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「いま最も信頼のおけるロックバンド、THE 1975入門〜80年代オマージュ編」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム(2020/05/22)

「いま最も信頼のおけるロックバンド、THE 1975入門〜80年代オマージュ編」

高橋:今日はこんなテーマでお届けいたします! 「本日新作リリース! いま最も信頼のおけるロックバンド、THE 1975入門〜80年代オマージュ編」。

今日、日付が変わったのと同時に通算4枚目のニューアルバム『Notes on a Conditional Form』をリリースしたロックバンド、The 1975を紹介したいと思います。The 1975は2013年にアルバムデビューしたイギリスはマンチェスターに拠点を置く4人組ロックバンド。世代的には1988年~1990年生まれ、アラサーのメンバーで構成されているんですけど、いまを生きるロックバンドとしてひとつの理想像を体現しているバンドと言っていいと思います。

スーさんはご存知だと思いますが、もうここ数年アメリカの音楽作品の売り上げはヒップホップがロックを上回って最大ジャンルになっています。今週の全米シングルチャートも上位10曲すべてヒップホップやR&Bで占められていて。そんなロック不遇と言われる時代に、The 1975はロックバンドの矜恃や美意識を保ちながら現代の新しいサウンドや新しい社会の価値観を見事に血肉化している、いま最も信頼できるロックバンドといえるでしょう。

スー:ほう!

高橋:今回のニューアルバムにしても、オープニングはスウェーデンの活動家グレタ・トゥーンベリさんの環境問題についてのスポークンワードで始まって、そこから「これからは俺たち若い世代が新しい価値観で世界を変えていくんだ」と宣言する「People」へと流れていく構成になっているんですよ。このオープンニングが血が滾るようなとんでもないかっこよさで。

スー:本当にそうなってほしい! お願いします!

高橋:The 1975はこうした環境問題のほかにも、たとえばジェンダーイクオリティ(男女平等)を強く訴えていて。最近ではジェンダーバランス(男女比率)が不均衡な音楽フェスには出演しないと表明したことが話題になりました。

そうした環境問題や男女平等に加えて、今回の新作ではLGBTQやデジタルデトックス(インターネット依存)なども題材にしているんですけど、彼らはそういったメッセージを多種多様なサウンドに乗せて表現していくんですよ。パンク、フォーク、テクノ、ハウス、ヒップホップ、ファンクなど、カメレオンのように曲によってスタイルを変えていって。でも、それがちゃんと「ロックバンド:The 1975」として一貫性を維持しているんです。本当にすごいバンドなんですよ。

そんなThe 1975なんですけど、サウンド自体は基本的にめちゃくちゃポップで。特に80年代ポップスの要素を取り入れたキラキラした甘酸っぱいサウンドが彼らの大きな魅力になっているんですね。今回のニューアルバムも含めたこれまでの4枚のアルバムにも、必ず一曲はスピッツみたいな胸キュンソングが収録されているんです。

今日はアラフォー/アラフィフのリスナーの皆さんにもThe 1975に親近感を抱いて欲しいということで、彼らが80年代サウンドを取り入れた楽曲から選りすぐりの4曲聴いてもらいたいと思います。

スー:お願いします!

高橋:まずはニューアルバムから一曲聴いてもらいましょう。

M1 If You’re Too Shy (Let Me Know) / The 1975

高橋:ちょっとティアーズ・フォー・フィアーズ風というかね。

スー:俗に言う「懐メロの新譜」ですね。

高橋:フフフフフ、本当に。ジョン・ヒューズが監督した青春映画のサウンドトラックに入っていそうな曲ですよね。

スー:完全に入ってる!(笑)

高橋:この「If You’re Too Shy (Let Me Know)」はアルバムの先行シングルとして4月23日にリリースされているんですけど、偶然なのか狙ったのか、ポストコロナのラブソングになっているんですよ。歌い出しの「I see her online」(彼女と会うのはオンライン上)からわかると思うんですけど、オンラインデート/リモートデートを題材にしたラブソングで。このあたりの感覚がまた絶妙なんですよね。

次は2018年リリースの前作『A Brief Inquiry into Online Relationship』より、「It’s Not Living (If It’s Not With You)」。この曲、ミュージックビデオはトーキング・ヘッズの映画『ストップ・メイキング・センス』のパロディ仕立て、そして曲のメロディはベリンダ・カーライルの「Heaven Is a Place On Earth」似という。

スー:フフフフフ。

高橋:これだけだとわけがわからないと思いますが(笑)、そこにきてタイトルは「君がいないなら生きている意味がない」。「これはめちゃくちゃ甘酸っぱい曲だ!」と思いきや、ここで歌っている「君」は実はドラッグのメタファーなんですよ。まあ、それを踏まえたうえであれば甘いラブソングとして聴いてもいいんじゃないかと思います(笑)。

M2 It’s Not Living (If It’s Not With You) / The 1975

スー:甘酸っぱいね。でもドラッグの歌なんだよね(笑)。

高橋:そう、初めて洋楽を聴いたころの気持ちが甦ってくるような曲なんだけどドラッグの歌(笑)。

次、3曲目は2016年のセカンドアルバム『I Like it When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It』より「UGH!」。これもラブソングを装ったドラッグの曲、ラリった状態を歌った曲なんですけど、曲調としてはもろにスクリッティ・ポリッティの「Perfect Way」を参照したようなキラキラしたシンセファンクになっています。

M3 UGH! / The 1975

高橋:最後はふたたびニューアルバムから「Me & You Together Song」を。この曲は「ずっと彼女に恋してるんだけどうまくいきそうにない」とぼやく片思いソング。でもメソメソしてない明るい片思いソングですね。曲調的にはもはやスピッツ。スピッツをシューゲイザー的というかネオアコ的というか、UKギターポップ風味にアレンジしたような曲で。どちらかというと90年代的なところもありますが、もうめちゃくちゃ甘酸っぱいです。

M4 Me & You Together Song / THE 1975

高橋:これは胸キュンでしょ?

スー:すごい! 胸キュンで炭酸シュワシュワ!

高橋:この曲、ミュージックビデオが『クルーレス』や『エンパイア・レコード』あたりをモチーフにした90年代の青春映画風で。こちらも最高なので併せてお楽しみください。

というわけで計4曲紹介してきましたが、これはThe 1975というバンドの一側面にスポットを当てたにすぎないんですよ。興味を持たれた方はぜひ各サブスクリプションサービスにある入門用プレイリストを聴いてバンドの全貌をつかんでいただきたいです。

スー:かしこまりました。堀井さんも胸キュンしました?

堀井:はい、三宿の『チーズケーキファクトリー』に行きたくなりました。

スー:アハハハハ! 正しい!

高橋:本日リリースのニューアルバム『Notes on a Conditional Form』もぜひチェックしてくださいね。まちがいなく2020年の最重要アルバムです!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

5月18日(月)

(11:06) Sun Song / Stuff
(11:36) Alone Too Long / Daryl Hall & John Oates
(12:13) Doctor Wu / Steely Dan
(12:47) 砂の女 / 鈴木茂

5月19日(火)

(11:04) Someday Man / The Monkees
(11:24) Bitter Honey / The Holy Mackerel
(11:36) Always You / The Sundowners
(12:12) Kinda Wasted Without You / Roger Nichols & The Small Circle of Friends
(12:23) Let’s Ride / Royalty
(12:47) The Drifter / The Sandpipers

5月20日(水)

(11:04) Culture Club / Time(Clock of the Heart)
(11:22) Duran Duran / Save a Prayer
(11:35) Kajagoogoo / Hang On Now
(12:17) Spandau Ballet / She Loved Like Diamond
(12:23) The Drifter / The Sandpipers
(12:49) 米米CLUB / リッスン

5月21日(木)

(11:04) Chega de Saudade / Joao Gilberto
(11:35) Discussao / Sylvia Telles
(12:19) Tem do de Mim / Carlos Lyra
(12:51) Voce e Eu / Maysa

5月22日(金)

(11:04) Cherish What Is Dear to You / Freda Payne
(11:20) Don’t Count Your Chickens (Before They Hutch) / Honey Cone
(11:32) Working on a Building of Love / Chairmen of the Board
(12:14) Women’s Love Rights / Laura Lee