お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

ゴーンとトランプ、両会見で話題になった、日本の同時通訳の今

森本毅郎 スタンバイ!

先週水曜日から木曜日にかけて、ゴーン被告の会見とトランプ大統領の演説が続けてありました。日本時間夜遅くに行われましたが、注目の発言ということもあって多くの人がテレビやネット配信で生中継でご覧になったことと思います。そして、その後ネットなどで話題になったのが『同時通訳』について。特にゴーン被告の方は、地上波ではテレビ東京だけ、ネットではNHKやTBSなどが生中継していましたが、ゴーン被告は、何ヶ国語も話したので、通訳さんが慌てているのがわかりました。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!1月14日(火)は、『ゴーンとトランプ、両会見で話題になった、日本の同時通訳の今』というテーマで近堂かおりが取材をしました。

★日本の通訳業界ってどうなってるの?

まず、そもそも、通訳として働く上で必要な資格などはない日本で、同時通訳のシステムはどうなっているのか、聞いてみました。通訳派遣会社と企業のマッチングをしている、株式会社ユニラボの高野匠司さんにお話をうかがいました。

高野匠司さん
「通訳の業界は通訳の難しさ、専門用語は必要か、どのくらいの語彙レベルが必要かで値段が変わってくるので、4段階のランクになってます、S・A・B・Gです。Sが特定分野の専門家、Aが国際会議やシンポジウムで話される通訳さんです。(例えばゴーン被告の会見では?)おそらくSクラスの方を使っているんだと思います。」

通訳を派遣している各会社さんが独自にランクを作っていて、大きく4つに分かれます。
Sランク・・・医薬系、化学系など、特定の分野の知識を持っている通訳
Aランク・・・経験年齢10年以上。国際会議やシンポジウムでの通訳
Bランク・・・経験年齢5年以上。社内会議などの通訳
Gランク・・・一般的な商談、観光ツアーなどで使う通訳   (※Cランクというものはない)
これが各言語についてあり、【英語のSランク】【フランス語のAランク】などという形になるわけです。

★同時通訳業界も人手不足!

同時通訳というのは、通訳の中でも高いスキルが必要なもの。一人でずっと同時通訳するのは大変なため、基本的に1つの現場に2~3人を派遣するそうです。ゴーン被告やトランプ大統領の会見となると、おそらくSランク。となると、各メディアに2~3人のSクラスの通訳さんを派遣することになりますが、大きな注目を集める会見が急に2つ連続したことで、同時通訳探しが大変だったのではないか、と高野さんはおっしゃいます。

高野匠司さん
「人手不足だと思います。特にSとかAだと『いま空いてないので対応できません』という業者さんが多い。明日急に派遣してくださいと言われてもどこの会社さんでも対応できない。一ヶ月先の会見に向けて準備しますというのなら対応できるが、明日対応できる会社の方が少ない。人材不足だと思います。」

企業からのオファーなどで、直前にトップレベルの通訳をお願いしても、ほとんど通らないのが現状なのだそう。前日に派遣要請してもほぼ無理とか。

(テレビ局など報道機関はまた状況が違うかもしれませんが)いずれにしても、複数言語であればなおさら大変。高野さんも『4か国語がSランク、というのはなかなか聞いたことがないですね』とおっしゃっていました。

★AbemaTVは【AIポン】で翻訳

一方、先週の2つの会見でもうひとつ注目を集めた通訳があります。トランプ大統領の演説で、ネットメディアのAbemaTV(アベマティービー)が、同時翻訳のような形で画面上にリアルタイムで字幕を出していました。このシステム、その名も【AIポン(アイポン)】。AIを使っているようですが、一体どういうものなのか。アベマTV、アベマニュース担当の水野篤さんのお話です。

水野篤さん
「【AIポン(アイポン)】は、アベマニュースチャンネルで運用しておりますリアルタイムAI字幕システムです。例えば英語やフランス語を聞き取ってまず文字にし、その文字を日本語にして表示する。私共はインターネットで配信するテレビですので音を消して見ている人が多い。音を消していると何をしゃべっているかわからないので、しゃべっていることを字幕で表示できればヘッドホンがなくても見ることができる。そういう狙いがあってオリジナルで開発しました。」

スマホで見ている人も多いネットニュース。音を消してスマホで見ている人たち向けに、と、ネットメディアならではのオリジナルの技術を開発しました。

AIが同時翻訳してくれるのですが、一度を翻訳したあとでも、文章が進むと、その文脈から翻訳を更新していく、というなかなか見事な技術。なのですが、突然とんでもない翻訳をすることもあり、例えば【おっさんアナゴさん】とか【味噌を大量購入】という訳が出てきて、なんだこれは!と、それが面白くて話題になっています。

★正直に申し上げますが、そんなに精度は高くないです!

AIの翻訳ですからまだ完璧とはいかない、というのも分かります。しかし、ニュース番組なのでさすがにちょっと心配・・・。そこで、失礼を承知で水野さんこれって大丈夫なんですか?と聞いてみました。

水野篤さん
「正直に申し上げますが、そんなに精度は高くないです。今後正確性は追求していきますが、ないとあるではある方が良いんじゃないかなという考え方でやっています。例えばトランプ大統領の演説の中身が知りたい。これを同時通訳を頼んで放送するとなるとものすごくコストがかかってしまう。特にトランプの演説は日本時間深夜になるので、深夜に同時通訳2人とかは呼べない。そこをなんとか安くあげようと。システムの開発にはお金がかかっているが、ランニングコストはそんなにかかっていないので非常に安く済んでいます。」

経費の問題!同時通訳を呼ぶというのは非常にコストがかかるのだそう。同時通訳は1日拘束でSランクの場合の相場は一人12万円ほど。それが2人3人となると2倍3倍になり、さらに何ヶ国語ともなると・・・。これは確かに大変。ということで、AIポンを進化させ、もっと正確な翻訳ができるようにしなければならない、ということです。

しかし、最近では翻訳アプリも色々増えており、AI翻訳は進んでいるのでは?と思ったのですが、例えば【駅はどこですか?】【おすすめのお店はありますか?】など、シンブルな文章であれば、AIは正確に聞き取れ、翻訳も正確。しかし、今回のような会見となると、どうしても連続した文章になりますよね。そうなるとAI翻訳はまだまだで、とんでもない日本語が出てきてしまうのが現状、ということです。

人手不足の業界を救うためにも、AIポン始めAI翻訳システムの進歩、待ち遠しいですね!

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。