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増える血液がん「多発性骨髄腫」。その現状と治療法

森本毅郎 スタンバイ!

多発性骨髄腫は、「白血病」「悪性リンパ腫」とともに「3大血液がん」と呼ばれています。骨髄の中で、かぜのウィルスなどをやっつける物質を作る細胞が、がん化して増加するのです。この多発性骨髄腫の治療ですが、昔は治療法がなかなかない難病でしたが、次々新しい薬が登場するなど、選択肢が増え生存率も上がってきていています。

そこで11月4日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)では、多発性骨髄腫の現状と治療法などについてお伝えしました。

★血液のがんとは?

血液は、骨の中の骨髄にある血を作る「造血幹細胞」からつくられています。その細胞が分かれて、赤血球や白血球、血小板といった血液細胞をつくりだしています。多発性骨髄腫などの血液のがんは、そうした血液細胞が分かれる過程で、血液ががん化する病気。多発性骨髄腫は、骨髄の中で抗体を作る細胞ががん化する病気で、年間5千人、10万人に5人が罹患しています。

患者さんは50歳ごろから加齢に伴って増加します、近年の高齢化によって患者数は増えていますが、今後さらに増加することが予想されています。原因については、一般的に、遺伝することはないとされていますが、よくわかっていません。

★多発性骨髄腫の症状

多発性骨髄腫は、血液の病気ということで、全身でいろんな症状が出てきます。

まずは、正常な血液細胞が作られなくなると、貧血になりやすくなります。貧血によって、めまい、だるさ、疲れやすさ、息切れ、動悸などの症状が出たりすることもある。

また、免疫機能の低下し、感染症にかかりやすくなるため、発熱、風邪による咳や喉の痛み、尿路感染症、口内炎などの症状が出る患者さんもいます。

さらに、骨密度が低下し、骨が弱くなると、骨折しやすくなったり、腰痛、肋骨痛などの症状や腎臓障害によって、食欲不振やむくみなどの症状が出たりと、本当に多くの症状が出る可能性が。

症状があらわれる前に、健康診断などで見つかったり、ぎっくり腰が治らないと言って整形外科を受診して、血液内科を紹介されて、多発性骨髄腫と診断されることもあります。

★多発性骨髄腫の治療とは?

症状が出たり、病院で多発性骨髄腫の疑いがあった場合は、診断と治療方針を決めるために、いろんな検査をうけることになります。一般的には血液内科を受診して検査を受けることになりますが、検査は尿検査、血液検査、骨髄検査のほかに、画像検査=骨の状態を確認するX線やCT、MRI、PET検査などが行われます。

★多発性骨髄腫の治療とは?

多発性骨髄腫の治療ですが、残念ながら現段階では多くは再発が避けられません。ただ、病気の進行は遅く、症状を抑えることはでききるようになってきました。

治療は、大きく、症状を緩和するための治療と、多発性骨髄腫そのものに対する治療とに分けられます。

症状を緩和する治療は、例えば骨がもろくなり、骨折や骨の痛みがある場合には、薬を注射して、骨の破壊など進行を防ぎます。また、骨折やもろくなった骨を補強するために、手術が行われる場合もあります。痛みには鎮痛薬が使われたり、放射線治療が行われます。

一方、多発性骨髄腫そのものに対する治療は一般に、65歳以下で重要な臓器の機能が保たれている患者さんに対しては、まず、薬物療法が行われます。現在では、従来用いられている抗がん剤とステロイド剤に加えて、さまざまな薬剤が保険適用となっていて、これらを適切に組み合わせた薬物療法を行います。

代表的な薬剤としては、ボルテゾミブという分子標的薬です。ボルテゾミブは、がん細胞の増殖にブレーキをかける作用を持つ薬です。2006年に健康保険の適用になりました。従来の薬より、かなり高い治療効果を示します。ボルテゾミブの効果が不十分な場合には、レナリドミドやサリドマイドなどの薬に変更します。

★サリドマイドの経緯

サリドマイドは、1950年代に睡眠薬として開発された薬。不眠症や、鎮痛剤、胃腸薬、そして妊婦のつわりをやわらげる薬として使われてきました。しかし、妊婦に使われた際、重い障害を持った子供が生まれ問題に。1962年に製造・販売が禁止になりました。

しかし、その後、ハンセン病や、この多発性骨髄腫に有効とされ、2008年、厚生労働省が、製造を認可した、という経緯。大丈夫なのか、心配になりますが、サリドマイドには、新しい血管ができるのを妨害する作用があります。

そのため、胎児などに入ると、新しい血管が作れなくなり、成長が阻害され、障害のある子が生まれてしまうという問題がありました。一方で、多発性骨髄腫のがんが増殖するときも、新しい血管を作ることがあり、そこを妨害することで、がんを抑える仕組み。

適切に、大人に、使うことで、サリドマイドは復活した・・・

★薬物療法の次は自家移植

こうした薬物療法で効果があると、自家移植が行えるかどうかを検討します。自家移植は、がん化した細胞を大量の抗がん薬で死滅させた後、前もって保存しておいた自分の正常な血液を作る造血幹細胞を移植し、正常な造血機能を取り戻す方法です。

一般に、66歳以上の患者さん、および65歳以下でも、重要な臓器の障害などのために自家移植を行わない患者さんには、ボルテゾミブやレナリドミドなどの薬剤を中心とした複数の薬を併用した薬物療法が行われます。多剤併用療法です。

自家移植ができると平均3年程度、薬だけの治療でも平均2年程度は再発を防ぐことができるといわれています。このように、多発性骨髄腫は再発の可能性が高いがんです。

ただ、再発した場合などの治療においても、分子標的薬によって、症状のない状態を長く続けることができる時代になっています。さきほど紹介したボルテゾミブやレナリドミド、サリドマイドに加えて、いろんな薬剤が保険適用になり、一定の治療効果のあることがわかっています。

ただ、今、治療を受ける場合に大事なのは、感染症に十分注意し、しっかり予防することです。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20191104080130

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