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新型コロナウイルス感染拡大で苦境に立たされている「障害者の作業所」▼人権TODAY(2020年5月9日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…『新型コロナウイルス感染拡大で苦境に立たされている「障害者の作業所」』

「三密」を避けながら運営を継続

障害のある人が学校を卒業した後に、軽作業や接客といった社会的な活動を行う「作業所」。新型コロナウイルスの影響で通常通りの運営は難しくなっていますが、工夫しながら事業を続けている所が多いようです。今回は全国にある作業所の一例として、兵庫県尼崎市でカフェの運営やパソコンでの名刺作成作業などを行う「社会福祉法人あまーち」の事例を紹介します。

「社会福祉法人あまーち」施設長の加山吉恵さん
今現在は月~土曜日まで開けてはいるのですが、ただ来る人は2分の1から3分の1になっています。それはやっぱり密にならないようにということと、休業要請は来ていないんですが自粛しましょうということで、週5来てた人は週3か週2、週2来てた人は週1にという形でこちらの方から提案をして、1日来る人数を少なくしています。特に体に重い障害のある人たちは、休業してしまうと、ずっと家族が家の中で看ている生活になってしまうんです。どこまで我慢できるのか、ということがあるので完全に閉められない。

作業所には一般に、10代後半から30代くらいの身体や知的に障害のある人が通っていますが、特にあまーちの場合、たんの吸引や経管栄養といった「医療的ケア」を必要とする重度の障害がある人も受け入れています。もし作業所に一切通えないとなると親御さんたち大きな負担がかかってしまう。また、これまでは活動の一環として介助者と一緒に出かけることもあったけれど、感染のリスクを避けるためにほとんどできない。なので、せめて消毒や換気が徹底された作業所で仲間たちと作業をすることで、ストレスを解消してほしいという思いで開所しているということです。

障害者の家族に対するPCR検査を保健所が受け付けず

「あまーち」では運営を続けていく上で、とても困ったことが起きたということなんです。施設長の加山さんのお話です。

「社会福祉法人あまーち」施設長の加山吉恵さん
障害のある人の、例えば家族に感染があった場合に、検査ができないんですよね。実際に家族が濃厚接触者の疑いがあったので、保健所にPCR検査をお願いしたんですがなかなかしてもらえなかったり、それはなんでかというと、障害のある人が家にいると、例えば家族の方が感染してしまうと、一人残して入院ができない。そういう場合は、その家族は検査もしてもらえないということがあったんです。

「あまーち」側は、もし通っている本人も感染していた場合は事業所を閉める想定をしていたけれど、検査が受けられないと感染の有無も分からず対応に困ってしまう。結果的には保健所に何度も話して検査を受けることができ、結果は陰性だったそうですが、このときの保健所の対応に大きな課題があると感じたということです。

売り上げ減少で給料にも影響

さらに今後の事業所の運営継続にも課題があると、「あまーち」施設長の加山さんは話しています。

「社会福祉法人あまーち」施設長の加山吉恵さん
自粛で運営してるんですが、報酬が日払いのために運営できるかということがあって、実際には来る人が半分になってるし、感染者が出て休業した場合に、どうしていこうということで。喫茶店も2か所とも運営をしていませんので、外部販売もできていないので、この間ずっと売り上げが落ちているので、障害がある人に対しての給料をどうしようかと今考えているところです。

「あまーち」では、今は自主製品の製作はしているものの、2か所ある喫茶店の営業や外部での製品販売ができず収入減につながっているということです。全国の作業所の連絡会である「きょうされん」が行ったアンケートでも、半数の作業所が3月の工賃が2割以上減る見込みだと回答しています。また作業所では報酬が月払いではなく日払い方式、ということが制度上定められているため、より収入が不安定となっていて、例えば補償を受けるにしても一般の企業と比べて申請がとてもややこしいという問題もあります。

「生産性や効率性は社会保障には似合わない」

加山さんは、こういった状況を踏まえて、このように訴えています。

「社会福祉法人あまーち」施設長の加山吉恵さん
今困っていることは日ごろ困っていることと一緒なんです。それでもなんとか障害のある人や、家族・職員がギリギリで耐えてきたことなんですが、地震の場合も、洪水も、感染症もそうなんですが、社会的弱者と言われる人が一番被害が大きくなっているなと思っています。なので、災害や感染症を無くすことはできないけれども、被害を少なくすることはできると思っているんです。国に一番要望したいのは、生産性や効率性は社会保障には似合わないです。命とか生活と人権を守るために、これからもきちんとそこを理解して、制度を整えていってほしいと切に願っています。

加山さんは、障害のある人の命を守るため、作業所が営業できなくなった場合は補償も一緒に提案してほしい。そして障害の有無に関わらずPCR検査を行えるようにしてほしいと訴えています。

(担当:中村友美)