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データを測って「クセを分析・修正」できる、夢の野球ボールをKDDIが開発

見事なお仕事

企業の“見事な”取り組みや新情報をお届けする番組『見事なお仕事』。ポップカルチャーの総合誌「BRUTUS」の編集長でカルチャーに精通する西田善太さんならではの視点で、企業の“見事なお仕事”の内容と秘訣を、インタビュー形式で伺っていきます。

12月22日(日)のゲストは、KDDI株式会社の石田剛士さんと株式会社アクロディアの伊藤剛志さん。ボールの中に内蔵されたセンサーから、野球をはじめとしたスポーツの技術向上につながるデータを生み出す仕組みを開発されているお二人。スタジオにも様々な種類のボールを持ってきていただきました。

スタジオにボールがたくさん

西田 今、ぼくらの間に、サッカーボールやゴルフボール、軟式硬式の野球のボール。あとはじめて見るんですけどクリケットのボールがあります。これらは、普通のボールと何が違うんでしょうか?

石田 中にセンサーが入っていて、ボールの状態を自動で計測してくれます。「IoTボール」と呼んでいます。

西田 IoT。Internet of Thingsボールということですね。なるほど。野球でいうと投げる時の速さとか回転数、回転の軸なんかがわかるわけですね。

石田 そうですね。それらを数値化し、瞬時にスマートフォンへと転送します。この野球ボールは「テクニカルピッチ」という名前です。

「野球偏差値」が測れるようになる?

西田 これまで類似の技術はなかったんですか?

伊藤 3年くらい前はあったんですけど、穴を開けてセンサーを埋め込んでっていう技術しかなくて。

西田 なるほど、それだと明らかに重心が変わっちゃいますもんね。

伊藤 そうなんですよ。なので我々は一から作って。野球の硬式球は真ん中にコルクが入ってるので、それと同じサイズ・重さ・硬さのセンサーを作りました。全部入れ込んで縫い合わせてしまうので、外観的にも機能的にも、センサーの有無が全くわからないレベルのものが作れました。

西田 これ、電池は? かなり持つ?

伊藤 電池は内蔵で、2年くらい持ちます。

西田 2年なら充分ですね。データを通して、だんだんスピードが上がってきたとか、どんな練習をしたらどんな球が投げられるようになったとかがわかるようになると。

石田 そうですね、僕も小学生のとき野球をやっていたんですけど、「もっと腕を上げろ」とか「ビュって腕を振れ」とか、どうしてもスポーツの現場ってそういう定性的な表現が多いんですね。それが、「さっきの握りだとこういう回転だったのに、握り方を変えるたらちょっと回転が変わったね」なんて言えるようになります。

西田 数字でわかるってことですか?

石田 数字も画もですね。「ちょっと傾いて回ってるのが、指の握りを変えたらまっすぐになった」とか、そういうのがすぐ視認できます。

西田 各人の経験値と感覚でなんとかしてきた少年野球に、手軽にデータを取り入れられるようになった訳ですね。

石田 全国に普及すれば、ランキングを出すこともできます。同世代の同じような体格のピッチャーの中で自分が真ん中なのか、上にいるのか下にいるのかっていうのが見えるので、それをモチベーションにしてもらうこともできるかなと。

西田 「おれ、回転数なら日本2位なんだぜ!」とか言えるようになるんですね。

石田 そうなんです。それができると、地方の小さい町で趣味で野球をやってる誰も知らない逸材を見つけることもできるかもしれない。

西田 面白い! 石巻にとんでもない回転数のやつがいるとか。

石田 日本全国にいる、野球をやってたり、やりたいと思ってる子に対して割と平等にチャンスが与えられるのかなと思ってますね。

西田 スカウトの目の届かない範囲がありますもんね。彼らは、注目選手を見るだけで忙しいでしょうから。

石田 そうなんです。地方・無名からのシンデレラストーリーといいますか、そういうのがゴロゴロ出てくると盛り上がるし、レベルもどんどん上がっていくのかなと思ってます。

西田 底上げにつながっていくと。

石田 12月に軟式級も販売開始の予定です。小中学生にも使ってもらえるようになるので、その子達が5年10年と投げ続けてくれて、データが貯まるのも楽しみです。

選手が育てば、コーチも育つ

西田 少年野球とかだと根性と愛情で育ててるけど、そこに理性とデータが入ってくるとどう変わるかってことですよね。

石田 そうですね。コーチをされている方も、指導した結果が可視化できないので困る場面が多いと伺っていて。もっと走れとか、もっとご飯を食べろとか言って、結果球速が早くなったのかなってないのか。その辺がデータ化されて可視化されると、自分が指導した子の能力が着実に上がったっていうのが見えるので。

西田 「コーチも育つ」ってことですね。

石田 そうですね。コーチも教えやすいし、成果を可視化することで子供のモチベーションを維持することもできます。

西田 でも、ちょっと怖いといえば怖いですね。「走り込みが足りない! 喝!」と言っていれば良かった時代ではなくなるってことですから。コーチも試されてしまう。

石田 そうですね。データだけでは語れないこともあるとは思うんですけど、データを見ながら一緒に、二人三脚で成長していくのが理想的と思います。

西田 動きの解析って聴いてCGの撮影現場みたいなのを想像しちゃったけど、プレイヤーは普段通りでいいのがすばらしいですね。スマートで、見事なお仕事です。

石田 ありがとうございます!

編集・執筆:今井雄紀(株式会社ツドイ)