし、査定される側に女性がいて、査定する側に男性がいるというのは、松田さんが最初におっしゃった女性アイドルグループの作られ方の話と同じ構図だと思います。それがどう変わるかは分かりませんが、この小説を読んで「ザ・日本社会」がそこに濃縮されているんだなと思いました。

引き続き、家父長制の日本社会についてお話を伺いました。GUEST ACTION全編はradikoのタイムフリーで。

7月17日(金)のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200717163025

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)