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歯周病が認知症を悪化させる!

森本毅郎 スタンバイ!

日本人の8割は、歯周病とも言われているんですが、実は、歯を失う原因で一番多いのが、この「歯周病」で、虫歯より多い状況です。 こうした中、近年、歯周病が認知症の原因の1つになっているのではないか、という研究結果が発表され、注目を集めています。

12月2日(月)松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、歯周病が体に及ぼす影響について、認知症との関係を中心に取り上げました。

★歯周病とは?

歯周病は、歯周病菌が炎症を引き起こす感染症で、それは、歯の磨き残しがきっかけで発症します。歯の磨き方がきちっとできていないと歯垢が出来てしまいその中にある歯周病菌が活動を始める。そして、歯と歯茎の境目で細菌が増殖し、炎症が起きる、というわけです。

歯周病菌は、空気を嫌う性質があり、歯肉と歯の間に入り込みます。そして、歯の面に沿って、奥へ奥へともぐりこんでいき、歯茎に炎症を起こす病気です。

★歯周病と歯肉炎の違い

そんな「歯周病」は、炎症がどこまで進んでいるかによって、病名が違います。歯茎に炎症が起こっている段階は「歯肉炎」。それが悪化し歯茎を支える歯槽骨まで破壊されるのが「歯周炎」です。

「歯肉炎」の段階では、歯茎が赤く腫れて、歯磨きの際、出血などの症状があります。

これが「歯周炎」になると、歯と歯茎の間から膿が出るようになります。さらに歯がぐらつく、ものが歯の間に詰まる、歯の根っこの部分が見える状態になります。ただここまできても、痛くもかゆくも無いので、気づかない人が多く、もっと進行すると、歯を支える歯茎の骨までも破壊され、歯がポロッと抜け落ちてしまいます。

そんな歯周病ですが、歯の問題だけにとどまらず、からだ全体に影響を及ぼすことが分かってきて注目されているのです。からだ全体、というと大袈裟な感じもありますが、歯周病が起きている場所から炎症性物質が全身に回ることから歯周病は「全身病」と言われているのです。

★歯周病がもたらす全身病とは?

歯周病が全身に及ぼす影響としては、例えば「心筋梗塞・狭心症」があります。歯と心臓、あまり関係ないように思われますが、どう関係しているのか。これまで動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク=お粥状の脂肪性沈着物ができ、血液の通り道は細くなるのです。プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり、血管の細いところで詰まったり、という流れで起こります。

そのほか、歯周病は、「糖尿病」「肺疾患」「脳梗塞」「早産、低体重・未熟児出産」などのリスクが高まるといわれています。こうした中で、最近注目されているのが「認知症」との関係です。

★歯周病と認知症の関係とは?

認知症の原因となる病気はいくつもありますが、もっとも患者が多いのがアルツハイマー病です。短期記憶などをつかさどる脳の海馬などを中心に、大脳全体に萎縮がおこる病気です。

このアルツハイマー病と歯周病の関係について、最初に指摘されたのは2013年です。海外の研究でアルツハイマー病の患者の脳から、歯周病の原因菌であるジンジバリスキン、略して「Pg菌」が見つかったことがきっかけになりました。

その結果、歯周病菌を投与して作った歯周病のマウスは、そうでないマウスに比べて認知機能が低下したり、脳内にアルツハイマー病特有の炎症やアルツハイマー病の患者の脳に見られるシミが認められたという報告が相次いで出てきました。

★脳にシミができる?

この脳のシミですが、正式名称も「老人斑」ということで、あまりいい響きではないのですが、アルツハイマー病の原因は、脳内に「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質のゴミがたまることだと考えられていますが、これがたまってできるのが「老人斑」です。つまり、歯周病菌がこの老人斑を増やすことに関与していたのです。

さらに脳の中を調べると、歯周病菌がつくりだす毒素も増加していたことがわかったのです。毒素が強くなることによって、脳の炎症も強くなり、本来は外からの敵に対して攻撃するはずの免疫細胞が異常に活性化してしまって、脳の神経細胞を攻撃し、神経伝達にも異常がおきていた。つまり、歯周病菌がアルツハイマー病を増悪させていることがわかったのです。

これは動物実験でのことでしたが、今年の1月にはアメリカの研究で人間でも同じことが確認されました。

ほかにも、アルツハイマー病と歯周病との関連性を示す研究があります。

例えば、歯周病の原因菌によって作られる、口臭の原因となっている「酪酸」という物質。この酪酸を健康なラットの歯肉に注射したところ、脳内の各部位で酸化ストレスが上昇しました。なかでも、記憶をつかさどる「海馬」でのストレスが顕著だったそうです。酸化ストレスのために、細胞や組織が悪影響を受け、認知機能が低下するのではないか、という可能性は十分考えられるところです。

このように歯周病と認知症=特にアルツハイマー病との関連は研究が進んでいて、今後、対策なども出てくるでしょう。

それを待つのではなく、今から対策を始めておくべきです。歯周病は歯肉炎の段階であれば、正しいブラッシングで健康な状態に戻せます。しかし、歯周炎になってしまうと専門的な治療が必要になってしまいます。歯肉より上はその人自身の責任、歯肉より下は歯科医の責任。歯周病の予防・治療・改善には、歯周病専門の歯科医と2人3脚で歩むのが重要ポイントです。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191202080130

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