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リプロダクティブ ・ヘルス/ライツ▼人権TODAY(2019年12月28日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・
“リプロダクティブ・ヘルス/ライツ” についてです。

人権トゥデイ

「リプロダクティブ・ヘルス/ライツの25年『残された課題』と私たちにできること」イベントの様子

★『リプロダクティブ・ヘルス/ライツ』とは

今日は、「リプロダクティブ・ヘルス」「リプロダクティブ・ライツ」という言葉についてです。まずはどんな意味なのか、国連人口基金・東京事務所・所長の佐藤摩利子さんに聞きました。

国連人口基金・東京事務所・所長 佐藤摩利子さん
「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(略してリプロヘルス)」は、子供を作るのに必要な健康と、その権利のこと。具体的には「人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ、生殖能力を持ち、子供を持つか・持たないか、いつ持つか、何人持つかを決定する自由」を言う。あまりにも世界を見ると、自分の健康を守って行くことができない女の子や女性が多すぎる。誰かが決めている、男性や夫、政府が決めたり。なので、その権利を自分の身体に関しては自分が決定して行こうという権利を推し進めている。

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国連人口基金(UNFPA)の活動内容がまとめれた冊子。UNFPAの活動は、多くのアフリカ諸国でリプロヘルスを改善し、女性と若者の権利を保障する上で欠かせない役割を果たしてきました


聞き慣れない言葉かもしれませんが、世界的にはとても重要な単語です。「リプロダクション」つまり「リ・プロダクション」という単語は「再生する」「子供を産む」「生殖する」という意味。つまり「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は、女性自身の生殖に関する健康と権利のことを言います。
女性は妊娠したり出産したり、生涯を通じて、男性とは異なる身体の変化や、健康上の問題が多くあります。そのため今から25年前に、国連が「国際人口・開発会議」を開催(通称「カイロ会議」)。この時「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という概念が提唱され、女性の重要な人権の一つとして世界的に位置づけられました。例えば、途上国では、性に関する正しい知識がなかったり、病院や診療所が極端に少ないので、望まない妊娠をしている女性が多くいます。さらに、「児童婚」の習慣がある国では、10代前半の女の子が妊娠し、身体がまだ未熟なので出産で命を落とす場合も少なくありません。

★日本では、「子供が産めない状況」が問題

でも、この問題、途上国だけの話なのか。日本ではどうなのか、聞いてみました。

国連人口基金・東京事務所・所長 佐藤摩利子さん
「リプロダクティブライツ/ヘルス」が日本では必ずしも実現できているとは言えない。子供が産めない状況が日本では問題になる。「産みたい」と思う社会ではない。例えば子育てが大変すぎるとか、お母さんだから・女性だからこうしなきゃいけないというのが強すぎて、良いお母さんじゃないと責められている気になる。そうではなく、子育てってみんなでやることでしょという風に発想の転換をして、社会が優しく子育てができるような状況にならないと、もっと子供を産もうというお母さんが増えていかない。女性だけの問題なく、国の問題だと思っている。

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国連人口基金・東京事務所・所長 佐藤摩利子さん


少子化が進む日本でもまた、途上国とは違った形の「リプロヘルス」の問題があるようです。ちなみに、各国の男女の格差をランキングにした「ジェンダーギャップ指数」が12月17日に発表されましたが、これによると日本は153カ国中、過去最低の121位。これほど女性の経済的な立場が弱い日本において、ますます「子供を産もう」と思える環境が遠のいてしまっていることが、明らかになったばかりなんです。

★参加者「ナイロビ会議に参加したかったけど…」

そんな中、リプロヘルスが定義されたカイロ会議から25年経った今年170カ国以上が集まり、問題解決の進捗状況を報告し合う、「ナイロビ会議」が11月に行われ、日本からも多くの専門家や担当者が出席。先日、ナイロビ会議の報告会として、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツの25年『残された課題』と私たちにできること」というイベントが日本で開かれたので、見に来ていた方に感想を聞いた。

●「ナイロビ会議に本当は参加したい位だったが参加できなかったので日本での報告を聞きたくて参加した。自分の研究課題がFGM=女性割礼(女性器切除)の問題なので、自分の性的自由や家族計画を自分でコントロールできることの重要性を研究を通して学んでいるのでこの問題が重要だと思って勉強したいと思って。
●「ナイロビサミットの事は知っていたが、報告・報道がされていなかったので知りたくて来た。出生前診断や、最近は優生保護法の問題に興味があって。一番凄かったのは日本の方が遅れてるんじゃないかという事。状況はアフリカの方が大変かもしれないが、避妊の選択肢がアフリカの方が多いという話もあったし、日本のことも啓蒙していかなければいけないと思った。

人権トゥデイ

「リプロダクティブ・ヘルス/ライツの25年『残された課題』と私たちにできること」イベントに来ていた参加者に感想を聞きました


他にも、助産師の勉強をしている大学院生や、青年海外協力隊としてタンザニアで活動経験のある方、さらに、来年1月から実際にNGOの職員になってケニアに支援に行くという方など、女性を中心に80名ほどの方が参加。もともとリプロヘルスの問題に興味があり、すでに職業として関わっている方が多く来ていた印象でした。

★タブー視せず“レッツトーク”を広げたい

ただ、皆さん共通して言っていたのが、「日本での問題意識の薄さ」。ナイロビ会議の報道もあまりされていないんじゃないかという声もありましたが、日本ではなぜ、「リプロヘルス/ライツ」という言葉すら認知されていないのか、その背景について、最後に佐藤さんに聞いてみました。

国連人口基金・東京事務所・所長 佐藤摩利子さん
あんまりオープンにしちゃいけない、タブー視されるところがあるので、女性の健康とか生理のことって普通のことじゃないですか。なんか色々恥ずかしいとか、はしたないとか思われがちですけど、人間を作っていく作業。再生していく作業なので、尊厳を持ってきちんとしていける状況を作らなければいけないんけど、そういう状況になっていない。問題があったら共通認識として話をしよう、「レッツトーク」というイベントがあるんですけども世界中あちこちでレッツトーク、話そうよ、タブー視しないで話そうよ。そこから始めて頂いていいのかなと思います。

佐藤さんは、リプロヘルスは、「平たくいうと自分の体を大切にしよう、女性の体は自分が管理していいんだよというメッセージ」とも仰っていました。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という言葉を日本で広げていくためには、“レッツトーク”、話すことからかもしれません。

(担当:TBSラジオキャスター 田中ひとみ)
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「国連人口基金 東京事務所」
https://tokyo.unfpa.org/ja
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