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漱石が残す、“時”の力【硝子戸の中】

ラジオシアター~文学の扉

毎週日曜、夜9時からお送りしている
【ラジオシアター~文学の扉】

今週は先週に引き続き、ゲストに俳優の今井朋彦さんをお迎えして、夏目漱石の『硝子戸の中』をお届けしました。

前半に描かれている日常のドタバタ感から、ひとりの女性に出会って漱石が自分の心と向き合いながら大切な何かに改めて気づいていく過程がよく描かれていて、気がつくと、静かにズッシリとした世界観に包まれている不思議な作品でした。

作中には、心に残る文章がたくさん!
「どうせ、おれは、猫の気持ちなんか少しも分からないんだッ!」とありましたが、『吾輩は猫である』の作品を書いた直後にこの文章を書いている可笑しさ…!
漱石が猫を好きじゃないという衝撃の事実も初めて知りましたが、実はとてもお茶目な人だったのかもしれませんね!

「とても回復できないほど深く傷つけられている。と同時に、その傷が、普通の人間では経験できないような美しい思い出となって、この女の顔を輝かせている。」
日常生活において、傷つくことはマイナスなことのように思えますが、色々な経験をすることで人は輝きを増すのだなと最近思います。
辛い思いをたくさん経験している人は、包容力や滲み出る魅力が人一倍あるような気がするので、この文章にはとても共感しました。
ちょうど先日観劇した舞台にも、「女性は失恋をして綺麗になる。恋をして、また綺麗になる。」という台詞があって、素敵な言葉だなぁと思った矢先…!
若いうちの何も知らない無垢な魅力もありますが、苦難を一つずつ乗り越えて、ちゃんと傷つき癒しながら心を動かして生きている人の魅力は計り知れません!

 

「“時”の流れに苦しみをぬぐってもらう方がよい」
この文章も、素敵な表現だなぁと思う一文。
時は偉大な力があると同時に、常に止まることなく進んでいくもの。
漱石も病気と闘いながら自分を見つめ直し、時の流れを味方にも敵にもしながら生きていたのだなぁと、改めて漱石の書いた文章を通じて感じることができます。

優しさと安心感を抱く今井さんのお声と、朋子さんとお二人の安定感抜群の表現力。
ラストには、物語の世界観に包まれたようなスッとした空気がスタジオ内に漂っていました。
今回もブース内で一緒に収録に参加させていただいたり、本当に貴重で贅沢な時間を過ごさせていただきました♪

by 永瀬千裕

〜ゲスト・今井朋彦さんオススメの本〜
◯『あわいの力』/安田登

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