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【音声配信】「AI時代の死者との付き合い方」Part1▽鈴木謙介(charlie)、速水健朗、吉川浩満、永田夏来、倉本さおり、海猫沢めろん、塚越健司、村山佳奈女、斎藤哲也、宮崎智之、花井優太ほか(TBSラジオ「文化系トークラジオLife」2020年02月23日放送分)

文化系トークラジオ Life ニュース版

charlie(鈴木謙介) 撮影:ササキミチヨ

「AI時代の死者との付き合い方」Part1

出演:鈴木謙介(charlie)、速水健朗、吉川浩満、永田夏来、倉本さおり、海猫沢めろん、塚越健司、村山佳奈女、斎藤哲也、宮崎智之、花井優太ほか

〇今日のテーマは「蘇り」
・紅白歌合戦で新曲を歌った「AI美空ひばり」(chalrie)
 →技術での蘇りが可能になったことで、社会的な死の線引きが難しく(c)
・蘇ってもいいけど自分には不要、人の死後に環境も感情も変化する(リスナー)
・技術的には可能だろうけれど、他人の満足のために使用されるのは不本意(リスナー)

〇今回も大量の出演者と共にお送りします
・ホログラム復活するZARD、マリア・カラス……ポップカルチャーの話でもある「蘇り」(速水)
・近代は時空間の分離再構築の時代、そして人間自体の分離再構築の時代になりつつある今(塚越)
 →僕たちが人間だと思っているものの境はどこにあるのか(塚越)
・死について考えた著作『死にたくないんですけど』(海猫沢)
・AI美空ひばりやVRで死んだ娘に会う行為への批判(海猫沢)
 →プライベートだったものがパブリックになった影響(海猫沢)
・死の主権がどこにあるかを定めて語るべき(倉本)
 →遺族になりうる他者の視点を扱った『平成くん、さようなら』(倉本)
・二階堂奥歯『八本脚の蝶』の異例の復刊(文月悠光さんからメール)
 →死者の言葉を復活させることが、死者の冒涜・甘えとなる可能性(文月)
・今の中学生は家族とのグルーミング的コミュニケーションが増えている(永田)
 →意見を求めていないならAIで代替できるのでは?(永田)
・アートだけではなく日常のコミュニケーションの話も出来たら(永田)
・今は技術的制約があって実感が湧かなくても、ずっと先のことを想像しておきべき(吉川)
・他にもいろんなゲストでお送りします(c)
・「自分が葬式で蘇らせられそうになったら親族を止めろ」と友人に(リスナー)
・ミーム継承である意味不死になるのでは?(海猫沢)

    text by 千葉彩佳

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↓リスナーからリクエストがありましたので、詩人の文月悠光さんから番組宛にいただいたメールを掲載します。

ラジオネーム:臆病な詩人

チャーリーさん、Lifeクルーの皆さん、こんばんは。詩人の文月悠光(ふづき・ゆみ)です。Lifeでは過去に「詩歌入門イベント」や、一昨年の「文化系大忘年会」に出演しましたが、メールは初めて送ります。

予告編を聞いて思い出したのが、二階堂奥歯 著『八本脚の蝶』の復刊、文庫化でした。稀代の読書家で編集者だった二階堂奥歯は、2003年に25歳で自ら命を絶ちました。『八本脚の蝶』は、自殺までの約2年ネット上で綴られた彼女の日記をまとめた一冊です。2006年ポプラ社で単行本が発売後、今月に河出文庫として復刊、重版が決定。その死から17年近く経つことを考えると異例の出来事です。それだけ多くの読者が彼女の言葉を待ち望んでいたのだと実感します。

ちなみに私は取材のため、先週関係者と共に奥歯さんのご実家を訪ね、お墓参りにも同行しました。また彼女の元恋人を含む、生前親しかった方々から、日記に書かれていないことも含めて、たくさんのお話を伺いました。
取材を記事にする都合上、これまで公式に出ていなかった著者の写真や、生前の情報をどこまで掲載するか、今は相談を重ねています。たとえば写真の公表により、生前の知人が奥歯さんの情報を出しはじめる可能性を危惧しています。「語らない」という暗黙の了解が解除され、保たれていた均衡が崩れてしまうのではないか。もちろん新たな情報を出すことは、近親者の傷を開く行為であり、ご遺族の意向も考慮しなくてはいけません。
書籍の原型となったサイトも、サービスの終了など紆余曲折ありましたが、現在も日記は保存され、当時は無かった全文検索機能が加えられました。関係者や読者にとっては、サイトの存在が二階堂奥歯そのもので、他者にひらかれながら、守られ続ける必要があったのでしょう。データとしての延命措置が加えられたことは、とても大きな意味を感じます。

当然ながら、サイトや本に触れることと、彼女のお墓に手を合わせることは、全く異なる行為でした。家族写真のアルバムや、彼女のお気に入りだったというお庭の石。そこでは、ご本人は何も語りません。
私の心に刺さったのは、奥歯さんの元恋人の方が発した一言でした。
「読者にとっては、『自殺』によって奥歯の物語は完成したといえるかもしれない。しかし僕らにとっては『なんとか救えたんじゃないか、彼女は死なずに済んだんじゃないか』と悔やみ続ける出来事だったんです」。

私たちは死者を容易に物語化してしまいます。それが死者への冒涜になる可能性を理解しつつ、現状そういった形でしか死を語り継ぐことはできません。
今回は書籍という形ですが、データとしての二階堂奥歯の存在を、今の私たちがどのように語るか、非常に難しいと感じています。
文庫解説で穂村弘さんが寄せられた「今こそ彼女の言葉が必要なのに」という一節に共感しながらも、強いジレンマを覚えます。今を生きる私たちの言葉では、死者に追いつけないのかと。死者の口を借りること、それは死者への「甘え」に過ぎないのではないかと。そう思うのです。

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このパートでかけた曲
●Halo at 四畳半 “蘇生” (charlie選曲)
●meme tokyo. “メランコリック サーカス”(海猫沢めろんさん選曲)

参考資料