TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
5月9日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、独立行政法人「地域医療機能推進機構」理事長・尾身茂(おみ・しげる)さんに去年8月17日にご出演いただいたときのインタビューをあらためてお聞きいただきました。
9ヵ月前の警句

尾身さんは青年時代、東京の伊豆七島などの僻地医療に携わり、40代からの20年間はWHO西太平洋地域事務局でポリオ、SARS、新型インフルエンザといった感染症と闘ってきました。そして現在は政府の専門家会議の副座長として、先週お聞きいただいた北海道大学教授・西浦博さんたちとともに、新型コロナウイルス感染症対策の最前線にいます。
9ヵ月前に尾身さんが語っていたことは、いま私たちの確かな実感となっています。
「感染症は忘れた頃に必ず来る」
西浦さんも去年3月に同じことを言っていました。それから1年も経たないうちに私たちが感染症と向き合う当事者になるということをどのくらいの人が想像したでしょうか。いま異例の売上を記録しているアルベール・カミュの小説『ペスト』も、まさに同じ言葉で締めくくられています。
1980年にWHOが天然痘の根絶を宣言したとき、20世紀中に感染症は克服されるものと期待されました。ところが現実はその反対になっています。この20~30年は、毎年のように新たな感染症が現われています(新興感染症)。ヒト新型インフルエンザ、SARS、腸管出血性大腸菌O157、HIVなどがそうです。またマラリアや結核のように、抑え込んでいたはずのものが再び猛威を振るうケースもあります(再興感染症)。
「そして、感染症はこれから減ることはない」
人口増加、自然開発による動物と人との接触機会増加、グローバル化による人の移動拡大、地球温暖化。こうした要因があるため感染症は減ることはないと尾身さんは断言していました。
「だからいつでも準備しておかなければいけない」
次回は、作家・高橋源一郎さん
5月16日の「今週のスポットライト」には、作家の高橋源一郎さんをお迎えします。新型コロナウイルスで不安な毎日が続くなか、高橋さんはどんなことを考え、どんなふうに過ごしているのか。こんなときだから高橋さんにお話をお聞きします。