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「こだわりを捨てることは大事ですよ」羽田圭介がDJ松永の文芸誌連載を語る

ACTION

6月18日(木)の「ACTION」パーソナリティは羽田圭介さん! 今日のオープニングトークでは、羽田さんが水曜日のあの人が書いた連載について言及しました!

羽田:今週、私は何をしていたかというと、例の問題作を読んじゃいました。

幸坂:なんでしょう?

羽田:『文學界』7月号ですよ!DJ松永さんの「ミックステープ」新連載!!

(拍手)

幸坂:お隣の水曜日、DJ松永さんが連載を始めたということで。


羽田:『文學界』には先週のゲストに来てくださった、山崎ナオコーラさんもエッセイも掲載されていて面白い文芸誌なんですが、「ミックステープ」はエッセイですかね。エッセイとも小説とも目次には書いていないのですが、DJを極めてメディアにも出ている人が一人称で書かれているので、エッセイと言っていいでしょう。


羽田:文芸誌で上下2段の4ページ分の内容なんですが、ざっくり言うと、DJの世界は厳しいわけです。無名から始まると、クラブとかでチケットのノルマとかあって。「お前、チケットをちゃんと売ってこいよ」的な。そういった現場でひいこら言う下積みがあって。で、DJというのはBPMを正確に合わせて曲をミックスするというような職人技を極めて上り詰めていく世界ですね。そこにタレントDJという人がいるんですね。タレントDJというのは、曲のつなぎが全然上手いわけじゃないのに、ただタレント・モデル・芸人・アイドルというだけでクラブに呼ばれて、お客さんもやって来て、知名度があって人気者。それに主人公の松永さんが激怒しているんです(笑)「なんのテクニックもないくせに!」と。

でも分かるんです。僕もそういう気持ちは未だにあるので。なにかの世界でちゃんと鍛錬して、一人で上手くならなきゃいけないんです。それは僕にも松永さんにもあると思うんです。だから社交とか人脈とかでデビューしちゃう系の人を軽蔑するんです。松永さんに関しては「数年前まではそうだった」と書かれていますが。それでタレントDJを散々バカにしてきた主人公が、いざこの連載を始めると。

この人はひたすら「鍛錬」にこだわるんです
羽田:『文學界』という文芸誌というのは純文学の代表的な雑誌で。ベテラン作家も書いてるし、作家志望も新人賞を受賞することを狙っているんですよ。だからここで文章を書こうと思うなら、文章の鍛錬が必要なんです。新人賞を受賞したり、精査の目をくぐったり。そんな媒体で連載をする松永さんは、「あれ?俺って今からタレントDJと同じことをしようとしてる?」と気付くんですよ。この人はひたすら「鍛錬」にこだわるんです。だから、タレントDJをバカにしていた自分が同じようなことをしているし、振り返るとタレントDJだって他の世界でちゃんと成果を出したから他の自分の姿を出すことができて、受け入れられることができることに気付くんですよ。というきれいな流れをたった4ページでやってるんですよ。こんなにきれいにまとめてどうすんの?(笑)

幸坂:いいじゃないですか(笑)


羽田:僕の感想としては、松永さんって別にそんなに気にしなくても良いんじゃないかなって思ったんです。「鍛錬してないのに文章を書いて『文學界』に載せて良いのか?」って。今はいろんな世界である傾向だと思うんですが、良いものを作っても埋もれちゃいますよね。例えば動画を作るときに、フリー素材の音楽を探すんです。そこでフリー素材の音楽ってちゃんとしたやつがめちゃくちゃあるんですよ。ちゃんと音大を出て理論を勉強したような音楽を無料で使えたり、クレジット表記をすれば使えたり。多分、そこらのメジャーアーティストよりも楽曲だけでいったら音楽のメロディーが素晴らしいようなフリー素材がいっぱいあるんです。特に音楽の場合って言語の影響は少ないので、世界中で昔よりコンピューターが発達して、個人が良い音の音楽を作りやすくなって、それが世界中でできるとなると、良い音楽を作っても普通にやったって埋もれるわけですよね。

埋もれないために全部使うしかない
羽田:あと小説も名作って既にいっぱいあるんです。名作の古典を読んでいたら、それだけで普通の人の読書時間なんて費やしちゃうし、古典じゃなくても存命の作家で、例えば60代70代ぐらいのベテラン作家で今書いている作品の素晴らしさを、僕が読書好きの人に話したとしても、読書好きの人たちがそのベテラン作家の作品を読んでいなかったりするんです。そのベテラン作家の3〜40年前のなにか賞を獲った作品だけは読んでるけど、今の作品は読んでいなかったり。今の作品のほうが良いのに読まれずに埋もれていたりするんです。

羽田:だから、上手いとか面白いとか素晴らしい作品を作ったとしても、埋もれて読まれなければ意味がないんです。だから僕はベテラン作家の作品ほど紹介したほうが良いかなと思ってるんですけどね。なぜなら確実に素晴らしくて面白いものが多いからなんですが。僕も松永さんも「努力して鍛錬すれば誰かが見つけてくれる」という幻想が強いのかなと思うんです。流石にお互いは最近、そうでもないかもですが。でも少なくとも「実力さえ付ければ誰かが見つけてくれる」と思ってたんです。でも現実には、自分より実力ある人が文芸誌に掲載されても単行本にはならないということもあって。なんか、「実力があってもダメなんだ」って思っちゃいましたね。だからなにが大事かと言うと、埋もれないために全部使うしかないなと。

音楽や文章にしても、「誰かがやるか」がすごく重要なんですよね。ベテラン作家が書いた文章も埋もれちゃうなら、無名だったDJの世界で努力して有名になった松永さんが、その肩書を使って文章の世界で読んでもらうというのは、全然問題ないしアリだと思います。今どき「自分の鍛錬が足りなくて云々」みたいなことを考える暇はないと思います。そもそも専業小説家も素人だったわけです。僕だってただの高校生だったのが、新人賞を応募してデビューして小説家になったんですから。DJの世界で普通の人が経験していないことを経験した人というバックボーンがある人が文章を書くというのは、ただの素人が新人賞へ応募するよりも有利なのは当たり前ですよね。だから連載第一回のような戸惑いはなしでやったほうが良いと思いますよ。埋もれないためにこだわりを捨てることは大事です。

オープニングトークはradikoのタイムフリーで。

6月18日(木)のオープニングトークを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200618153000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

文學界には、金曜日のあの武田砂鉄さんも連載中。その名も「時事殺し」。