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障害者専門のスポーツトレーニングサービス「ユニバーサルトレーニングセンター」▼人権TODAY(2020年3月7日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…『障害者専門のスポーツトレーニングサービス「ユニバーサルトレーニングセンター」』

利用者で多いのは脊髄損傷、頚椎損傷などの身体障害者

トレーニング風景

                
今回は障害者専門にスポーツトレーニング指導をしている「ユニバーサル トレーニング センター」という会社を紹介します。
    
2020年東京パラリンピックが近づき、パラスポーツへの注目度が高まっていますが日本では障害者が運動したくても気軽にできる機会や場所が少ないという課題があります。
障害者にとってもスポーツは日常生活を健康的に送るうえでとても重要です。
「ユニバーサルトレーニングセンター」は運動の機会を求めている障害者に自宅やジムなどを訪問する形でパーソナルトレーニングしようと設立されました。
現在、利用者で多いのは脊髄損傷、頚椎損傷など身体障害の方ですがこれまで脳の障害、神経難病、目が不自由な方など様々な障害者にスポーツトレーニングを指導するサービスを提供してきたそうです。
代表の菅原瑞貴さんは起業のきっかけやサービスの内容をこのように語っています。

菅原瑞貴さん

                    

ユニバーサル トレーニング センター代表の菅原瑞貴さん
障害がある方に対して「運動する機会を提供する場所が無い」という社会の課題を感じ、障害者を専門とした訪問型のパーソナルトレーニングの会社を始めました。もともとスポーツ医学を学んできたので、より障害者にとっての最適なトレーニングを提供しています。障害者にとって健康維持というのはひとつの大きな課題です。立つ、歩くなどみなさんが想像しやすい運動機能回復もあるんですけど、それ以外にも感覚の麻痺だったり、血圧だったり、ベッドから起き上がった時に貧血になって座ったり立ったりすることが出来ない症状だったり、床ずれ、様々な合併症があるんですね。そういった合併症にならないように健康維持したり体力をつけたりという目的でトレーニングの指導を行なっています。

なぜ障害者専門のスポーツ指導を起業したのか?

      
菅原さんはアメリカでスポーツトレーナーの資格をとったあと脊髄損傷をした人たちのトレーニングに携わったことをきっかけに障害者専門のスポーツ指導での起業を考えたそうです。
2016年にはリオ・パラリンピックで日本選手団のサポートに携わり、2017年から個人事業として障害者専門のトレーナーを始めて昨年(2019年)、「ユニバーサルトレーニングセンター」を会社として設立しました。
    
運動不足になりがちな障害者の基本的なエクササイズや歩行や起き上がりなど日常動作の向上のためのトレーニング、そしてパラリンピックをめざすトップアスリートの競技力向上のためのトレーニング指導などを行なっています。これまでに個人では約30人、グループセッションに参加した方を含むと80人ほどに指導してきたそうです。
    
病院などで行なわれる医療のリハビリとの違いは、菅原さんによれば、医療のリハビリは機能がしっかり残っている部位をうまく使って日常生活を良くしようというアプローチですが、障害者のスポーツトレーニングは麻痺部を積極的に動かして機能改善をする、という点にあるそうです。
効果には個人差がありますが、病院で「もう歩けません」と診断された方が、トレーニングの結果、補助器具を使って少しずつ歩けるようになった例もあったそうです。

トレーニング風景その2

    
取材でパラリンピックをめざすパラ卓球の選手、金子和也さんのトレーニングを見学してきました。
金子さんは二分脊椎という病気のために、小学生の時から両足に重い麻痺がありました。
中学から卓球を始め、高校1年の時にパラ卓球の大会で優勝、その後パラリンピックをめざし練習を重ねてきました。
現在、パラ卓球の「立位」(立って行なう、車椅子を使わない競技)のカテゴリ、クラス7(重い障害レベル)で日本ランキング3位、世界ランキング26位の選手です。
パラリンピックには世界ランク16位以上が出場条件なので、出場をめざし、パフォーマンスの向上のために2018年から菅原さんのトレーニングを受けています。
どんな効果があったのか、金子さんはこのように話しています。
    

パラ卓球選手 金子和也さん
もともとパラ卓球の仲間で菅原さんのトレーニングを受けている人がいて、その方の紹介でトレーニングをすることになりました。
 卓球競技においてはフットワークがかなり重要なんですが、私は両足の障害ということでフットワークに課題があって勝つためにはそのフットワークを少しでも鍛えなければなりませんでした。
 20年以上足の感覚がなくて戻ることはないと思っていたものが、菅原さんのトレーニングを始めてから、最初のトレーニングで少し足の感覚を感じとることができて、自分の意志で動かせるようになってきて効果を実感してます。日常生活もよくなりましたし、卓球する上でもかなり助かっていますね。

 
 
    
菅原さんは金子さんの機能が弱い左足の筋肉の固さをとってしっかり収縮できるようトレーニングしていました。
子供の頃からの習慣で、まったく左足をを使わない日常動作になっているので、マッサージなどで改善しながら左足をうまく動かせるようにしているそうです。
今では左足に体重を乗せて、片足立ちでバランスがとれるぐらいまで状態が改善しました。
金子さんは「これまで助けてくれた人たちのためにもしっかりパラリンピックに出場して、恩返しが出来るようになればいい」と語っていました。

片足立ちの練習

菅原さんと金子さん

「アスリート」ではない障害者もスポーツを

いっぽうで菅原さんは、パラリンピックに出場する障害のあるアスリートはごく一部の人たちで、多くの障がい者は運動する機会を持っていないので、そうした運動機会のない障がい者にスポーツトレーニングを広げることも「ユニバーサルトレーニングセンター」の課題だと言っていました。
ある統計では、手足などに障がいのある成人で、過去一年間に一度も運動を行なっていない人が約7割いるとされています。
そのデータをふまえ、菅原さんはこのようにも語っています。  
            
   

ユニバーサル トレーニング センター代表の菅原瑞貴さん
パラスポーツを行なっている障害者はごく一部の人たちだけで、パラスポーツを見ると「障害者でもここまでできるんだ、すごい!」との印象を受けることが多いと思うんですけども、その人たちは次元の違うトップレベルの人たちで、そういった人たちを障害者という括りの中で代表的な例ととらえられてしまうと、多数派であるスポーツをしていない障害者に対する認識が危うくなってしまいます。
  たとえば、「パラアスリートここまで頑張ってるのにスポーツをしないあなたたはなぜ頑張らないの?」といわれてしまう。
  このような能力主義的な見方は良いことではありません。そういった誤解がなく、障害者スポーツが普及していけば障害者当事者にとってもメリットがいっぱいあると思います。。

 

菅原さんは将来的に「ユニバーサルトレーニングセンター」の店舗を増やしたり同じトレーニングをどこにいても受けられるようなITディバイスを開発して運動する機会のない障害者を減らしていきたいと展望を語っていました。
ハイレベルなパラスポーツに接するのもとても楽しいことですが、障害者も健常者と同じように気軽にスポーツに参加できる社会になり、より多くの障害者が日常的に運動できる機会や場所を増やすべきという問題にも興味を持ってほしいと思います。

「ユニバーサルトレーニングセンター」に関する詳しい情報は同社のホームページをご覧ください。

ユニバーサルトレーニングセンター https://universal-training-center.com/

(担当:藤木TDC)