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「映画『イエスタデイ』公開記念! ビートルズがいなかったら絶対に存在しないバンド、ザ・ラトルズ特集」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる洋楽コラム

「映画『イエスタデイ』公開記念! ビートルズがいなかったら絶対に存在しないバンド、ザ・ラトルズ特集」

【高橋芳朗】
本日はこんなテーマでお送りします! 「映画『イエスタデイ』公開記念! ビートルズがいなかったら絶対に存在しないバンド、ザ・ラトルズ特集」。

先週の金曜日、10月11日から公開になった映画『イエスタデイ』にちなんだ特集です。まずはざっくりと映画の概要を。「『トレインスポッティング』『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督と『ノッティングヒルの恋人』『ラブ・アクチュアリー』の脚本家リチャード・カーティスとの初コラボによる音楽ファンタジーコメディ。ある日突然、自分以外の誰もビートルズを知らない世界に迷い込んでしまった売れないシンガーソングライターの青年が、彼らの名曲の数々を自分の新曲として発表。一躍大スターとなっていく興奮と戸惑いの行方を描く」。スーさんはご覧になってますよね。いかがでした?

【ジェーン・スー】
あまりビートルズに詳しくないから大丈夫かな?と思っていたんですけど、いざ見てみたら意外に自分はビートルズの曲を知ってるんだなって気がつきましたね。「ビートルズの曲を挙げてみて!」と言われると「えー、『Yesterday』と……」みたいな感じになっちゃうんだけど、実際に聴いてみると「あ、これ知ってる! これも知ってる!」ってなって。それほどの存在のビートルズが存在していない世界という設定がおもしろいのよ。

【高橋芳朗】
まさにその「もしビートルズがいなかったら?」という設定の秀逸さで話題を集めている映画ですね。あとこの『イエスタデイ』でおもしろいのは、ビートルズが存在しない世界ではビートルズの強い影響を受けているアーティストもいないことになっているんですよ。だから劇中ではイギリスの某有名バンドが存在していないというギャグがあって(笑)。

【ジェーン・スー】
(そのアーティストの曲を口ずさむ)

【高橋芳朗】
フフフフフ。そんなこともあって音楽ファン的には「もしビートルズが存在しなかったらあのバンドはいないんじゃないか? こんな曲は作られなかったんじゃないか?」なんて議論をしたりするのがまた楽しかったりするんですよ。まあ、それにはいろいろな見解があると思うんですけど、ビートルズがいなかったら異論の余地なく存在していないのが……まずは日本のずうとるびですよね(笑)。

【ジェーン・スー】
フフフフフ、そうですね。

【高橋芳朗】
ずうとるびは確実に存在しないでしょう。これはまちがいない。そしてもうひとつが、今回紹介するラトルズ。なぜラトルズは絶対に存在しないと言い切れるかというと、それは彼らがビートルズのパロディバンドだからです。

【ジェーン・スー】
そりゃそうだ。パロディにする元がなくなっちゃうんだから。

【高橋芳朗】
ラトルズはイギリスのコメディ集団モンティ・パイソンのエリック・アイドルとボンゾ・ドッグ・バンドのニール・イネスが中心になって結成されたバンド。もともとはビートルズをパロディにした1978年のコメディ映画『All You Need Is Cash』から派生したという経緯があります。『All You Need Is Love』ではなく『All You Need Is Cash』ね。

【ジェーン・スー】
愛ではなく金ということですね。

【高橋芳朗】
では、ここでまずラトルズの曲を聴いてもらいましょうか。タイトルは「Hold My Hand」。ビートルズの「Eight Days A Week」のイントロから始まって「I Want To Hold Your Hand」「She Loves You」「All My loving」などにそっくりなフレーズが次から次へと飛びしてくるという。

【ジェーン・スー】
いいんだよね。パロディだから。

【高橋芳朗】
これがまためちゃくちゃよくできてるんですよ。基本ギリギリの線をついているんですけど、たまにオーバーランする瞬間がたまりません(笑)。

M1 Hold My Hand / The Rutles

【高橋芳朗】
この「Hold My Hand」からもわかると思いますが、ラトルズのパロディソングは非常に完成度が高いんですよ。超高度な悪ふざけといいますか。あまりによくできてるから、ビートルズの未発表曲とまちがわれてビートルズの海賊盤に収録されたこともあるほどで(笑)。

【ジェーン・スー】
フフフフフ、いい話!

【高橋芳朗】
ここでラトルズの曲をもう一曲、「I Must Be in Love」を聴いていただきたいと思います。この曲などはもはやパロディを超えたビートルズオマージュの大傑作ですね。素晴らしいソングライティング技術を堪能してください。

M2 I Must Be In Love / The Rutles


【ジェーン・スー】
これはよくできてますね。「ビートルズの曲だよ」って言われたら「ああ、そうなんだな」って思っちゃう。

【高橋芳朗】
いま聴いてもらった「I Must Be In Love」を書いたのが、先ほども触れたニール・イネス。彼は本当に優れたソングライターでソロアルバムも残しているんですけど、このニール・イネスのある曲をめぐるちょっとおもしろいエピソードがありまして。まずはこちら、彼の1973年の作品を聴いてみてください。

M3 How Sweet to be an Idiot / Neil Innes

【ジェーン・スー】
これはおだやかじゃない曲がきましたよ。

【高橋芳朗】
フフフフフ、もう説明不要かと思いますが。

【ジェーン・スー】
私はいま怒っているよ。「Shame On You!」って(笑)。

【高橋芳朗】
まあまあまあ(笑)。このニール・イネスの「How Sweet to be an Idiot」、日本でもたびたびCMソングに使われているオアシスの1994年のヒット曲で彼らの代表作「Whatever」の元ネタなんですよ。

【ジェーン・スー】
この流れでオアシスもかけてやれ!

【高橋芳朗】
じゃあオアシスのほうも聴いてみましょう。

M4 Whatever / Oasis

【ジェーン・スー】
これは……どうなんですか?

【高橋芳朗】
この一件はオアシスの盗作にあたるということでニール・イネスが訴訟を起こしています。

【ジェーン・スー】
でしょうね。

【高橋芳朗】
そしてニールが勝訴しています。結果、彼は「Whatever」の印税の一部と楽曲の共同作者としてのクレジットを手に入れることになって。だからいま「Whatever」の作者クレジットを見るとノエル・ギャラガーの隣にニール・イネスの名前がありますね(笑)。

【ジェーン・スー】
フフフフフ、最高。ちゃんとお金が分配されることが大事だね。

【高橋芳朗】
それにしても、ビートルズのパロディバンドで名を馳せたニール・イネスがオアシスに曲を盗作されたって裁判を起こしてロイヤリティーを受け取ることになったというのがなんともシニカルな展開だなと(笑)。

【ジェーン・スー】
ビートルズの置き去り感がすごい(笑)。

【高橋芳朗】
あと、ビートルズがいなかったら存在しないバンドの代表格に挙げられるオアシスがビートルズのパロディバンドのメンバーの曲を拝借して訴えられたというのもまたおもしろくて(笑)。

【堀井美香】
フフフフフ、確かに。

【高橋芳朗】
ただ、この一件はこれで終わりじゃないんですよ。これで終わらせないあたりがモンティ・パイソン・ファミリーのニール・イネスの面目躍如といった感じなんですけど、ラトルズは1996年に再結成しているんですね。そのときニール・イネスはシングルとしてリリースした「Shangri-La」のイントロでオアシスの「Whatever」をパクリ返しているんですよ(笑)。

【堀井・スー】
アハハハハ!

【高橋芳朗】
この「Shangri-La」、曲全体としては「A Day In The Life」をはじめとする『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』期のビートルズのオマージュになっているんですけど、イントロだけ思いっきりオアシスの「Whatever」なんですよ。

M5 Shangri-La / The Rutles

【高橋芳朗】
ラトルズで「Hey Jude」……ではなく「Shangri-La」でした(笑)。

【ジェーン・スー】
天才でしょ!

【高橋芳朗】
そんなわけで本日は映画『イエスタデイ』の「もしビートルズがいなかったら?」という設定にちなんでビートルズのパロディバンド、ラトルズの特集をお送りいたしました。ちなみにこの『イエスタデイ』、スーさんと僕でやっているWEMUOMOの連載『愛と教養のラブコメ映画講座』でも取り上げているのでぜひ併せてチェックしてみてください!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

10月14日(月)

(11:13) Wait for Me / Daryl Hall & John Oates
(11:36) Allentown / Billy Joel
(11:45) Don’t Talk to Strangers / Rick Springfield
(12:14) Heart to Heart / Kenny Loggins
(12:45) 色彩都市 / 大貫妙子

10月15日(火)

(11:06) Desafinado / Joao Gilberto
(11:22) Destinos / Ana Lucia
(11:34) Fiz o Bobão / Doris Monteiro
(12:14) 栞 / クリープハイプ

10月16日(水)

(11:06) Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is a Season) / The Byrds
(11:24) She Belongs to Me / Bob Dylan
(11:35) I’ll Never Find Another You〜恋はたったひとつ〜 / The Seekers
(12:19) Wanderin’ Kind / The Turtles
(12:51) You Baby / The Lovin’ Spoonful

10月17日(木)

(11:06) Obscurity Knocks / The Trash Can Sinatras
(11:24) Tear the Web / Benny Profane
(11:37) Breaking Away / Friends
(12:19) She Looks Right Through Me / The Waltones

10月18日(金)

(11:06) Sha-La-La (Make Me Happy) / Al Green
(11:37) Have You Ever Tried It / The Main Ingredient
(12:11) The Family Song / Smokey Robinson