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新型コロナウイルス感染拡大で、住まいや仕事を失った人の支援はどうなっているのか?

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・「新型コロナウイルス感染拡大で、住まいや仕事を失った人の支援はどうなっているのか?」

担当:崎山敏也

新型コロナウイルスによる感染症の流行で、経済活動が停滞していますが、国が最初の「緊急事態宣言」を出す前の4月3日、生活が苦しい人、ホームレス状態の人を支援する6つの団体が東京都に「路上ホームレス化の可能性が高い生活困窮者への支援強化についての緊急要望書」を提出しました。呼びかけ人となった、まちづくりコンサルタントの北畠拓也さんは提出の際、「例えば、都内に約4000人と言われる、ネットカフェ難民等のような民間商業施設で生活する者は施設が営業停止をした場合、行き場を失う可能性が高く、また、現に仕事を失っている、日雇いや、雇止めにあった非正規雇用者等についても、今後、経済活動の停滞が続く中、居所を失う可能性が高まっていると考えられます」と趣旨を説明しました。

緊急要望書を東京都の福祉保健局に提出する北畠拓也さん

小池都知事が国の緊急事態宣言を受けて、休業要請の対象を発表したのは4月10日。都の推計では、1日当たり4000人が働きながら、ネットカフェで寝泊まりしています。そういう人の支援のために元々、都の「TOKYOチャレンジネット」という相談窓口が新宿区にあり、そこで、行き場を失った人に、一時的な住まいとして、都が借り上げたホテルの部屋を提供することが急遽始まりました。翌日の11日、12日は、土日でしたが、繁華街池袋のある豊島区役所も臨時の相談窓口を設けて、対応しました。

豊島区役所近くの公園ではこの日、緊急要望書を提出した団体の一つ、NPO法人「TENOHASI」が弁当配りや生活相談、国際協力NGO「世界の医療団」が医療相談を行っていました。「TENOHASI」は、並ぶ人同士や、相談のテーブルの間隔をあけ、手指の消毒を徹底、密集しないよう弁当を受け取ったらすぐ持ち帰ってもらうなどして、流行が始まってからもホームレス状態の人への支援を続けています。この日の活動が終わった時、代表理事の清野賢司によると、生活相談に来た人9人で、ネットカフェに泊まっていたけど泊まれなくなったので、翌日、一人が不動産屋に行ってみて、うまくいかなければ、豊島区の臨時相談へ。また3人が午前9時集合で豊島区の臨時相談に行き、TENOHASIのスタッフも3人同行するということでした。

池袋での弁当配り、生活相談、医療相談

豊島区では、池袋のネットカフェにチラシを置くなどしましたが、都全体としては、「相談に来るのを待つ」という姿勢で、こういうサービス、支援の窓口がある、という広報が十分な状態ではありません。必要な人に情報が届いていないので、TENOHASIだけでなく、他の民間の支援団体のところにも相談にいく人が多いようです。TENOHASIの相談に来た、路上生活だが、収入が入ると、ネットカフェを利用するという男性は「行っているところが昨日から閉まってしまったんです。ネットカフェは少なくとも眠れる。個室になっているんで。物がなくなることもないし。きれいです、はっきりいって。役所から、無料定額宿泊所なんて呼ばれるところに押し込まれるより、よっぽどきれいです。ともかく、これからどうしようかなと思っているんです」と話し、TENOHASIのスタッフが今後のことについて一緒に考えていました。

無料低額宿泊所は住まいを失った人に一時的な住まいを提供する福祉施設です。適切に運営されているところもありますが、無料でも低額でもなかったり、相部屋、大部屋で居住環境がよくないところも多く、生活保護を受けて路上生活から脱け出そうとした人が、一時的に入り、結局「施設で暮らすより、路上のほうがまし」となって、路上に戻ってしまう一つの原因になっています。今回、チャレンジネットの窓口に相談して、借り上げたホテルに入った人がいた一方で、各自治体の福祉事務所へ相談した人には、大部屋の無料低額宿泊所が斡旋された例も出ています。緊急要望書の呼びかけ人、北畠さんは対策が取られたことは評価しながらも、「一時的な住まいはプライバシーの確保できる個室を基本にすべきだ」と、4月16日、都と国に要望しました。

北畠さんは4月17日、崎山記者の取材に「もちろん、無料低額宿泊所の中には適切に運営されている施設もありますが、構造的に大部屋になってしまいます。現在の、感染拡大を防止する、という意味においては、適切な入居先、という風には思えない」と話します。そして、「都が用意したホテルの部屋に入れたとしても、基本5月6日までということになっています。そのあとに、適切な住居に入りながら、必要な支援を受けられるような態勢を今のうちに築いておくということができるかというのが課題になっていると思います」と答えました。

生活が苦しい、住まいを失った人には何よりもまず、安心して住める場所、落ち着いて、これからのことを考える場所が必要です。ネットカフェに寝泊まりしていた人だけでなく、経済の停滞で失業して、最後の給料は受け取ったが同時に寮などの住まいを失ったとか、今は住まいがあるけど、家賃が払えなくなるとか、少し遅れて、不安定な状況になる人がこれから増えることが予想されます。東京都だけでなく、埼玉県、千葉県、神奈川県も一時的な宿泊施設はそれぞれ設けられましたが、状況は同じです。

そして4月17日、崎山記者が北畠さんに話を聞いた後、厚生労働省が、「一時的な住まいを紹介する時は個室の利用を促すこと、また、健康状態に応じて、衛生管理体制の整ったところを案内するなどの配慮をお願いしたい」という事務連絡を出しました。改善の方向に一歩進んだようですが、これが実際に現場に反映されるか、そして、最終的に、住まいと仕事の確保につながるのか、新型コロナウイルスによる感染症の流行が続いている間、取材は続きます。

 

※TOKYOチャレンジネット https://www.tokyo-challenge.net/

※緊急要望書の呼びかけ人、北畠拓也さんのHP https://www.sharin.work/

※様々な相談窓口がまとめてある、北畠拓也さんのnote https://note.com/ddsharinnouta/n/n83863ea29199

※NPO法人「TENOHASI」 https://tenohasi.org/