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全国から予約が入る「シニア専門の写真館」太田明良さん(えがお写真館)

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
3月21日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、シニア世代を専門に撮影する「えがお写真館」(東京・巣鴨)を運営している太田明良(おおた・あきよし)さんをお迎えしました。えがお写真館は小さなスタジオですが、見違えるほど生き生きとした表情で撮影してくれることが評判となり、北海道から沖縄まで全国各地からひと月に100人以上のシニアが訪れます。

全国からひと月100人以上の予約


太田さんは1979年、石川県生まれ。憧れていたファッションスタイリストの仕事に就きましたが、やがて「自分にはあまり向いていない」と感じ、起業することを考えるようになります。そして2014年、34歳のときに会社を立ち上げ、〝おばあちゃんの原宿〟として有名な東京・巣鴨のとげぬき地蔵の近くに、シニア専門の写真館「えがお写真館」をオープンしました。

写真館にやってくるお客の95%が女性。中心は60代後半から70代。上は90代も。撮影はいくつかのコースがあります。「基本プラン」(19,800円+税)、「ベストショットプラン」(29,800円+税)、「遺影プラン」(37,760円+税)、「シニアビューティプラン」(29,800円+税)、「ワイワイプラン」(1人23,800円+税、2人47,600円+税、2人以上も可)、「ご家族ブラン」(1家族49,800円+税)。申し込みの7割が遺影プランだそうです。※コースや料金は2020年3月時点のものです。

「きれいな遺影」ニーズを掘り起こす


シニア専門、それも遺影がメインの写真館というユニークなアイデアは、太田さん自身、父親を亡くしたときに遺影に使ういい写真がなくて困った経験がヒントになったそうです。

「10~20年前ぐらいから、子供の写真を撮る写真館がはやりだしたんですね。新規参入するのも子供を狙った写真館ばかりだったので、ぼくたちは逆を考えました。シニアの方たちがこれだけ増えている中で、シニア向けの写真館を提案したどうなるだろうと。20歳以降、あるいは結婚式以降、写真館を利用することってほとんどないですよね」(太田さん)

「そうかもね。あとは子供が生まれてからでしょうけど、生まれたら子供中心になっちゃうし」(久米さん)

「自分の写真となると、あとは証明写真ですよね。運転免許の写真か就職用の写真。そうすると遺影になる写真は持っていないという状況です」(太田さん)

「特に50歳、60歳になると、一人で撮っている写真ってほとんどないんですってね。あるのはグループ写真。みんなで旅行に行って浴衣を着てうわ~ってやってるところ(笑)。一人で撮った写真がないから、遺影用の写真を探すことになると、みんなで撮った写真から切り抜いて拡大する。そうするとピンボケでね。ピンボケの写真を遺影にすると、悲しみがいや増す(笑)」(久米さん)

「そうなんです。そういう写真を見ると悲しみが膨らみますよね」(太田さん)

言われてみれば、シニア世代になってから自分一人で写っている写真って、あまりないのではないでしょうか。だから遺影は当人が亡くなってから家族が慌てて探すケースが多くなります。「ヘンな写真を私の最後に使ってほしくない」。太田さんは、自分が納得する遺影を撮っておきたいというシニア世代のニーズを掘り起こしたのです。

祖母の遺影に人だかり


いまでこそ「予約が取れない写真館」と言われることもありますが、太田さんがシニア専門を掲げて始めた当初はまったくお客さんが来なかったそうです。倒産してもおかしくない厳しい状況のなか、太田さんのおばあさんが石川県から写真館に着てくれました。きれいになった姿を撮影して満足して帰ったそうですが、その3ヵ月後に急死。結果的にそのときの写真が遺影となりました。斎場に入ってくる人たちが「素敵な写真だね」「きれいだね」「前から写真を準備してたのかな」「どこで撮ったんだろうね」と話しているのを聞いて、太田さんは「みんなこういう写真がほしいんだなあ」と思い、まだ写真館に来る人は少ないけれど、やろうとしていることは間違ってないという気持ちを強くしたそうです。

「街に出てビラを配ったり声をかけていたんですけど、おばあちゃんの中にもインフルエンサー的な人がいて、シニアの中のボスみたいな方ですね。そういう方がいろんな人に声をかけてくれたんです。シニアの方はインターネットもあまり見ませんから、シニアのボスのおかげで、クチコミで広がっていきました」(太田さん)

ステキな写真に本人もびっくり!


えがお写真館に入ってきたときの顔と、ヘア&フェイスメイクをしてからの顔は、ご本人も驚くほど変わります。若い人よりもシニア世代の人のほうが大きく変わるように思います。

この写真館ではメイク担当がひとり付いて1時間かけてメイクをします。そして撮影に1時間。その間、ポジティブな言葉をたくさんかけているそうです。お客さんには気恥ずかしさがありますから、結構ぶっきらぼうな人も少なくないそうですが、ずっと褒められていると、初めは「お世辞で言っているのだろう」と警戒していても、だんだん気持ちがほぐれてきます。なにより、自分の顔がどんどんきれいに変わっていくのが分かると、自然と笑顔がこぼれるようになります。

「高齢になるとだんだん『どうせ見せる人もいないし、そんなにきれいにしなくてもいいや』というふうになりがちです。『もういいやスイッチ』が入ると、ヘアスタイルも着る服もだいたいいつも似たようなものになってしまうんです。でも、メイクされてどんどんきれいに変わっていく自分を見ているうちに、お客さんの態度や話し方まで変わってくるんです」(太田さん)

改めて上の写真を見てください。「ビフォー」に比べて「アフター」の表情はとても生き生きしています。もちろんメイクや撮影の技術で美しく見せているのですが、みなさん自然と表情が明るくなっていますよね。

「ぼくたちがやるヘアメイクもフェイスメイクも、シニアの方たちが若い頃にやっていたものとは違うみたいで、すごく興味津々に聞いてきます。だから打ち解けるのがものすごく早いです」

「だって、いま70歳の人って、若いときはISSEI MIYAKE(イッセイ ミヤケ)やコム・デ・ギャルソンを着ていた人たちでしょ。だから関心がないわけじゃないんだよね。

「どちらかと言うと、いまの若い人よりファッションにものすごく興味がありますし、きれいになることに貪欲だと思いますね。なので、お化粧品ひとつをとっても、メイクのやり方を聞いたあと必ず『どこで買ったらいい?』って聞いてきます」(太田さん)

やりすぎてはいけない


えがお写真館で撮影すると見違えるように変身した姿になります。ところが、太田さんは「『変身』ではない。『変身』ではだめなんです」と言います。

「ビフォーとアフターの写真、こんなに変わっちゃっていいのっていうくらい変わっちゃってますけど(笑)。いや、いいんですよ、きれいになるのは。でも遺影の場合、度を越してきれいになっちゃうと(笑)」(久米さん)

「あんなお母さん、見たことないってことになっちゃいます」(堀井さん)

「これが本当に難しくて、ぼくたちも始めた頃はお客様が喜ぶと、ヘアメイクも度を越していくんですよね。でもあるとき、ご家族の方から電話がかかってきまして、『なんでこんな写真を撮ったんですか』って怒られてしまったんです。
そのとき気がついたんです。ご本人が喜んでも、ご家族が喜ばなければ意味がないって。そこからぼくたちはやり方が変わって、ご本人に喜んでいただくのはもちろんなんですが、その先にいるご家族のことをかなり意識して、メイクや撮影をするようになりました」(太田さん)

えがお写真館のスタッフがやろうと思えば、メイクや撮影のプロですから、いくらでもシニアたちを「変身」させることはできます。でもそれで必ずしも家族が喜ぶとは限りません。変身させるのではなく、その人が持っているポテンシャルを最大限に引き出すように考えてやっていると太田さんは言います。

「撮影に来て自分の顔がどんどん変わっていくのを見ると、みなさんやっぱり髪の毛とか服も含めたトータルコーディネートに興味を持つようになるんですね。元々おしゃれに興味があった方たちだったのに、年齢が上になってくると自分に合った服を売っているところが少ない。うんとハイブランドを買うか、逆に、うんとカジュアルなほうに行くしかなくなっちゃうんです。選択肢が少なくなれば、だんだん服とかおしゃれに興味が薄れてきますよね。それで写真館に来るお客様から『このメイクに合う服はどこ行けば売ってるかしら?』『ここは美容室はやってないの?』と言われるようになったんです。それで『えがお洋品店』『えがお美容室』『えがお爪工房』(ネイルサロン)もやるようになったんです。みんな、お客様の声から発展したんです」(太田さん)

メイクひとつ、写真ひとつが、シニアライフをポジティブなものに変えてくれる。最近は、シニアのご家族が誕生日のプレゼントとして撮影を申し込んだり、ご家族と一緒に撮影するというケースも多いそうです。

太田明良さんのご感想


ぼくが小さい頃見ていた「ニュースステーション」の久米さんのイメージそのままという感じでした。30分、結構あっという間でした。ありがとうございました。
堀井さんは目でうなづいてくれたり、すごくフォローしていただきました。メイクは女性が普段やっていることなので、化粧すると気持ちがどう変わるというところは、男性より女性のほうが分かるんだろうなと思いました。ぼくも仕事にしてはいますけど、自分ではメイクをしないので、分からないところもあるんです。でも女性の方は、ちょっと話しただけで「ああ!」って分かるところがあるんでしょうね。



「今週のスポットライト」ゲスト:太田明良さん(シニア専門写真館)を聴く

次回のゲストは、YASUDA代表・佐藤和博さん


3月28日の「今週のスポットライト」には、18年前に倒産した日本初の国産サッカーシューズメーカー「YASUDA(ヤスダ)」を復活させた佐藤和博(さとう・かずひろ)さんをお迎えします。40代から50代以上のサッカー経験者なら誰もが憧れたYASUDAのシューズ。新しい歴史が始まりました。

2020年3月28日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200328140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)