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音楽と料理と子育てパリ人生~辻仁成さん

コシノジュンコ MASACA

2019年2月9日(日)放送
辻仁成さん(part 1)
1959年生まれ。81年にロックバンドECHOESを結成し、デビュー。作家としては89年『ピアニッシモ』ですばる文学賞、97年『海峡の光』で芥川賞を受賞。99年『白仏』のフランス語版でフェミナ賞学国小説賞を日本人として初受賞。現在はパリに拠点を置き、詩人・ミュージシャン・映画監督・演出家としてご活躍されていらっしゃいます。

JK:私の妹と仲がいいのよね。

辻:そう、ロンドンでお好み焼きを作ってくれてね。

JK:私も上手なのよ(^^)なんちゃって。パリでお会いしたのよね。

辻:ちっちゃなカフェでライブをしたときに、突然来てくださって。でもコンサートは間に合わなかったんですよね。終わったころ、打ち上げしてるころにお越しくださって。

JK:そうなんですよ! 本当に頭が上がらない。

辻:今回もおとついライブがあって、終わってから日本に来たんです。この年になって、やっと自分の音がわかってきたんですよ。パリで暮らして20年近くになるんですけど、「こういう歌が歌えたんだ」っていうのがフランスの歌から影響をうけて。前はロックだったんですけど、今はピアフとか、ジャック・ブレルとかも歌うようになって。自分の音楽も変わってきて、どっちかっていうと詩にメロディが乗るような感じになってきたんです。

JK:やっぱり、日本と違ってパリの生活になると、感性とかが違うわよね。日本にいるとシャンソンなんて関係ないじゃないですか。でも向こうに行くと、シャンソンの精神とかがね。

辻:フランス語でしゃべることが多いし、友達もフランス人なんで、みんなで飲んでて僕がピアフとか歌うと「あれっ、お前なんで歌えんの?」みたいな(笑)しゃべれないくせに歌えるじゃん、って。

JK:歌っていいね。言葉だから。

辻:そうです。言葉っていうか、言語なんで。ミュージシャンたちはどこの国でも生きていけますよね。道端で誰かがやってて、自分が参加するとすぐに!

JK:その土地の人になっちゃうのね!

辻:コードは一緒なんでね。じゃあAでいこう、OK! ってできちゃうんです。

JK:音楽は国境がないっていいじゃない?

辻:いや本当に! 小説とか映画は全然方向が違うんですよ。音楽はパッション。その空気をつかんだものが届けられる。一時期、文学とか映画に凝って音楽をおろそかにしたことがあって。1年に1回か2回はやらなきゃいけないんですけど・・・

JK:でも作家活動もして、音楽。今日はこの気分、っていう風に住み分け?

辻:毎日文章は7~8時間は書くんです。どんなに忙しくても。自分でwebサイトをやってて、そこで日記を出してますけど、それも3本は出しますから。1本1時間だとしても3時間かかる。プラス自分が受けてるエッセイとか小説の仕事をベースとしてやったうえで、余った時間に・・・でも音楽が今は一番楽しい。だから毎月パリでライブやってるんです。東京はなかなかできないんですよ。東京ってイメージがあって、そこら辺でやってくれるなって、スタッフに言われるんです。オーチャードホールでやるって言ってるのに、路上でやるのはまずいって(笑)

出水:パリはさすがに路上では・・・

辻:やりますよ! やりますやります。

JK:でも昔の人はそうなのよね。カフェの地下で渋く。それが今も続いてる。

辻:そう。カフェとかストリートから生まれる音楽じゃないですか。もちろんこないだやったのは激情だったんですけど、でもライブが終わった後に支配人が飛び込んできて、すごい感動してくれちゃて(笑)「お前を探してた!」みたいに言われて。「何やってんだ、今まで!」って。1回買い取りでやったライブで、場所代だけ払って、お客さんで返すって感じだったんですけど、次からいらない、毎月やってくれって。

JK:やったあ\(^o^)/

出水:「今まで何やってたんだ」って言われて、なんて答えたんですか??

辻:いや、本書いてたり、映画撮ったり(笑)実は隣が映画館になってて、映画もかけようって言ってくれて。「お前の映画とライブをやろうよ」って。多分僕よりずっと若いんですけど、「お前の音楽はロックでパンクだ!」とか言い出して(笑)でも、ピアフとかブレルとかも歌うから、「ブレルを新しい解釈で聞かせてもらった、日本人が歌うと違うんだなあ」って。

JK:ロックの精神でピアフを歌うからね。でも路上でもやるっていう気持ちがいいね! プライドとかそういうんじゃなくて。

辻:昔はあったんですけどね! ECHOESのころとかは結構プライドの塊だったんですけど、今はもうないですね。ジェットコースターみたいな長い人生だったんで。まぁもうそこにしがみつくこともないかな、って。

出水:辻さんはwebマガジン「デザインストーリーズ」を主宰して、パリでの日々の出来事を書かれたりしているんですが、たびたび登場するお料理の話や息子さんとのエピソードをじっくり拝読させていただきました。

JK:私もこないだTVで、おうちで鶏を焼いてるのを見ました。レストランみたいな1匹どかんとしたのを。

辻:はいはい、それは鴨ですね。鴨は脂ののったところをローストして、薄切りにしてソースをかけて食べるんです。オレンジの塩をつけて。プラー・ド・セルっていう海の岩塩があるじゃないですか。それに、オレンジの皮をオーブンで10分ぐらい乾燥させて、塩と同じくらい細かく切ったものを混ぜるんです。そうすると、塩にオレンジの香りが映るじゃないですか。そうすると鴨とか魚とかに会うんですよ。塩気がありながら、オレンジの香りが口に広がる。僕は毎年味噌とか麹も作るから。

JK:えっ、パリでお味噌作るの?? 才能あるわね。

辻:もちろん。何でも作りますよ。めんどくさそうな人生だから、人が付いてこないんです(笑)

JK:何言ってんのよ!

辻:だいたいこのネタでみんな笑うんですよ。こだわりすぎちゃって、誰もついて来れない。みんな離れていっちゃう(笑)

出水:そういうお父さまの背中を、息子さんはどういう表情で見てらっしゃるんですか?

辻:どうですかね・・・でもこないだ仕事してたら、普段は仕事部屋には絶対来ないんですけど、トントンって入ってきて、「夜食にサンドイッチ作ってみたんだ」って。美味しかったですよ。

JK:カワイイ~! 美味しいもの食べて、それを自分の感覚にする。オリジナルになるのよね。

辻:息子には厳しいんですよ。結構ガンガン叱るほうで。なので彼はいつもビクビクして育ってるんですけど。でも「しつけ」って言葉はあんまり好きじゃなくて、シングルファーザーになって僕と息子しかいない人生がもう7年続いてるんですけど、そのころはまだ小学生。お前哀しいな、って言っても他人事にしか聞こえないはずだから、余計なことを言わないで、料理を作り続けようと思ったんですよ。

JK:でもいつの間にか、ちゃんと親をちゃんと見てるのね。

辻:でも彼はミュージシャンやってるんですけど、ビートボックスとかラップとかやってて、音楽も自分で作ってて、一緒に作ったこともあるんです。ギターもやってるんですけど、僕のコンサートには絶対来ないんです。おいでって言っても、「恥かしいから行きたくない」って。それがこないだ初めて、「パパ、ギターを教えて」って言われたんです。もう弾けるんですけど、もうちょっと上のテクニックを知りたいって。

出水:それは一種の反抗期?

辻:反抗期。思春期。どうなのかな? でも、アンチなんでしょうね。「お父さんの影響を受けてますね」って言われるのが大嫌い。

JK:言われたままが嫌なのね。自分でやりたいのよ。でも、男の子はみんなそうでしょう。いったん反発して、何年かしたら、同じことやってたってなるのよ。

出水:息子さんと接する中で、辻さんが心がけていらっしゃること・・・リスナーの皆さんにもヒントになることってありますか?

辻:子育てが大変でやめたいって言う人から手紙が来たりするんですけど、大変だと思わなくてもいい、ほっといてもいいし手抜きしても構わないから、傍にいてあげたらいいんじゃないかな。とにかくやめたくて虐待する親とかがパリにもいるんですよ。うち今、そういう子たちの避難場所になってて。ご両親が離婚の危機だとかいろんな家庭の事情があるんだけど、同じ建物の人で「辻さん預かって」って言われると、いいよいいよ、って。気持ちがわかるから。一緒に話したり、音楽聞かせてやってるうちになついてきて、bonjour、bonsoirっていう挨拶がsalut(やあ)になるんですよ。みんなsalutって言って入ってくる(笑)

JK:大人と思われてないみたいな(笑)そういう意味で親しみやすいんじゃない?

辻:Monsieur Drole=面白いおじさん、って呼ばれてます(笑)家で食べるよりもごはんがうまいって(^^)

=OA楽曲=

M1. トワエモア(toi et moi) / 辻仁成 with 息子

「コシノジュンコ MASACA」
TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。