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きねがわの皮革産業を継承するために▼人権TODAY(2019年11月16日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…『きねがわの皮革産業を継承するために』

木下川の皮革産業を知る「きねがわスタンプラリー」

革製の財布やバッグ、靴などを普段使っている方も多いと思いますが、とりわけ「豚の革」ピッグスキンにおいて日本一の生産を誇る墨田区・木下川(きねがわ)地区を取材してきました。10/20(土)に行われた「きねがわスタンプラリー」は地区内の3つの拠点を巡ることで、きねがわの歴史や、革を生産する工程、また、その過程で取れる油脂=油を使った産業も同時にさかんであることを知ることができます。今回が5回目ということで、徐々に浸透してきているようです。

子供連れのお父さん
私単身赴任で、今回2回目で家族を初めて連れてきた。(子供は)小学校5年、6年、高校2年。なかなか見れないこのあと、なめしの工程とか見れるんで、ああいうのちょっと見せてみたいなと思ったんで

    

子供連れのお母さん
(お子さんは何歳ですか?)5歳。(参加は何回目ですか?)今日、今年初めてです。やってるのは分かってたんですけどまだちょっと小っちゃいと分からないかなというので、ちょうど分かる時期になったので、一緒に回ってみようかなと。

皮の性質を利用して、水で濡らして折り曲げて犬の形のキーホルダーを作るコーナーが特にお子さんに大人気で、一時行列になっていました。木下川地区は、近年新しく移り住む人が増えていて「元々、革の生産がさかんな地域だとは知らなかった」という方も多いのですが、このスタンプラリーを通じて興味をもち、リピーターになる方もいらっしゃいました。

木下川地区の人権教育に関する特別展示

スタンプラリーのチェックポイントの一つ「産業・教育資料室きねがわ」では『木下川から生まれたもの作りの教育』と題し、地域周辺の小学校で行われてきた教育について知ることが出来る特別展が行われていました。案内してくれたのは、中央大学の4年生で、人権教育を専門に学んでいる佐藤雄哉さんです。

中央大学4年・佐藤雄哉さん
この皮は、第三吾嬬小学校という所で、一番最初に学校で皮なめしができるかどうかを学校の先生たちが試しにやってみようということで洗濯機でやったものです。学校の中の子供達が、においの問題でいじめがあったりというのがあって、それをどう克服しようかと先生たちが考えてる過程の中で、皮革産業のこととにおいの問題のことを子供たちと一緒に皮なめしをやりながら考えていくという授業づくりをしていました。

これは30年ほど前のエピソードですが、皮をなめす過程で使われる薬品に独特のにおいがあり、そのにおいを隠すためお母さんが小学2年生の子供に香水をつけていた。それがいじめの原因になったということなんです。そこでクラスの担任の先生が、皮なめしのにおいについて生徒に考えてもらうため、実際に使う機械の代わりに洗濯機を使って豚の皮をなめすという作業を、日本の学校教育で初めて行いました。その皮の実物が展示されていました。

仕上げに油を入れるのを忘れたそうで、触るとごわごわしていました。

授業時間、教員の確保が課題

特別展『木下川から生まれたもの作りの教育』には他にも様々な展示がありましたが、見ていて気付いたのが、1980年代~2000年代にかけての展示はあるのですが、ここ最近のものが見当たらなかったんです。どういうことなのか?佐藤さんに聞きました。

中央大学4年・佐藤雄哉さん
現在も継続して行われてる物もあるんですけど、それが中々難しいところもあって、今こうやって、ここでそもそも展示会をやっているのが、そういう実践を残していこう、というもとで取り組みをやっています。学校でやる授業時数の確保だったり、先生自体が革産業について深く知らないということもあったりだとか、いろんな事情があると思います。

授業時間、教員の確保のほか、元々人権教育に熱心だった、木下川地区にあった「木下川小学校」が2003年に廃校になってしまったという背景もあるようです。佐藤さん個人は今後大学院に進んで人権教育の領域をさらに研究するということなので、今後も木下川の人権教育に関わってもらいたいと思います。

「木下川」という字が無くなってほしくない

「きねがわスタンプラリー」の一般参加者の中には、革産業の当事者として、きねがわスタンプラリーの取り組みに期待をしている方もいました。

家が革産業の仕事をしているという女性
街の中はすごく変わってますし、この地場産業も減ってるのでそれは残念なんですが、うちはまだやってます。でもだんだん職業が変化していきますね。この「木下川」という字が無くなってほしくないのね。名前でも、せめて。うちまだ革産業やってますけど、残してほしいなと思って今日は、同級生のババ同士で。もう子供達も40代ですから、ババ友で来ました。

木下川で皮を扱う工場は最盛期と比べてかなり減っています。そこで働く人の高齢化という課題もあります。「木下川」はテレビでも珍しい地名として取り上げられたことがあるとこの方は言っていましたが、その「木下川」という字を無くしてほしくないという当事者ならではの強い思いが伝わってきます。木下川のことを若い世代に伝えていくためにスタンプラリーは重要な取り組みですし、学校での人権教育にも期待したいところです。

(担当:中村友美)