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発達障害の人がお金と上手に付き合うためのアドバイス本▼人権TODAY(2020年2月22日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「発達障害の人がお金と上手に付き合うためのアドバイス本」です。

発達障害の特性とお金は相性が悪い!?

『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手にお金と付き合うための本』(翔泳社)という本を取り上げます。
発達障害の人はお金との付き合い方に苦労する場面が多いということです。物事の一部分にこだわってしまい、全体像を把握することが苦手だとか、気に入ったら即行動するため、衝動買いなど計画外の行動が多いなど、発達障害のある人でも人それぞれなのですが、こういった様々な特性によるものです。
本の著者、村上由美(むらかみ・ゆみ)さんこのように話します。

著者の村上由美さん

発達障害の特性とお金の特性というのは、相性が悪い面があると感じています。そもそもお金というのは人間の約束事でできているもの。お金はルールの中で流通しているけど、発達障害の人にとってそのルールがわかりにくい。ルールに則って流通しているお金を使うのは難しい。子供にとって1万円ってすごい大金ですけど、生活費の枠で考えるとすぐなくなっちゃう。でも1万円は1万円なんですよ。それって、大半の人にとって自然とわかることだけど、それがなかなかピンとこないのが発達障害の人ならではの悩み

村上さんは普段、言語聴覚士というお仕事をしています。言語聴覚士とは、話す・聞く・食べることに不自由がある人に対して、言語能力や聴覚能力などを回復させるリハビリを行う仕事です。様々な障害がある人と付き合うこの仕事を通じて、お金との付き合い方に苦労している発達障害の当事者が多いと感じていたそうです。そしてまた、村上さん自身もご主人も特性は違いますが当事者であることが本を書くきっかけになったと言います。
この本には、当事者である村上さん自身・当事者の家族・言語聴覚士としての支援者という3つの視点から編み出した、発達障害の人が日々の暮らしがラクになるためのアイデアが詰まっています。

その特性がゆえにぶつかる「お金の苦労」

お給料をもらったその日にすべて使ってしまう、逆に、必要なときにもまったく使わず貯め込んでしまう、など、
極端な行動を取ってしまう場面が多いと言います。近年はクレジットカードや電子マネーなど目に見えない形でお金を使うことができるため、お金を使っているという実感を得られず、使いすぎてしまう場面もあります。
雇用契約書など複雑な表現の文章だと意味を読みとれず、知らずに不利な契約を結んでしまっていることもあります。
この本では、「お金の使い方」「増やし方」「稼ぎ方」「備え方」などの項目別に陥りがちな悩み、原因、対処法を載せています。

生活って割とそんなに意識してないお金だけど出ていくお金があるじゃないですか。「あれ?気がついたらお金が足りない!」っていうことはあるんですよね。いかに、好きなものとその生活費をやりくりするか。いろんなことに気を配るマルチタスクが求められている。そういうのが苦手な特性を持ってるのに、いろんなことに気を配らなくちゃいけない。さらに今ね、老後に向けて貯めましょうとか、ずっと働いて仕事続けましょうとか、そんなにいろいろ考えなくちゃいけないの!?みたいな。

具体的な対処法を記載

特性は共通するところがありながらも、人それぞれです。
例えば、数字による管理が向いていない特性をもつ人は、いつの間にか赤字家計になりがちです。そこで提案するのは、現金による管理。ざっくりと毎月の予算を決めてしまう方法。ひとつの例として、食費25%、食費以外の暮らしに必要な費用に50%、趣味に25%という割合で費目ごとに封筒を用意して現金管理をする方法を紹介しています。
逆に、数字への執着が強い特性の人は、スマホの節約アプリやキャッシュレス決済を活用して費目を細かく設定した方が適しているなど、「仕組みで苦手を補う」対処法を提案しています。
デジタルを使ったやり方や、100円ショップのアイテムで実践できる内容など、ちょっとした工夫で実践できるアイデアを入れたそうです。
経費精算の締め切りが守れないといった仕事上での悩みや、お給料から引かれる税金や保険料の意味が分からないといった疑問についても取り上げ、対処法を載せています。そして、周りへの相談の仕方もできるだけ沢山記載しています。

「意外とそういう相談できるんだ」というスキルが当事者の方は苦手なことが多くて。困っているっていうことをまず気がつきにくいってこともありますし、困っているっていうことを上手く伝えられない。その困っていることを伝えるのに、適切な相手を選ぶということも苦手な場合もあるんですよ。どこにどういうことを相談するとうまくいくのか、そこも情報として伝えていくのを、まとめていくもの大事かなと思って書いてみました。

その人の特性を知らないと、「本人の努力が足りない」と思ってしまいがちです。
しかし、本人が努力をしてもなかなか改善が難しいということがあります。
職場や家族に当事者がいた場合、大がかりなサポートでなくても、周囲の人も手助けできることはあると村上さんが言います。

    

「世の中ってこういうルールで成り立っているんだよね」って、それに対して「ちょっとうまくいってないところがあるけど、こう合わせると楽になるよ」ってことを教える一方で、多数派な人たちにも「こういう考え方の人がいてね、こういう流れでやってうまくいかないことがあるんですよ。だからどうしますか?どういう風にお互いうまくいくような道を探りますか?」っていう両方が必要ですよね。

この本は、発達障害の当事者はもちろん、自分にも似た特性があるかもしれない、当事者ではないが、お金の悩みを抱えているという人にも役立つガイドとなっています。
『ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が上手にお金と付き合うための本』。気になった方はお手に取ってみてください。

(取材報告:TBSラジオ・ディレクター 瀬尾崇信)