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「ロック、ポップ、ヒップホップをまたにかける現行最重要アーティスト、テーム・インパラの気持ちよさにやられちまいな!」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム(2020/02/21)

「ロック、ポップ、ヒップホップをまたにかける現行最重要アーティスト、テーム・インパラの気持ちよさにやられちまいな!」

The Slow Rush

高橋:本日はこんなテーマでお届けします! 「ロック、ポップ、ヒップホップをまたにかける現行最重要アーティスト、テーム・インパラの気持ちよさにやられちまいな!」特集。

スー:ちゃんと言ったね。「やられちまいな!」って絶対に言わないと思ったのに(笑)。

高橋:フフフフフ、自分で考えたのでそこはちゃんとやりますよ。それはともかく先週14日(金)、通算4枚目になるニューアルバム『The Slow Rush』をリリースしたテーム・インパラの特集です。テーム・インパラはオーストラリア出身のミュージシャン、ケヴィン・パーカーのソロプロジェクト。日本だとまだ一般レベルに名前が浸透するまでには至っていないかもしれませんが、海外ではもうビッグネームの仲間入りを果たしていると言っていいでしょうね。

テーム・インパラのステータスを表すわかりやすいトピックとしては、毎年4月にアメリカはロサンゼルスで開催されている『Coachella Festival』という音楽フェスがあるんですよ。その年の音楽シーンの動向にも大きな影響を与える世界最大規模の音楽フェスで。この『Coachella Festival』では毎年ヘッドライナー/トリが3アーティスト選ばれるんですけど、去年のラインナップは現状のポップクイーン的存在といえるアリアナ・グランデ、それから昨年のグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞したラッパーのチャイルディッシュ・ガンビーノ、そしてこのテーム・インパラという顔ぶれだったんです。

スー:おおー、そうだったんだ!

高橋:そんな流れもあって今回の新作は非常に高く注目されていたんですけど、これがもう期待を裏切らない素晴らしい仕上がりになっています。では、まずはそのニューアルバムの先行シングル第一弾としてリリースされた曲を聴いてみましょうか。これは個人的に2019年のベストシングルのひとつに挙げたいですね。

M1 Patience / Tame Impala

スー:聴きながらちょっと寝てしまいました(笑)。

高橋:なんかスタジオ内みんなポワーンとしちゃって(笑)。

スー:日曜日に公園とかに行ってポワーンとくつろいでる感じというか。

高橋:ハウスミュージック的な恍惚感や陶酔感があるんですよ。

スー:しかし全員一言も口を聞かないでポワーンってしながら聴いてたね。

高橋:本当に「気持ちよさにやられちまう」でしょ?

スー:これはやられちまうね。これが「やられ」か!

高橋:ただ、テーム・インパラがもともとこういう音楽性だったかというとちょっと違っていて。テーム・インパラのアルバムデビューは2010年なんですけど、そのころはビートルズや1970年代初期のロックからの影響を強く感じさせるサイケデリックロックを打ち出していたんですよ。いまの「Patience」にも当時のサイケデリックな酩酊感の名残はあるんですけどね。

テーム・インパラがダンスミュージックやAOR的な方向にシフトしていったのは、2015年リリースのサードアルバム『Currents』から。この『Currents』によってテーム・インパラは本格ブレイクすることになるんですけど、決め手になった曲がアメリカでミリオンヒットになった「The Less I Know The Better」。これは折からのディスコミュージックのリバイバルに反応したようなダンサブルなサウンドになっています。

M2 The Less I Know The Better / Tame Impala

高橋:ここ数年のポップミュージックはもはやジャンルの壁が崩壊しつつありますが、テーム・インパラはそんな状況を象徴するアーティストなんですよ。特にヒップホップやR&Bなどブラックミュージックシーンからの人気がめちゃくちゃ高いのが特徴で。テーム・インパラ/ケヴィン・パーカーとコラボしたラッパーを挙げていくと、ケンドリック・ラマー、カニエ ・ウェスト、トラヴィス・スコット……。

スー:いまをときめく、飛ぶ鳥を落とす勢いの人たちばかりだ!

高橋:そうなんですよ。あとはR&Bでもリアーナが最新アルバムの『Anti』でテーム・インパラの曲をカバーしていたりして。他ではレディー・ガガのプロデュースも手掛けているし、グラミー賞最優秀レコード賞を受賞したブルーノ・マーズの「Uptown Funk」が収録されているマーク・ロンソンのアルバム『Uptown Special』にも3曲でフィーチャーされていたりします。

では、そんなブラックミュージック周辺で引っ張り凧なテーム・インパラのプロデュース作品から一曲紹介しましょう。女性R&Bシンガーのカリ・ウチスの2018年のアルバム『Isolation』から「Tomorrow」を。この流れで聴くとテーム・インパラ/ケヴィン・パーカーの個性や作家性みたいなものがだいぶわかってくると思いますよ。

M3 Tomorrow / Kali Uchis

スー:これも気持ちいいね。今日の天気にぴったり。

高橋:最後は先週リリースされたばかりの新作『The Slow Rush』からの曲で締めくくりたいと思います。ちなみに、ケヴィン・パーカーはこのアルバムで全曲のプロデュース、ソングライティング、ミキシング、演奏、ボーカル、もうなにからなにまでひとりでこなしているんですよ。しかもゲストアーティストも一切ナシという徹底ぶりで。

ここではそんなアルバム『The Slow Rush』から「Breathe Deeper」を紹介します。これもサイケデリックロック的な酩酊感のあるディスコ/ファンクサウンドなんですけど、AORやシティポップが好きなリスナーにも受け入れられそうな心地よさがあると思います。

M4 Breathe Deeper / Tame Impala

高橋:このふわふわした気持ちよさ、まさに白昼夢という感じですね。というわけで14日にリリースされたばかりのテーム・インパラのニューアルバム『The Slow Rush』、2020年屈指の傑作になると思うのでぜひ皆さんチェックしてみてください!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

2月17日(月)

(11:03) Steal Away / Robbie Dupree
(11:21) Sherry / Robert John
(11:35) Real Love / The Doobie Brothers
(12:13) How Can We Go On / Nicolette Larson
(12:23) The Light Is On / Christopher Cross
(12:48) Morning Glory /竹内まりや

2月18日(火)

(11:02) Perfect / Fairground Attraction
(11:22) Velasquez and I / Would-Be-Goods
(11:36) Breaking Away / Friends
(12:16) Friend of the Family / Devine & Statton
(12:51) 皆笑った / Pizzicato Five

2月19日(水)

(11:04) I Just Want to Touch You〜抱きしめたいぜ〜 / Utopia
(11:27) Feel a Whole Lot Better / The Flamin’ Groovies
(11:37) That’s What The Little Girls Do / The Knack
(12:14) Tell it to Carrie / The Romantics
(12:50) サンシャインラブ / 杉真理

2月20日(木)

(11:05) Perfidia / Phyllis Dillon
(11:24) Once Upon a Time / Delroy Wilson
(11:34) Joy in the Morning / The Gaylads
(12:19) Lady with the Starlight / Ken Boothe
(12:51) Party Time / The Heptones

2月21日(金)

(11:04) Be Thankful for What You Got / William DeVaughn
(11:26) Move Me No Mountain / Dionne Warwick
(11:36) Do it to My Mind / Johnny Bristol
(12:14) I Can’t Let Him Down / Love Unlimited