お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

「魂を鼓舞する音楽、アフロビートを聴いてうちで踊ろう!」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム(2020/05/8)

「魂を鼓舞する音楽、アフロビートを聴いてうちで踊ろう!」

魂を鼓舞する音楽、アフロビートを聴いてうちで踊ろう!http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200508123300

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

スー:ヨシくん、今日は「魂を鼓舞する音楽、アフロビートを聴いてうちで踊ろう!」というテーマだそうで。

高橋:はい。めずらしいですね、タイトルをスーさんに言ってもらうなんて。

スー:だって台本に「スー」って書いてあったよ?

高橋:それは単に台本がまちがってるだけですね(笑)。

スー:我々はほら、台本を読むだけの人間だからさ。台本を読むだけの機械だから(笑)。

高橋:フフフフフ。「アフロビート」って聞いたことあります?

スー:わかんない。

高橋:堀井さんはどうですか?

堀井:もちろん初めて聞きました。

高橋:アフリカに関連する音楽であることは名前からなんとなくわかると思うんですけどね。アフロビートは西アフリカに位置するナイジェリアの伝説的なミュージシャン、フェラ・クティが中心になって1960年代後半に生み出された音楽スタイルになります。アフリカ音楽にジャズやジェイムズ・ブラウンのファンクを融合させて、さらにそこにアメリカのブラックパワームーブメント/黒人解放運動から影響を受けた政治的メッセージを込めた音楽になります。

実は先週4月30日、そのフェラ・クティの右腕的存在でアフロビートのパイオニアのひとり、偉大なドラマーのトニー・アレンが79歳でお亡くなりになって。今日はそんなトニー・アレンの追悼の意味を込めてアフロビートを取り上げようと思った次第です。アフロビートと、アフロビートがポップミュージックに及ぼした影響を聴いていきたいと思います。

まずはアフロビートやフェラ・クティの影響を受けた作品のわかりやすい例としてこちらを聴いていただきましょうか。

BGM Deja Vu (Live) / Beyonce

高橋:これはジェーン・スーさんの生きる糧ですね(笑)。

スー:はい!

堀井:ひとりですごい踊ってます(笑)。

高橋:もうこの番組では何度も紹介されていますね。去年Netflixで公開になったR&Bシンガーのビヨンセのドキュメンタリー映画『Homecoming』より、2018年のコーチェラフェスティバルでの「Deja Vu」のライブパフォーマンスです。この演奏ではフェラ・クティの1976年の作品「Zombie」のフレーズを引用しているんですよ。

ビヨンセとフェラ・クティの関係について話すと、2009年にフェラ・クティの生涯を描いたミュージカル『Fela!』がブロードウェイで上演されて非常に高い評価を獲得しているんですよ。トニー賞では11部門でノミネート、うち3部門で受賞しています。ビヨンセはその影響から2010年前後にフェラ・クティにインスパイアされたコンセプトアルバムをリリースする構想を立てていて。ほぼ完成していたにも関わらず、最終的にお蔵入りになってしまったんですけどね。ただ、ビヨンセが2011年に発表したアルバム『4』にはその名残があるんですよ、まさにアフリカ音楽の要素を取り入れた「End of Time」ではミュージカル『Fela!』のバンドが参加していたりします。

では、ここではビヨンセの「Deja Vu」のパフォーマンスで引用していたフェラ・クティの「Zombie」を聴いてみましょうか。ドラムを叩いているのは先ほど触れたトニー・アレンです。

M1 Zombie / Fela Kuti

高橋:ビヨンセが思い切り引用しているのがおわかりいただけたのではないかと。

スー:こっちのオリジナルのほうが軽くて湿度が低いというか、砂埃が舞ってるような軽やかさを感じるね。

高橋:かつ勇壮さもあったりしてね。こうしたフェラ・クティやアフロビートの影響を受けた音楽を紹介していくと結構キリがないところもあるんですけど、なかでもよく知られているのがデヴィッド・バーン率いるトーキング・ヘッズですね。

スー:はいはい。なるほど、わかってきたぞ。

BGM Fela’s Riff (Unfinished Outtake) / Talking Heads

高橋:いま聴いてもらっているのはトーキング・ヘッズの代表作、1980年のアルバム『Remain in Light』のアウトテイクなんですけど、このタイトルが「Fela’s Riff」と名付けられているんですよ。つまり「フェラ・クティにインスパイアされたリフ」ということですね。おそらく、こういうセッションを繰り返すことで目指すサウンドのイメージを固めていったのでしょう。

ここからもわかると思いますが、トーキング・ヘッズの『Remain in Light』は思いっきりアフロビートの影響を受けてつくられているんですね。このアルバムのプロデュースを担当したのはデビッド・ボウイやU2を手掛けているブライアン・イーノなんですけど、彼がトーキング・ヘッズのメンバーに聞かせたフェラ・クティの1972年のアルバム『Afrodisiac』が『Remain in Light』のモチーフになっているんです。

スー:へー!

高橋:今度はその『Afrodisiac』から「Alu Jon Jonki Jon」を紹介したいと思います。BGMで流れているトーキング・ヘッズの演奏が完全にフェラ・クティからインスピレーションを得ていることがよくわかると思います。こちらも先ほどの「Zombie」同様、ドラムはトニー・アレンによるものです。

M2 Alu Jon Jonki Jon / Fela Kuti

高橋:トーキング・ヘッズがどうやってフェラ・クティのビートを自分たちのスタイルへと昇華させていったのか、こうして聴き比べてみるとなんとなくわかってもらえるかと思います。

スー:かっこいいですねー。

高橋:かっこいいね、ぶち上がります。では、次はここ最近のリリースからフェラ・クティのオマージュ、アフロビートの影響を受けてつくられた曲を紹介したいと思います。イギリスのモンスターバンド、コールドプレイの「Arabesque」。これは去年の11月にリリースされた彼らの最新アルバム『Everyday Life』の収録曲です。

この曲はアフロビートの要素を取り入れつつ、フェラ・クティの肉声をサンプリングしているんですね。さらにフェラ・クティの息子フェミ・クティがホーンで参加していて、それに加えてフェミ・クティの息子マデ・クティがホーンアレンジに携わっているという。

スー:フフフフフ、全フィーチャーですね。

高橋:そう、一曲のなかに親子三代勢揃いしているというね(笑)。

スー:すごい、孫まで!

高橋:ここでコールドプレイがフェラ・クティのどんな言葉をサンプリングしているかというと、「Music is the weapon of the future」(音楽は未来への武器だ)というフレーズなんですね。これはナイジェリア政府の腐敗/悪政に音楽で闘ってきたフェラ・クティの活動を象徴するフレーズで、フェラ・クティのドキュメンタリー映画のタイトルも『Music Is the Weapon』だったりします。コールドプレイの今回のアルバムはさまざまな社会問題を扱ったメッセージ性の強い内容だから、まさにこのフェラ・クティのスピリットを継承しようとしているんでしょうね。

M3 Arabesque / Coldplay

高橋:この曲の雛形はコールドプレイが10年前、トーキング・ヘッズにフェラ・クティを聴かせたブライアン・イーノと行ったセッションから生まれたそうで。いろいろつながっているんですよね。

では、最後は「Zombie」と並ぶフェラ・クティの代表曲「Water No Get Enemy」で締めくくりたいと思います。1975年のアルバム『Expensive Shit』の収録曲。この「Water No Get Enemy」はR&Bシンガーのディアンジェロがカバーしているほか、ヒップホップの曲などでもよくサンプリングされているので聞き覚えのある方も多いのではないかと。これも引き続きドラムはトニー・アレンによるものです。

M4 Water No Get Enemy / Fela Kuti

スー:かっこいい!

高橋:今日紹介したフェラ・クティの曲、実はどれも10分以上あって。だから、どれも曲のほんの一部を聴いていただいたにすぎないんですよ。本来はその長い尺で聴いてこそのアフロビートみたいなところがあるんですよね。

スー:グルーヴ感とかね。

高橋:そうそう。いま各音楽ストリーミングサービスにフェラ・クティやアフロビートのプレイリストがたくさんあるんですよ。たとえばSpotifyだったらR&Bシンガーのエリカ・バドゥやトーキング・ヘッズを手掛けたブライアン・イーノの選曲によるプレイリストがあるし、AppleMusicだったらトニー・アレン自ら選曲したプレイリストもあったりして。まずはそういったプレイリストを通してどっぷりとアフロビートの世界に浸かっていただけたらと思います。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

5月4日(月・祝)

(11:08) Don’t Answer Me / The Alan Parsons Project
(11:26) Sunglasses / Tracey Ullman
(11:39) The Way Life’s Meant to Be / Electric Light Orchestra
(12:14) Say Goodbye to Hollywood / Billy Joel
(12:23) The Last Time / Daryl Hall & John Oates
(12:50) 雨は手のひらにいっぱい / SUGAR BABE

5月5日(火・祝)

(11:07) Carly Rae Jepsen / Part of Your World
(11:31) Michael Buble / You’ve Got a Friend in Me
(11:41) Billy Joel / When You Wish Upon a Star
(12:13) Mattew Morrison / A Dream Is a Wish Your Heart Makes
(12:23) Yuna / A Whole New World
(12:49) 小西康陽 / Part of Your World

5月6日(水・祝)

(11:05) You Can’t Hurry Love〜恋はあせらず〜 / Phil Collins
(11:25) Maneater / Daryl Hall & John Oates
(11:42) Drive it Like You Stole it / Sing Street
(12:16) Part Time Lover / Stevie Wonder
(12:24) Walking On Sunshine / Katrina & The Waves
(12:50) Crazy / NONA REEVES

5月7日(木)

(11:03) Iko Iko / Dr. John
(11:37) Hey Pocky A-Way / The Meters
(12:14) How Much Fun / Robert Palmer
(12:23) Dixie Chicken / Little Feat
(11:05) Hand Clapping Rhumba 2000 / Tin Pan

5月8日(金)

(11:05) Best of My Love / Emotions
(11:37) It Must Be Love / Alton McClain&Destiny
(12:12) Have Some Fun / B.T. Express