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外国人でもわかりやすい「やさしい日本語」▼人権TODAY(2019年10月19日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で、8:20頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

日本語を簡単な文に

「やさしい日本語」とは、簡単な表現に書き換えて外国人にもわかりやすくした日本語です。特に災害時など、情報を正確にスピーディーに伝えるために考えられたもので、行政の窓口や報道機関などでの活用が広がり始めています。

ひらがなで台風情報を伝える、NHKニュースのツイッター

弘前大学が作成した「やさしい日本語」のガイドラインでは・・・
・難しい言葉を言い換える
・文章を短くする
・元の発音や意味が異なる外来語は使わない
・オノマトペ(擬声語・擬音語・擬態語)は使わない
などのルールがあります。

こうした事情について、外国人向けの日本語教師で、やさしい日本語アドバイザーとしても活動している黒田友子さんに話を聞きました。

やさしいコミュニケーション協会の黒田友子さん

黒田友子さん

 誰にでも読んでもらえるという意味では、日本語を学ぶ時に一番最初に学ぶのがひらがななので、やっぱり漢字が読めない方がいるということに配慮されて、ひらがなだけで書かれたのかなと感じています。やさしい日本語は、日本語の一番基礎的なレベルに合わせた言葉なので。そして話す時は、ハッキリゆっくり話すことが必要です。でも子供に話すような言葉で話すものではありません。方言も使えません。
そしてゆっくり話すことも大切ですが、薬剤師の先生が外国人の人にこんな風にゆっくり話していたんです。「毎食後、1錠、服用してください」。でも「毎食後」という言葉も「1錠」という言葉も「服用」という言葉もすべて難しい言葉なんですね。難しい言葉をゆっくり言っただけでは外国人の人はわからないので、そういうことではないんです。
──そうすると今の言葉をやさしい日本語に直すとどうなる?
「朝ごはんの後、1つ飲んでください。昼ごはんの後、1つ飲んでください。夜ごはんの後、1つ飲んでください」という3つの文に分けて話すと思います。
 そして「同音異義語」にも気を使わないといけません。例えば「せんたく」という言葉。私たちは2種類思い浮かぶと思うのですが、「選ぶ」「洗う」のように、漢語を和語(大和言葉)に言い換えることで意味が1つになり、外国の方も理解しやすくなるのです。

外国人診療こそ「やさしい日本語」を

病院では医療通訳や翻訳デバイスを使うところも多いそうですが、翻訳のトラブルが実際に起きているということです。

黒田友子さん

 特に命がかかわるような場面で誤訳が懸念されます。「あなたは必ず助かります」と伝えるために「絶対死にません」と翻訳機に話しかけたところ、出てきた言葉が「絶対死にます」だったことがあり、真逆の訳が起こってしまった。デバイスを使う時に一番ネックなのが、出てきた訳が正しいかどうかを日本人自身がチェックできないこと。だから翻訳機の使用は推奨されていない。やさしい日本語を使うことでできるだけリスクを下げてほしい。その時に医療者からの言葉をやさしい言葉にすれば通訳さんの負担も減らせるし、翻訳の精度も上がる。翻訳機を通すにしても、日本語が話せる患者でも、やさしい日本語はどちらにとってもメリットのある言葉なんです。

「外国人対応は英語」という固定概念

日本在住の外国人は年々増えていて、平成30年度末で273万人が暮らしています。多い順に中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパール、インドネシア、台湾、アメリカ、タイ。アメリカとブラジル以外は全てアジアで、アメリカを除くと母国語が英語以外です。しかし、日本人はどうしても「外国人には英語」という思い込みがあるといいます。

黒田友子さん

 英語を反対するつもりはなく英語を使ってもいいんですけど、アジアの人が大勢を占める中、第2外国語として英語を知っている人がどれだけいるでしょうか。多言語の対応は必要なんだけれども、全部に対応するのは難しい。日本語という共通語も活用していく必要があるんです。日本に住んでいる人たちは、何らかの形で日本語に接しています。パートナーに教えてもらっていたり、会社で学んでいたり、自ら学習したり。「外国人相手になんで日本語?」と日本人は思うかもしれないけれども、外国人にとってはその方がありがたい場合もあるんです。

日本人の会話にも通用する

広告の校正・校閲や編集を行う株式会社ダンクには、やさしい日本語の問い合わせがここ数か月増えているそうです。「やさしい日本語の考え方というのは、すべての日本人に通用する」と話すのは、やさしい日本語のプロジェクトに携わる森順一郎さんです。

株式会社ダンク 森順一郎さん

森順一郎さん

 やさしい日本語は、以前は民間企業に説明をしてもピンとこないこともありましたが、徐々に自治体やNHKが取り組みを始めたり、北海道の大きな地震でやさしい日本語でテロップが出たりして、「あー、ここまで来たんだな」と思いました。
 やさしい日本語のいいところは、「大切なことをストレートに伝える」ということなので、災害の時に生きると思いますし、本当に命を守るもの。言葉っていうのはインフラだと思っています。あと、やさしい日本語は難しい言い回し、まわりくどい言い回しをしないとか、要点を先に伝えるとか、ビジネスでも普段の生活シーンでも必要なことだと私は考えています。
 今、「多文化共生」と言われていますが、そこにはコミュニケーションが存在しないと、共生社会は生まれないと思います。今後、日本で増えていく海外の方は非英語圏の方です。改正入管法が出来て、ある程度勉強しなければ日本に来られない条件の中で、やさしい日本語はその人たちが勉強してきたレベルに合わせて書き換えていくので、我々の第二言語、彼らの第二言語の共通言語としてやさしい日本語を使ってコミュニケーション出来れば、多文化共生が可能になるのではないかと思います。

無理に外国語を使うよりも、一番理解している日本語をちょっと工夫して使ってみれば、案外理解してもらえるかもしれません。外国の人に話しかけられたら、やさしい日本語を使ってみてはどうでしょうか。

(担当:進藤誠人)

■取材協力
やさしいコミュニケーション協会
株式会社ダンク (やさしい日本語スペシャルサイト)

■あわせて読む
「いま日本で広がる「やさしい日本語」ってなに?」 (森本毅郎 スタンバイ!2019年10月17日放送)