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放送中

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年越し支援から考える、ホームレス状態の人が安心できる住まいを得るためには(2020年1月4日放送)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。

様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・年越し支援から考える、ホームレス状態の人が安心できる住まいを得るためには

 

担当:崎山敏也

 

行政の窓口がほとんど閉まる年末年始、今年は9日間と長いですが、路上生活だったり、ネットカフェで暮らすなど、「ホームレス状態」の人への支援が放送当日(4日)も、各地で行なわれています。12月28日(土)の夕方、東京・池袋の東池袋中央公園ではボランティアによる炊き出しが行われていました。ご飯にカレーをかけ、野菜の漬物を添えたものです。子供から大人まで、元当事者もボランティアとして参加し、ご飯を盛りつけ、カレーをかけ、野菜の漬物を乗せ、そして、最後に子供たちが温かいチャイ、ミルクティーを渡しました。

マスジド大塚(大塚モスク)提供のカレー

池袋はNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が普段は月2回、年末年始は少し集中して炊き出しを行っています。この日のカレーは、近くにあるイスラム教のモスク、「マスジド大塚」が提供したものでした。TENOHASIでは、NPO法人「世界の医療団」などと協力して、炊き出しと、衣類や毛布などを配るほか、相談事がある人は、すぐ横で相談を受けられます。医療相談では医師や看護師が話を聞き、風邪薬や胃腸薬、腰痛、ひざ痛のための湿布薬などを私、病院へ紹介状も書きます、また、生活相談では、仕事を探す、生活保護を受けるなど、生活を立て直すための相談に乗ります。ホームレス状態からの脱出に「つなげる」ため、炊き出しを行っているんです。

次の炊き出し、12月30日(月)では最後に、TENOHASIの事務局長、清野賢司さんがボランティアを前に、「普通の住宅を福祉が用意して、そこで、安心して再出発できるような、仕組みにしていかないといけません。ニーズにあった支援ができていないということです。東京都か厚生労働省単位で施策が実現されないといつまでも救われない方がたくさんいるということになります。また、働いていたんだけど、派遣で頑張っていたんだけど、そこからこぼれ落ちてくる人が今どんどん増えてきている印象です。ほんと若い人ばっかりで。相談に来る人が」と話しました。

「路上生活の人は減少している」というニュースが毎年報じられますが、確かに行政の統計では減っています。ただ、実際には市民団体の調べで、もっと多いことがわかっていますし、路上ではなく、ネットカフェで暮らす人も把握が難しいんです。それでも10年前に比べたら、減少していることは確かです。一方で、清野さんの話では「いつまでも救われない方がいる」ということでした。生活保護を受けることになると、当面の落ち着き先として、「無料低額宿泊所」という施設を紹介されます。そこで生活を立て直し、普通のアパートへとなるはずが、「無料低額宿泊所」は、たいてい無料でも低額でもない。自分の手元にお金が少ししか残らなかったり、集団生活で、落ち着けない環境のことも多いんです。調査によると、路上生活者は知的障碍や精神疾患がある人もいますので、耐えきれず、「路上のほうがまだまし」と路上へ戻ってしまう状況があるんです。より弱い状況の人が取り残されているわけです。

TENOHASIでは4年前から、大家さんの理解を得て借り上げたアパートを「個室型シェルター」として運営していますが、必要な人に対して数も足りないし、運営費用もかかります。役所の窓口が閉まる直前、清野さんは4人の方の保護申請を手伝いましたが、当面の落ち着き先については「皆さん、ご希望の個室、一人でプライバシーが守れる空間というのは、たまたま空いていたうちのアパートだけで、あとから来た3人については部屋がないものですから、それぞれ、最終的には相部屋の宿泊所に入られたということです。その方々はとりあえず、年末、年始はそこで、ごはんとお布団は確保できましたが、安心できる空間、プライバシーが守れて、ほっとできる空間は得られない状況で年越しです」と話しました。

まずは、安心できる状況で、次のことを考えてほしいので、TENOHASIでは、個室に落ち着いたら、次には仕事を探したり、病気を治したりしながら、普通のアパートへ。ひとり一人の状況に合わせたサポートも行っています。今ちょうど、クラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/215052)を行っていて、「個室型シェルター」にかかる資金を集める一方、本来そうしたことを担うべき行政に、無料低額宿泊施設ではない、「まずは安心できる住まいに」という制度を作るよう働きかけています。

清野さんは「今の制度で、うまくいく方はそれでいいんですけど、そうじゃない方が、いろんな疾患を抱えて、精神的にも弱くなって、ストレスに敏感で、とか、そういった方が今も路上に残っているので、その方たちにとって必要なケアがあって、それが提供できなかったら、それは保護になってないということです。誰もが安心できるような住まいを誰もが得られるようにする。そういった日本が10年後には実現できるようにですね、地道にやっていきたいと思います」と話していました。

誰もが安心して「年越し」できるようにするために、こうしたNPOの努力と共に、行政もこうした問題を見過ごさずに取り組んでほしいと感じます。

TENOHASIの活動や「個室型シェルター」のためのクラウドファンディングに興味を持たれた方は、TENOHASIのホームページ(https://tenohasi.org/)をご覧ください。