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パーキンソン病に新たな治療法が登場

森本毅郎 スタンバイ!

パーキンソン病は、脳の神経細胞の異常により、体の動きに障害がでる病気ですが、近年、新たな治療法が出てきています。そこで、専門の順天堂大学脳神経内科の大山彦光(げんこう)准教授に取材。11月18日(月)松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、パーキンソン病の新たな治療法を中心に取り上げました。

★パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、手足が震える、動作が遅い小さい、筋肉が固まったようになる、バランスが取れない、といった症状が出る病気で、日本の患者数は現在およそ18万人から20万人と言われています。パーキンソン病は、脳の情報伝達物質の一種であるドパミンの量が減少することで起こります。この病気の治療は、普通はドパミンを補う薬で、体の震えをおさえ、病気の進行を抑えます。

ところが、完全に抑えられないので、だんだん進行したり、薬の量が増えたりします。1日5回とか、3時間に1錠以上、飲み続ける必要がある人もいます。こうなると、それ自体負担ですし、その薬が切れかかった時は、重症の場合、1人で倒れたまま動けなくなって数日後に発見され救急車で運ばれるケースも実際に起きています。

そこで、こうした薬だけの治療では難しくなった人を対象として機械を使った治療法、デバイス療法というものがあります。。

★「脳深部刺激療法」とは?

1つは、「脳深部刺激療法」という治療法です。これは、脳の深い部分=脳深部に、電流を流して刺激を与えるという治療法です。体の動きに関する情報は、脳の中の細胞同士で、電気的な信号によって伝えられています。パーキンソン病の運動障害や、ふるえなどの症状は、いくつかの間違った信号が伝わっているために起こります。そこに電気刺激を与えることで、間違った情報の伝達を止める、という治療になります。

電気刺激は、継続的に与える必要があるため、3つの機械を体に埋め込みます。埋め込むものは、脳に「細いリード状の電極」。鎖骨下あたりの胸に、電流を発生させる「神経刺激装置」。あと、脳の電極と胸の刺激発生装置を繋ぐ、「延長用ケーブル」を皮膚の下に埋め込みます。

局所麻酔で、神経刺激装置と、電極に繋ぐケーブルを体に埋め込んでいきます。刺激による患者さんの反応を確認するのがとても重要なので、局所麻酔で行われるのです。手術は7~8時間ほどかかります。

あまり知られておらず自分が手術中に起きているので怖いし、大丈夫なのかと思うかもしれない。ただ、世界的には、25年以上の歴史があり、14万人以上がこの治療を受けています。また、日本ではおよそ20年前の、2000年4月に保険適用になっています。

★新たな治療「経腸療法」の概要?

そして、もう1つ、機械を使った治療があります。それが新たな治療法、「経腸(けいちょう)療法」というデバイス療法です。経腸療法は、海外では以前から使用されてきましたが、日本では2016年9月に保険適用となった機械を使った新たな治療法です。

簡単に言うと、薬を機械によって小腸に直接おくり続けることで、薬の切れ間がなくなり、症状の改善をはかる治療法です。

薬は先ほどお話したように、飲み続けなければならい、何度も飲まなければならないという事で、患者さんの負担であると同時に、血液中の薬の濃度がどうしても一定にならないという事もある。また、薬を長く使い続けていると、薬の効果が早く切れるようになったり、薬が効きすぎることで身体が勝手に動いてしまう症状も出ます。

そこで経腸療法の登場です。薬を小腸に一定の速度で薬を投与し続けて、血液中の薬の濃度を一定にするのです。

★経腸療法の具体的な治療法とは?

まず、患者さんに経腸療法がふさわしいかを確認するため、 いまの病気の状態や身体の状態を調べます。薬の量を決めるため、いままで服用していた内服薬を経腸療法と同じ成分のものに切りかえます。 経腸療法で効果が出るかどうか確かめるために、薬を鼻から入れたチューブを通して入れます。

そして、経腸療法が適していることを最終的に確認してから、胃に小さな穴、「胃ろう」を作る手術を行います。胃ろうは、一般には口から食事ができなくなった人の身体に栄養を入れるために作られますが経腸療法では、薬を持続的に送り続けるために、この胃ろうを作ります。

手術ですが、おなかに小さな穴をあけ、さらに内視鏡を使って胃に小さな穴をあけます。その穴にチューブを通すのですが、胃から十二指腸、そして小腸に達するまで延ばします。一方、おなかから出ているチューブの先には専用のポンプと薬を入れるカセットを付け、腸に薬を送ります。薬の成分はおもにレボドパ製剤で、パーキンソン病の内服薬として広く使われています。

このポンプは日中付けたままにして、就寝前に外すというものです。ポンプの大きさはスマートフォンより1まわりほど大きい程度で、重さおよそ500グラム程度。ウェストポーチで腰に巻いたり、ショルダーバックなどで肩にかけたりして携帯します。お風呂に入るときにはポンプを取り外すこともできます。

退院後は、定期的に医療機関で診察を受けたり、自宅で訪問看護師による支援を受けたりしながら、治療を続けます。

★まず治療法の知識を

パーキンソン病を、完全に治す治療は、現代医学ではありません。薬の治療も、脳深部刺激療法も、今回の経腸療法も、あくまでも症状を緩和させる治療ですので一生続けなければならないという方もいます。ただ、病気が進行して、薬だけでは良い状態が維持できない人には、こういった機械を使いながら、少しでも負担を減らすことができるようになりました。

病気と付き合うために、脳深部刺激療法や経腸療法を1つの選択肢として知っておいて欲しい。それは、これらの治療が受けられる医療施設は決して多くはないので、この治療にたどり着けずにいる患者さんも少なくありません。是非、状態の悪い方は、主治医に脳深部刺激療法や経腸療法の適用になるのでは、としっかり話してみると良いでしょう。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191118080130

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