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農業なのにリモートワーク。農業だからビッグデータ。ドコモがつなぐ農業の未来。

見事なお仕事

企業の“見事な”取り組みや新情報をお届けする番組『見事なお仕事』。ポップカルチャーの総合誌「BRUTUS」の編集長でカルチャーに精通する西田善太さんならではの視点で、企業の“見事なお仕事”の内容と秘訣を、インタビュー形式で伺っていきます。

11月24日(日)放送のゲストは、株式会社NTTドコモの大関優さん。ドコモが培ってきた情報通信技術を農業に活用し、農業のリモートワーク化や、水耕栽培の進化などを推進しています。高齢者の作業負担を削減する、新しく農業を始める人の参入障壁を下げる——「便利」だけじゃない農業ICTの魅力をお伺いしました。

農業なのにリモートワーク

西田 ドコモが“農業事業”と聞くと少し意外に聞こえます。大関さんが今やられているのはどういったお仕事なんですか?

大関 今の農業は、人手不足だったり高齢化が非常に進んでいます。就業者の6割くらいが60代後半。高齢者の作業負担を改善する、新しく農業を始める方を増やす、という点からも、ドコモが通信事業で培ってきたICT技術と、農業を掛け合わせる取り組みを行っています。

西田 ICTとは、 “Information and Communicaion Technology” 、つまり、情報通信技術ですよね。

大関 そうです。農業ICTにおけるデータでいいますと、温度、湿度や水温から、農場の中の環境データ、どんな作業をやったかという農作業記録も、ICTで扱うデータに含まれてきます。

西田 そうして作られたもののひとつが「畑アシスト」なんですね。センサーを設置して取得した情報をクラウドで分析、手元のスマホで管理できるサービスだそうで。

大関 気象、土壌、水用のセンサを使って、作業管理に必要なデータを自動で取得できるサービスです。ICTに任せればいい作業は任せて、必要な作業に集中してもらいたいと考えています。

西田 肌感覚でどれだけ楽になった感じなんでしょうね。楽というか、どれだけやりやすくなったというか。「畑アシスト」を入れたらNetflixが6時間見れるようになったとか、休みが1日増えたみたいな。

大関 畑と家を近接させなくてもよくなったのが最大の成果でしょうか。農業に従事する以上、欠かせない作業に見回りがあります。温度がどうなっているのか、水はどうなっているのかと畑の状況をつぶさに観察するんです。

西田 はい。

大関 したがって従来は畑のすぐそばに住む必要がありました。一方、フィールドセンサーをあらかじめ畑に設置しておけば、距離に関係なくスマホやタブレット端末で状況を確認・管理できるようになります。

西田 農業でリモートワークができるのは画期的ですねえ。

大関 「畑アシスト」で非常にこだわったのは、オールマイティにどんな農業でも使えるセンサーを用意しましょう、という部分です。農業の現場は山間部などで多少無線が入りづらいところもありますよね。

西田 そうですね、山奥で基地局がなかったり。

大関 そこをカバーするために、ZETAという無線システムを使いまして。

西田 実は手元に小さな宇宙衛星みたいな機械があるんですけど。太陽光パネルが付いていて、アンテナと……。

大関 まさにこれがZETAなのですが、温度や照度、センサーを使って水温とか、土壌のpH値など、お客さまが使いたいセンサーを好きなように刺して使います。ZETAは携帯電話の電波とは違う、非常に消費電力の小さい通信技術を用いているので太陽光で発電でき、電池を取り替る手間もありません。

西田 そうしますと全天候型といいますか、非常に丈夫に作られてる?

大関 場所によっては海の近くで農業されてる方もいらっしゃるので、塩害対策も。こういったセンサーでは非常に大事なポイントです。

トマトの天才西田善太の技術をサブスク配信

西田 今まで普通の農業で経験を積んだ人が、これを手に入れるともっと多く作れたり、質のいいものが作れたりすることもあるんでしょうか。

大関 そうですね。あとは、農業を新しく始める人のハードルを下げられるんじゃないかと。

西田 つまり農業をもっと先までサスティナブルにやっていくための道具ってことですね。参入障壁を下げるもの。「見事なお仕事」でございます!

大関 ありがとうございます(笑)。もちろん匠の方の作物は素晴らしいクオリティーです。例えばトマトがとても甘かったり。

西田  “トマトの天才西田善太さんの技術” が月800円でサブスク配信される、みたいなオプションが付けられたら面白いですよね。うまい人がどう作っているか、そのデータが手に入るみたいな。

大関 それが我々のやりたいことの1つなんです!

西田 えっ! ほんとうに?

大関 匠の農業をAIで追求して、匠の知識、技術の複製を作ります。これは匠の方の農業を広めていく1つのアプローチですし、伝承が難しいものが誰でも使えるようになるという点で、これからのスマート農業の大きなポイントです。

西田 冗談で言ったのに(笑)。

大関 水耕栽培でも、技術開発を進めています。ICTによって作業が効率化することで、たとえば足の不自由な方でも簡単に苗を定植できるようになります。

西田 土の栽培では根を張って生える力のある野菜が、水耕栽培ではふにゃふにゃっとしたもやしみたいな、ちょっと弱々しい野菜が生えるイメージがあるんですが、実際はどうなんですか?

大関 もちろん、肥沃な土壌で、日光をしっかり浴びて育ったほうれん草は美味しいです。しかし、水害や風害があっても水の上で安定的に育てられたり、屋内だけでなく屋外でも作れたり、水耕栽培だからできることも増えてきています。まだまだ、成長の余地がある。

西田 少しずつ進化してきているんですね。あと、水耕栽培では日照時間などをコントロールして収穫の回数が増やせるので、利益も増えるとも聞いたんですけど。

大関 収穫回数もありますし、収穫時期、収量をコントロールすることで、高く売るということも可能です。ある時期はベビーリーフレタスを作って、その後苗を取り替えて空芯菜やオクラを作るとか、消費者が欲しいものを欲しい時期に作ることができます。

西田 ある意味、気象条件を変えちゃうわけですもんね。

大関 温室であればそういったことが可能になってきます。

参入障壁を下げる農業ICT、農家の受け入れ態勢は?

西田 おもしろいですね。大関さんはもともと、農業がお好きだったんですか?

大関 この仕事をしながら、農家回りをだいぶやったんですね。夏のクソ暑いビニールハウスの中で、センサーを持ち込んでフラフラになりながら。そこで食を作る魅力というのに取り憑かれまして、没頭していきました。やはり仕事をする上で、机上で考えるだけでなく、必ず現場に足を運んで生の声を聞く、できれば作業もやってみる。するとどれだけ辛くて大変な作業なのか、どうすればもうちょっと良くなりそうか、というのがわかるようになりました。

西田 想像力だけじゃ限界がある、ということですね。今現在農業に従事する人たち、けっこう高齢の方も多いと思うんですけど、最新のハイテク技術を受け入れる体制はあるんですか?

大関 農林水産省の統計によりますと、農家さんが年間でICTに対してかけられるお金って、5万〜10万円くらいなんです。ですので、まだまだ価格を抑えるとか、より簡単に操作できるようにしていくことが課題だと思っています。

西田 なるほど。いやあ、本当に見事なお仕事で感心してしまいました。ありがとうございました。

 

編集・執筆:今井雄紀(株式会社ツドイ)