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なぜゲームの中でも信号を守りたいのか? 星野ルネ&宇多丸が語る『グランド・セフト・オート』談義

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ


星野ルネさん完全版トーク前編はこちらから↓↓

■バスケ部のベンチに座っていただけで先輩からプレステをもらえた

「マイゲーム・マイライフ」のゲストに、漫画家でタレントの星野ルネさんがやってきました。カメルーンで生まれ、関西で育った星野さん、『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』も話題です。

4歳でカメルーンから日本に来た星野さん。小学校に上がったくらいの頃、父の友人の家で「テレビの前に箱がある……」とファミコン(箱)との出会いを果たします。箱のスイッチを押しただけで、テレビの中のおじさん(マリオだったそうです)が動くことに衝撃を受けたルネ少年は、そこからゲームの世界にのめり込んでいきます。順調に所有ハードを増やし、中学に上がった頃、なんと先輩からプレステをもらうことに。

星野「中学の頃のバスケ部の先輩が、プレステくれたんですよ」

宇多丸「え、なんすか? なんすか? どうして?」

星野「なんか、よくわかんないんですけど……。僕あの、バスケ部だったんですが、バスケあんまりうまくなかった(笑)。要は、見た目がうまそうだから、試合とかで『お前プレーしなくていいからとりあえず座ってろ』って」

宇多丸「あははははは!」

星野「って先輩に言われて、意味わかんないんですけど」

宇多丸「あいつがまだ控えてんじゃないか、みたいな(笑)」

星野「そうそうそう! 向こう(対戦相手の学校)はプレッシャーがハンパなくて。まだあいつ温存してんの!?って」

宇多丸「なんちゅーワザなんだ!」

星野「それで、かわいがってくれてて、お前いい奴だな、おもろいなって。で、プレステをくれたんですよ」


宇多丸「へええ~! でも、学生の身分でプレステあげるっていうのもねえ」

星野「金持ちの先輩だったんですよ。新しいの買うからって、ギブアンドテイクで」

宇多丸「確かにギブアンドテイクだ(笑)」

そして一番の盛り上がりを見せたのが、『グランド・セフト・オート』談義。かねてより宇多丸さんはこの番組で、「たとえゲームの中でも信号は守る!」と主張しておりました。「ゲームの中でくらい自由にやればいいのに……」となかなか人からの共感を得られなかったようですが、なんと星野さんはまったく同じプレイスタイルでした。


星野「めちゃめちゃ安全プレイ派です! 絶対安全」

宇多丸「ああっ、出た! 出ました!」

星野「本当に僕、人殺したくないんです、基本的にミッション以外では」

宇多丸「わかるなぁ~。嬉しいなぁ~。同じタイプ初めて(同じプレイスタイルの人と)会いました! やっぱりさ、変なことやると追いかけられるじゃないですか。安心して(各地を)周れないから、嫌ですよね。(中略)俺、信号守ってますもん」

星野「ああ、わかります、わかります。(中略)ただねぇ、あそこの住人、ウィンカー出さないからね! 次回作が出るなら、ウィンカーを出してほしい! ぶつかっちゃうから!」

宇多丸「こっちはちゃんと守ってんのに!」


星野「守ってんのに、ウィンカー無しでガンってくるから!」

宇多丸「安全プレイ派で言うとね、知人が、バスを盗むんですけど、盗んで、時間通りに運行している人がいるんです(笑)」

星野「ははははは!」

宇多丸「いや~、でも、安全プレイ派、いたわ~! 安全プレイ派ってなんかわからないけど、バカにされがちじゃないですか? 信号守るしって言ったら、『はぁ? そんなんで面白いの?』って」

星野「僕の友達が言うには、普段、現実の世界でできないことができるようになるのがゲームの良さじゃん、なんで現実と同じことをゲームでやるの? って」

宇多丸「わかるけど、その理屈も。でも、結局グランド・セフト・オートくらい世界ががっつりあると、しょせん行動原理は“自分”になってきちゃいません? だから、悪いことできない人は、やっぱり悪いことできないんだなって」


星野「そうなんですよ! リアルですから、人が。殴ったら痛そうな顔するし。よく殴れるなって」

宇多丸「僕の知り合いで、本当に酷いんだけど、ATMでお金を下ろしてるキャラがいると、あいつらいつもよりお金を持ってるから(巻き上げるときに)いいんだよって。最低だな!」

星野「それを、お袋さんに聞かせられるか! 泣くぞ!」

宇多丸「本当はそんなことやる子なの!? ってね」

星野「そうそうそう! あんた、普段我慢してるだけなの!?」

宇多丸「ねえ! みんな我慢してるだけなの!? おっそろしいよ!」

終始、共感しっぱなしだった星野さんと宇多丸さん。彼らの意見は少数派だそうですが、私も考え方としてはそちら側だと思いながら聞いていました。宇多丸さんも言っていたように、たとえゲームといえど、グランド・セフト・オートくらいリアルに近づけた世界観だと、「ゲームのキャラクターを動かしている」というよりも、「自分がその世界の中にいる」という感覚のほうがずっと強くなるように思います。いくら「現実でできないことをできる」とは言っても、それは単に「現実の自分が悪人にならない/現実の自分に傷がつかない」というだけで、信号を守らなければ警察に追いかけられて嫌な思いをするわけです。
例えば、ドラクエなどのRPGでは、他人の家のタンスを勝手に漁ろうと、誰も怒って追いかけてきません。プレイヤーは何をしてもOK。ある種、その世界で生きているものとしては扱われず、その街にいる住人もただの“記号”でしかありません。ですが、グランド・セフト・オートの世界でこういうことをすると、「泥棒だ!」と騒がれてきっと警察を呼ばれるということなのでしょう。
そう考えると、「そこまでして悪事を働きたいか!?」と私も思ってしまうなぁ……。だって、単純に警察に追いかけられるの、鬱陶しいし嫌じゃないですか?

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■今回のピックアップ・フレーズ

(桃鉄をコンピューター相手にやってボコボコにする話)

星野「資本主義の恐ろしさと、人間の貪欲さ……お金持ちだけが到達できる場へ行けるんです。あれ、お金が増えると色々な物件を買えるんですよ。買ってるほうが有利だから、どんどん持たざる者と持つ者の差が開いていってコンピューターが買う物件がほぼなくなって、こっちが支配する世界が出来上がるんですよ。そこで気づくのが、人間ってお金が増えると、どんどん自分のマスを増やしていって、すべて手に入れたくなるんだなってあのゲームをしただけでわかるんです。全部買い占めて、増資もやって、全部俺のものにしたくなる」

宇多丸「そんなに欲張らなくてもいいはずのに、って」

星野「そう。グランドセフトであんなにいい人だったのに、お金を手に入れた僕が行き着く先が(笑)」

宇多丸「すごい。グランド・セフト・オートで出なかった人間の暗黒面が、桃太郎電鉄では出てるという(笑)」

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

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