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ナイトワークのシングルマザー向けのフードパントリー▼人権TODAY(2020年6月13日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「ナイトワークのシングルマザー向けのフードパントリー」です。

ナイトワーク従事者だったからこそ分かる当事者の気持ち

新型コロナウイルスの感染拡大で、キャバクラ店や性風俗店といったいわゆる「ナイトワーク」で働く女性たちも休業状態にあります。特に、シングルマザーの女性はその日食べるものにも困る厳しい状況に置かれています。
この緊急事態の中で、有志から寄付された食品を無料で配る「フードパントリー」を通して支援を行っている団体を取材してきました。自身も首都圏近郊のキャバクラ店で従業員として働いていた経験から、ボランティア団体「ハピママメーカープロジェクト」を立ち上げた代表の石川祐一さんはこのように話します。

「ハピママメーカープロジェクト」代表の石川祐一さんと石川菜摘さん

2、3年前までは店長クラスで2店舗、3店舗を見ていた立場にいて、キャストを管理する側だったので、プライベートの相談も受けていました。新型コロナウイルスの感染拡大で、そういう相談活動も難しくなった状況で、いま、何ができるかってなったときに、フードパントリーができるっていうことになった。第1回目が5月5日、第2回目がきょう(6月7日)行うことができて、ある程度の寄付もいただいたので、結構な量の配布ができて安心しています。

石川さんは、同じ仕事をしていた奥様の菜摘さんと一緒に、昨年の末からナイトワークで働く女性のセカンドキャリアに向けた相談活動を始めていました。しかし、国の緊急事態宣言を受けて、お2人の勤めていた店も休業、相談業務もストップしてしまいます。そんな中、埼玉県の川口市で子ども食堂を運営していた知人から、フードパントリーを通じて支援活動をしてみないかと提案され、川口市を拠点に活動を始めたそうです。

食材提供だけでなく、気軽に生活相談できる場を

6月7日(日)午後、川口市内のとある医療機関のロビーを間借りして食材の配布が行われました。企業や個人から寄付されたお弁当をはじめ、お米、カップ麺、レトルト食品、お菓子、牛乳、パン粉が付いた状態のお魚、消毒液やマスクなどが段ボールに詰められた状態で、希望者23世帯・66人のもとに届けられました。事前にアレルギーの有無や食べ物の好みを聞く形を取っていて、配慮が感じられました。感染防止のため、事前受付制で、直接受け取りに来れない家庭にはスタッフが車で運びました。

希望者に配布された食材・物資

ナイトワークで働くシングルマザーが対象ということですが、あくまで「自己申告制」だということです。
困ったことがあれば、手助けしてくれる人や受け止めてくれる場所があるんだと感じてもらうことが大切だと言います。

ほかのフードパントリーは身分証明ですとか、収入証明だとかが必要なところも多いようですが、うちは住所も、「夜の世界」の勤務歴なども聞かないです。押しつけがましく「救う」という姿勢ではなく、食材を受け取りに来た際にお話しした感触で、次につながればいいかなと。ここに来ている人たちが公的機関を利用して支援をもらっているという事実だとか、いろんな話を聞く中で、「私も利用していいんだ。友だちにも教えてあげよう」とだんだん輪が広がってくれば、「昼の世界」の常識が吸収できるようになると思うんで。

あえて、「夜の世界で働く」と名前をつけているのは、支援が届きにくく、当事者たちも声をあげにくい、支援対象として等しく見てもらえないという現状があるためです。
また、公的な支援を自分が利用できるかどうかも分からない、そもそも制度があること自体を知らないという人も多いことから、
団体の活動に賛同する社会福祉士や弁護士などの専門家も食材の受け渡しの場に同席して、気軽に相談に乗れる態勢を作っています。

経験者だからこそ分かる共感

そして、今回取材していて印象的だったのが、自身もナイトワークで生計を立てている、あるいは、かつてナイトワークで生計を立てていたというシングルマザーの女性たちがボランティアスタッフとしてお手伝いをしているところです。
この日スタッフとして参加していた、性風俗での勤務経験もあるというシングルマザーの女性に伺いました。

10代ぐらいから風俗の仕事を始めていて、ずっと長くやってたんですけど、
いまは子供を育てているのでお仕事をお休みしています。性産業で働いている人の方が社会的な情報へのアクセスがすごく疎いんですよね。情報のアクセスポイントがないので、その宣伝とかができたらいいなと思っています。行政にどうやって自分自身の情報を提供すればいいのか、また、言ったことによって、嫌な思いをするだろうなとか、逆にいろんな詮索が起こるんじゃないかとか…疑心の方が先に立つので、「つながり」をやっぱり作りづらい。最近、税理士を探しているっていう人に、性産業への偏見のない税理士さんを紹介しました。

団体の活動は、女性たちにナイトワークを止めされることを目的としたものでもなければ、ナイトワーク以外の仕事を推奨するものでもありません。大切なのは、「彼女たち自らが考え、選択していける環境」を整えていくことだと話します。

当面は月に1度のペースでフードパントリーと支援制度の情報提供を行っていきたいということです。困っていることがあったら気軽に相談して欲しいというのと同時に、食材や物資を提供してくださる企業・個人も随時募集しているということです。
詳しくは、「ハピママメーカープロジェクト」までお問い合わせください。

(取材報告:TBSラジオ・ディレクター 瀬尾崇信)