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その歯周病、歯を抜かずに済むかも!?最新の「再生治療」を紹介

森本毅郎 スタンバイ!

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毎週月曜日は、医学ジャーナリスト松井宏夫さんの病気と医療のお話です。

松井宏夫

今日6月6 日(月)は「その歯周病、歯を抜かずに済むかも!?」。

歯を失う原因の1番は虫歯じゃなくて「歯周病」

6月4日からの1週間は「歯と口の健康週間」です。そこで今回は「歯周病」に注目します。日本人の8割は、歯周病とも言われているんですが、実は、歯を失う原因で一番多いのが、この「歯周病」で、虫歯よりも多いそうです。

しかも、歯周病は「全身病」とも言われていて、放置していると、どんどん悪化して、命にかかわる病気を引き起こす事もあります。例えば、「心筋梗塞・狭心症」「脳卒中」「糖尿病」「肺炎」「口腔ガン」など、歯周病を長く患うことで、これらの病気のリスクが高まります。

とても怖い歯周病ですが、現在では、その治療法はかなり進んでいて、今は、歯を抜かずに歯の周りを再生させる方法もありますので、今日はその再生治療を紹介します。

歯周病の怖いメカニズムは?どこまで行くと危ないのか?

歯周病は、歯周病菌が炎症を引き起こす感染症で、それは、歯の磨き残しがきっかけで発症します。歯の磨き方が甘いと、歯垢が出来てしまい、その中にある歯周病菌が活動を始めます。そして、歯と歯茎の境目で細菌が増殖し、炎症が起きる、というわけです。そして歯周病菌は、空気を嫌う性質があり、歯肉と歯の間を奥のほうへ、歯の面に沿って、奥へ奥へともぐりこんでいく病気です。

そんな「歯周病」は、炎症がどこまで進んでいるかによって、名前が違います。歯茎に炎症が起こる「歯肉炎」と、それが悪化し歯茎の骨まで破壊される「歯周炎」です。

「歯肉炎」の段階では、歯茎が赤く腫れて、歯磨きの際、出血などの症状があります。ただ、この段階では、歯を抜く必要はありません。歯医者さんに教えてもらい、正しい歯磨きを自分で行えば、自分で治すことが可能です。

これが「歯周炎」になると、歯と歯茎の間から膿が出るようになります。さらに歯がぐらつく、ものが歯の間に詰まる、歯の根っこの部分が見える状態になります。ただここまできても、痛くもかゆくも無いので、気づかない人が多く、もっと進行すると、歯を支える歯茎の骨までも破壊され、歯がポロッと抜け落ちてしまいます。この場合は、専門の治療が必要になってきます。

ただ、ここで1つ言いたいのが、「歯を抜くしかありません」と歯医者さんに言われても、ぜひ一度、ご自身の歯を残す可能性を探って欲しいのです。中には、患者さん自身の歯を残すことに力を注いでいないところもあります。

歯を残すための治療が進化。最新の再生医療は

治療に取り掛かる前に、まずは歯や歯茎の状態を調べ、歯周病かどうか検査します。検査で、歯と歯茎の隙間=歯周ポケットの深さが5ミリまでなら簡単な治療で済みます。歯周ポケットに長い間溜まった歯垢は、石のように硬くなって歯石になっているので、専用の器具で、取り除いていき、その後、歯の表面を滑らかに整えていく治療をしていきます。

しかし歯周ポケットが深い場合、歯茎を切り開く必要が出てきます。そこで、最もよく行われるのは、「フラップ手術」というものです。フラップ手術は、局所麻酔をかけ、歯茎を切り開いた上で、隠れている歯石をスケーラーで取り除いて、歯茎を閉じて、縫い合わせる方法です。ただ、歯を支える歯茎の骨などが一度破壊されてしまっている場合は、これだけの治療では万全とは言えません。そのまま放っておくと、歯肉だけは自然に再生してくるのですが、歯茎の骨や、その骨を包む膜など、歯周組織と呼ばれる、歯を支える大事な部分全てが回復するわけではないのです。そういうことから、つい最近までは、フラップ手術をしても、歯周組織が元通りにならないと判断すれば、 いっそ、歯を抜いてしまう、という判断もありました。ただ今では、フラップ手術と併せて行われる、「歯周組織再生治療」があります。

代表的な再生治療は「GTR法」と「エムドゲイン療法」

歯周組織の再生を促す治療の1つが、特殊な人工の膜を使う、「GTR法」というものです。壊れた歯茎の骨を人工のコラーゲン製の膜で覆って歯肉を元々の高さで縫い合わせます。「GTR法」、2008年に保険適用にもなっています。人工の膜は、自然に吸収され、半年後には、歯周組織が再生されます。

もう1つ再生治療として、エムドゲインという特殊な材料を患部に塗る「エムドゲイン療法」というものもあります。子どもの頃歯が生えるとき、あるタンパク質に誘導されて歯周組織が形作られるのですが、エムドゲインは、それと同じ働きをするタンパク質が主な成分となっています。その成分は、ブタの歯の生える根っこから抽出したものです。それを患部に塗ることで歯の生える環境を作り、概ね半年後に、歯周組織が再生されます。この治療法は元々スウェーデンで開発され、2000年から日本で治療が始まりましたが、まだ日が浅いので、保険適用になっていませんが、治療費は20万円ほどです。       

歯周組織再生治療を受けられない人もいるので注意

ここまでお話した、GTR法とエムドゲイン療法ですが、受けられない人もいます。歯周病が歯の根っこの部分にまで感染してしまっている人です。日本には、歯周病を専門にする歯医者さんが1000人以上いますので、ご自身の歯周病が、再生治療が受けられる程度かどうか、聞いてみてください。

専門医は、「日本歯周病学界」のサイトで検索できます。

要注意なのは、最近出てきたインプラント歯周炎!

また、最近は治療の方法が無い新しい歯周病というものが出てきて、問題になっています。それは、4年ほど前から出てきた「インプラント歯周炎」というものです。インプラントは、歯を失った場合に人工の歯を入れる治療ですが、その20%で歯周炎が起きているという調査があります。普通の歯周炎ではない、インプラント歯周炎については、治療法が現時点ではなく、患者さんが大変困っています。改めてですが、「GTR法」や「エムドゲイン法」など、今は歯の再生治療が進んでいることを知ってもらい、自分の歯は本当に残せないか、一度考えてほしいです。


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