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柳美里×武田砂鉄、東北の方々の話を「聞く」距離について

ACTION

3月13日(金)のゲストは作家の柳美里さん。柳さんは2015年から福島県南相馬市に移住し、ブックカフェ「フルハウス」をオープンしています。今日は柳さんから東北の人々との関わりについて、武田砂鉄さんがお話を伺います。

武田:柳さんが南相馬の臨時災害放送局でパーソナリティをされていたラジオ番組は、町の人がお2人で来られて話をする番組ということで、それはなぜ2人にしたんですか?

柳:出てくださる人が、普通の地元の人なので、1対1で私とマイクで話すとなると話せないかなと思ったんですね。でも、2人でと依頼すると、大体一番親しい人と来てくれるんですね。そうすると2人の歴史、「生まれたときから同じ地域で〜」とか、震災前の南相馬の町の様子とかが聞けるんですね。2人って社会の最小単位だから。そういう意味でタイトルを「柳美里のふたりとひとり」にしたんです。あと、「ふたりとひとり」の「と」が大事だと思っていて。3人にはなれないんです。2011年3月11日はそこにいなかったから。そういう自分の倫理というか、その距離を大事にしようと思ったんですね。

武田:柳さんのエッセイ『南相馬メドレー』を読んで、「簡単に共感するということではなく、共に苦しむことから始める」とお書きになられていましたが、共感ではなく共振することから始めることが大事で、だからこそ「と」が残り続けるということですかね。

柳:そうですね。やっぱり距離が大事だと思っていて。距離があるから「あなたのことを知りたい」って思うわけで。震災後、「絆」とか「頑張ろう」、「がんばっぺ」みたいな言葉って距離がない言葉だなと思って。距離って人によってはすごく離れているほうがいい人もいれば、肌が触れるぐらい近くにいないと寂しいと思う人もいるかと思いますが、その距離を一人ひとり測りながらという意味で「と」は残るかなと思いますね。

武田:何年か前に宗教学者の山折哲雄さんと『沈黙の作法』という対談本を出されて、その中で言葉の議論をされていて、「死者の沈黙より軽い言葉を発してはならない」と書かれていて、これは重い言葉だなと思うんですね。「こういうことだろう」と推測して言葉をはめこんじゃうんだけど、それによって軽く薄く伝わる可能性があるということを常に考えなきゃいけないなと痛感したんですよね。

柳:3月11日って定規の目盛りの中の一つの日じゃなくて、それ以降もあるんですけど、その3月11日って日々の暮らしに組み込まれているから、過ぎないんですよ。小高駅だったら、その海側は全部津波で流されたところなので、そこで日々電車に乗ると、日々の暮らしの中に3月11日が風景としてあるので、私は3月11日は過ぎないと思うんです。

武田:たとえば「3.11を忘れない」という言葉があるんだけど、そこで暮らしている人たちは忘れているわけはないんですよね。そういう言葉は忘れている人たちが勝手に忘れないように言っているだけで、ともすれば暴力的な言葉になりかねないですよね。

柳:「3.11を忘れない」という言葉自体が他人事のような気がしますね。そして、思い出したいときに思い出す、みたいな。

武田:ラジオ番組で何百人と対話してきて、互いに共通の言葉を見つけるためには対話をし続けるしかないんですかね?

柳:対話というより、私は聞くことが大事だと思います。対話って言葉のやり取りですが、そうじゃなくて人の話に耳を傾ける姿勢のほうが大事だと思いますね。

武田:聞くことで受け止めるというか。

柳:さっき砂鉄さんがおっしゃった、沈黙も含めて耳を傾けるということだと思います。

武田:沈黙を前にすると言葉をほじくり出しちゃうけれど、そうじゃなくてそこに沈黙があるのであれば、それを受け止めるということですかね。

柳:黙っているときを、共に持つということですね。

武田:『南相馬メドレー』の最後の最後に出てくるエッセイで、さとこさんという人が出てきて、宮城県の女川町からいらした方ですが、柳さんが涙されているところに、「私の目をまっすぐ見てこう言ったのです。『泣いただけで終わらせないでください。知ることには責任が伴います』とおっしゃった」と。これは本当に重い一言だと思いますね。

柳:「知る」は「ち」と読みますが、「血」の意味もあると思いますね。知るって痛みを伴うし、血を流す部分もあるのではないかと思いますね。

このほか、長渕剛さんと校歌を制作した話も。GUEST ACTION全編はradikoのタイムフリーで。

3月13日(金)のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=202003162950

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)