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「星野源『Ain’t Nobody Know』とベイビーメイキングミュージック」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「星野源『Ain’t Nobody Know』とベイビーメイキングミュージック」

星野源『Ain’t Nobody Know』とベイビーメイキングミュージックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191115123438

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りいたします! 「星野源『Ain’t Nobody Know』とベイビーメイキングミュージック」。星野源さんが10月14日に4曲入りのEP『Same Thing』をリリースいたしました。

【高橋芳朗】
これまで星野さんはプロデュースもソングライティングもすべて自分ひとりでやってきたんですけど、今回のEPは国内外の豪華アーティストとのコラボを軸にした内容になっていて。星野さんの新展開を強く感じさせるEPと言っていいと思います。

【ジェーン・スー】
PUNPEEさんとコラボしてますよね?

【高橋芳朗】
そうですね。PUNPEEさんも参加しています。

【高橋芳朗】
そんなEPの中で今回スポットを当てたいのが、このコーナーでも何度も紹介しているイギリスの人気ギタリストでありシンガーソングライター、トム・ミッシュと星野さんとの共同プロデュースによる「Ain’t Nobody Know」。星野さんがこの曲を「ベイビーメイキングミュージック」という言葉を使って紹介していたので、今日は星野さんの「Ain’t Nobody Know」を切り口にしてベイビーメイキングミュージックについて解説していきたいと思います。

【ジェーン・スー】
よろしくお願いします!

【高橋芳朗】
さっそくその「Ain’t Nobody Know」を聴いてもらいたいんですけど、まずは「ベイビーメイキングミュージック」とはなんだろうというところですよね。

【ジェーン・スー】
子作りBGMだよ。

【高橋芳朗】
そう、直訳すると「子作り音楽」になります。

【ジェーン・スー】
(いい声で)バリー・ホワイトのことさ……。

【高橋芳朗】
うん。バリー・ホワイトはその代表的なアーティストですけど、要は恋人同士の甘い時間を盛り上げるロマンティックな音楽、セクシーな音楽のことを言います。

【ジェーン・スー】
トニ・トニ・トニの「(Lay Your Head on My) Pillow」ですね。

【高橋芳朗】
はいはい。具体的な曲をバンバン出されていっても対応に困りますが(笑)。ジャンル的にはいまスーさんが名前を挙げていたバリー・ホワイトのようなソウルミュージック、そのソウルミュージックのスロウジャム呼ばれるスタイルを指すことが多いでしょうか。

【ジェーン・スー】
「Can I get a slow jam♪」(アッシャー&モニカ「Slow Jam」を口ずさむ)

【高橋芳朗】
スロウジャムは、ざっくり言うとアーバンでビート感のあるバラードという感じでしょうか。踊れるバラード、体を揺らせるバラード。

【ジェーン・スー】
セクシー!

【高橋芳朗】
星野さんとトム・ミッシュがコラボした「Ain’t Nobody Know」は、そんな超本格派のスロウジャムになっています。スムーズなメロディ、下心をくすぐるボトム(低音)、そして「Ain’t Nobody Know」(誰も知らない)というタイトルに象徴的な、秘められた情事をイメージさせる官能的な歌詞。これらが渾然一体となってめちゃくちゃ濃密な色気が香ってくるという。

個人的に特に注目してほしいのは歌詞ですね。いま話したように、「Ain’t Nobody Know」は秘密の恋を意味しているのと同時に極秘裏に進められていた星野さんとトム・ミッシュのコラボレーションそのものも示唆しているのではないかと。

【ジェーン・スー】
たしかにそうだね。ぜんぜん情報が出てこなかったから。

【高橋芳朗】
だから歌詞にある「夜が壊れるほど二人踊った」とか「誰も来られない場所に僕ら居る」みたいなフレーズはラブソング的な意味合いもあれば星野さんとトム・ミッシュのセッションも意味しているようにも受け取れます。

【ジェーン・スー】
うんうん。それにしてもこのコラボ、いつごろどこでどうやってやったんだろうね?

【高橋芳朗】
正確な時期はわからないけど、基本的にはメールベースでデータのやり取りをしたようですね。

そして歌詞についてさらに踏み込んで言うと、「誰も来られない場所に僕ら居る」という一節からは世界のトップアーティストと堂々と渡り合っている星野さんの自負も感じ取れます。実際にこのコラボ、星野さんとトム・ミッシュが雑誌の対談を通じてもともと交流があったことも手伝ってお互いの良さがビシッと際立ったまま曲に溶け合っている理想的な仕上がりになっているんですよ。まさに星野さんがいまの日本の音楽シーンにおいて「誰も来られない場所に居る」ことを証明する曲と言っていいのではないでしょうか。

M1 Ain’t Nobody Know / 星野源

【高橋芳朗】
もうひとつだけこの「Ain’t Nobody Know」に関して付け加えておくと、星野さんは元来自分の声にコンプレックスがあって人前で歌うことに積極的ではなかったそうなんですけど、いまではもう本当に素晴らしいソウルシンガーですよね。作品を重ねるごとに歌の充実度が増してきているように思います。

ではベイビーメイキングミュージックに話を戻しましょうか。海外ではどういうアーティストがベイビーメイキングミュージックとして重宝をされているかというと、代表的なところではさっきジェーン・スーさんが挙げていたバリー・ホワイト、それからマーヴィン・ゲイ、あとはキース・スウェットとか。ソウルシンガーにとっては、ベイビーメイキングミュージックと言われるのはある意味名誉なことなんですよね。これは有名な話ですが、バリー・ホワイトは街を歩いているとファンから「おいバリー、お前のおかげでまた子供ができちゃったよ!」なんて声をよく掛けられていたそうです。

【ジェーン・スー】
それで「ネバートゥーマッチだね!」って返すんでしょ?(笑)

【高橋芳朗】
フフフフフ。そしてそんなベイビーメイキングミュージックの権化といえるのが、60年に及ぶ活動歴を誇るアイズレー・ブラザーズ。星野さんも大好きなアーティストです。

【ジェーン・スー】
「Between the Sheets」!

【高橋芳朗】
「Between the Sheets」はベイビーメイキングミュージックの代名詞ともいえるアイズレー・ブラザーズの大ヒット曲ですね。もうアイズレーぐらいになってくるとさすがというかなんというか、彼らには『Baby Makin’ Music』というタイトルのアルバムが存在します(笑)。

【ジェーン・スー】
アハハハハ! たまごクラブ/ひよこクラブみたいな(笑)。

【高橋芳朗】
こちら、2006年にリリースされたアルバムです。ではここから一曲、「Just Came Here To Chill」を聴いてもらいましょう。タイトルは(いい声で)「こっちに来て一緒にくつろごうよ」みたいな意味になります。

【ジェーン・スー】
いやらしい(笑)。

M2 Just Came Here To Chill / The Isley Brothers

【ジェーン・スー】
歌い上げないところがまたいやらしいね。

【高橋芳朗】
最初に説明した通りベイビーメイキングミュージックは恋人と過ごす甘い時間を盛り上げるための音楽になるわけですけど、その実用性を考えると1曲2曲用意したところでぜんぜん足りないんですよ。

【ジェーン・スー】
そう!

【高橋芳朗】
恋人を家に招いてからのあれこれの流れや展開を考えると、やはり最低でも2時間のプレイリストは用意しておきたいなと。

【ジェーン・スー】
正しい!

【高橋芳朗】
かつ、スマホやパソコンに入れている曲を適当にシャッフルするのもあまりおすすめできません。

【ジェーン・スー】
わたくし、それで大事故を起こしたことがあります!

【高橋芳朗】
どんな事故でしょう?

【ジェーン・スー】
突然「涙そうそう」がかかったんです!

【高橋・堀井】
ギャハハハハハハハ!

【ジェーン・スー】
いきなり「涙そうそう」が流れてきました。

【高橋芳朗】
それはコトに及ぼうかってタイミングで?

【ジェーン・スー】
そう、「Between the Sheets」の次に「涙そうそう」がかかって。(もちろん曲は悪くないんですが)

【高橋芳朗】
それは大惨事だな。

【ジェーン・スー】
お昼どきに失礼いたしました。

【高橋芳朗】
でも、まさにそういうこと。マーヴィン・ゲイやアイズレー・ブラザーズでセクシーなムードを作ったあとにいきなりメタリカやパンテラがかかったら大変なことになりますよね? あとはたとえば、突然「We Are the World」がかかったりしてもちょっと微妙な空気になると思うんですよ。

【堀井美香】
それはそれでいいかもしれませんけどね(笑)。

【高橋芳朗】
フフフフフ。ただ、そういうプレイリストを作りたいけどよく曲がわからないとか面倒だって方もきっと多いと思います。でもご安心ください、各音楽配信サービスには主に海外の一般リスナーの選曲による「Baby Makin’ Music」のプレイリストが大量にアップされています。

【ジェーン・スー】
ああ、そうなんだ!

【高橋芳朗】
うん。ぜひ「Baby Makin’ Music」と検索してみてください。そこからもわかると思うんですけど、向こうでは恋人と過ごすときにロマンティックな音楽をかけるのが完全に生活に密着した行為なんですよね。

【ジェーン・スー】
そんなところで恥ずかしがっていちゃダメだってことですよね。

【高橋芳朗】
そういうプレイリストのほか、実用性の高いコンピレーションCDもたくさんリリースされています。個人的におすすめしたいのが、ヒップホップバンドのザ・ルーツのドラマー、クエストラブが選曲した『Babies Making Babies』。次はこのアルバムから一曲紹介しましょうか。「Lovin’ You」でおなじみ、ミニ・リパートンの1975年の作品です。

M3 Inside My Love / Minnie Riperton

【高橋芳朗】
最後は今年リリースされたわたくし一押しのベイビーメイキングミュージックで締めたいと思います。フロリダ出身のシンガー、デヴィン・モリソンの「With You」。女性シンガーのジョイス・ライスとのデュエットで、80年代風のスロウジャムですね。これは腰から砕けます!

M4 With You feat. Joyce Wrice / Devin Morrison

【ジェーン・スー】
2019年とは思えない仕上がり!

【高橋芳朗】
ね。バブル期の六本木みたいな(笑)。

【ジェーン・スー】
ホントそれ!

【高橋芳朗】
というわけで、本日はベイビーメイキングミュージックをテーマにお送りいたしましたがいかがだったでしょうか? 先ほど触れましたが、ぜひ皆さん各音楽配信サービスの検索窓に一度「Baby Makin’ Music」と打ち込んでみてくださいね。その手のプレイリストがずらっと出てきますから。

【ジェーン・スー】
デートで部屋に彼女彼氏が来たときにはそれを流しておけばバッチリっていうね。

【高橋芳朗】
そうそう。そして、そこからお気に入りのベイビーメイキングミュージックを見つけて自分好みのプレイリストを作ったうえで(いい声で)素敵なウィークエンドをお過ごしください……。

【ジェーン・スー】
(いい声で)お過ごしください……。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

11月11日(月)

(11:11) Slave to Love / Bryan Ferry
(11:28) See What Love Can Do / Eric Clapton
(11:35) Pain Is So Close to Pleasure~喜びへの道~ / Queen
(12:13) Shining Star (Makin’ My Love) / David Bowie
(12:48) Fish On the Sand / George Harrison

11月12日(火)

(11:07) I’ll Feel a Whole Lot Better / The Byrds
(11:39) Last Train to Clarksville / The Monkees
(12:14) I Saw Her Again / The Mamas & The Papas
(12:52) Come to Me / The Association

11月13日(水)

(11:05) Heart / Rockpile
(11:25) King Horse / Elvis Costello & The Attractions
(11:36) Another Nail in My Heart / Squeeze
(12:14) Generals and Majors / XTC
(12:26) Sunday Papers / Joe Jackson
Ray Charles – What’d I Say

11月14日(木)

(11:04) What’d I Say / Ray Charles
(11:23) Just Too Much / Ruth Brown
(11:35) I Gotta Get Myself a Woman / The Drifters
(12:13) Love Bug / The Clovers
(12:49) Hot Ziggity / Clyde McPhatter

11月15日(金)

(11:06) Boy, You’re Dynamite / The Jackson Sisters
(11:26) If You Were There / Ace Spectrum
(11:36) What it Comes Down to / The Isley Brothers
(12:13) Corner of the Sky / The Jackson 5