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冒険家・角幡唯介さんから聞く”脱システム”の醍醐味

ACTION

8月23日(金)のゲストはノンフィクション作家・冒険家の角幡唯介さん。昨年、太陽が昇らない北極圏を冒険した記録『極夜行』を出された角幡さんから、冒険の醍醐味を伺います。

武田:昨年出された『新・冒険論』という本の中で、一つ大きなキーワードが「脱システム」という言葉だと思うのですが、これはどういった使い方をされるんですか?

角幡:探検って昔は誰も行ってないところに行くという意味だったんですが、それもそういう場所がなくなってきて。でも未知の場所に行きたい気持ちはあって。僕は書き手なので、地図の外側の場所ってなかなかないですが、それを抽象的に煮詰めたらと考えたら、それは地図というシステムの外側に行くということだと思って。システムの外側に行くことが冒険や探検の意味なのかなと。マニュアルとか決まったやり方があるところに行くのは冒険や探検ではないんじゃないかと、その本では論じました。

武田:新刊『極夜行』でもそうだし、これまでの冒険もそうですが、GPSは持ち込まないですよね。それを持ち込んじゃうと、本来未知だったものが未知じゃなくなる。本来脱システムだった場所もシステム化できてしまう装置がたくさんあって、角幡さんはそれを外すわけですよね。

角幡:この本を書く理由は、冒険の現代的な理論づけもあったんですが、社会へのメッセージもあるんです。いろいろシステム化していくと思考が縮こまっていったりすると思うんですよ。そこから外れていくことの問いかけもありますね。

武田:冒険が現代ではスポーツ化しているという言いかたもされています。メディアの伝えかたもあるかと思いますが。角幡さんは「挑戦という言葉が嫌い」と書いていらっしゃってましたが。スポーツ化というのは具体的にどういうイメージですか?

角幡:同じ場所に群がる傾向がありますよね。手軽なんですよね。あと先が読める。結果が分かる。システムの外側に行って、わけの分からないところに行くと、結果が読めないじゃないですか。それに対しての嫌悪感はあると思います。

角幡:目に見える、「こういう努力をしたら、こういう成果が手に入る」というのを追い求めがちだと思います。例えば、エベレストに500人ぐらいの行列で登頂を目指すとか。そういう状況になっているのは、努力に見合った対価が手に入ることに人がすごい群がる。安全も確保されて、危険だった場所も競技場化するので。

武田:テレビで伝えるとなると、「これはすごいチャレンジなんだ!」というものを映像で打ち出して、それと同時に「ここは絶対に安全です」ということを見せないと、それを放送することができないですよね。本来はイコールになるはずはないものなんだけど、今は両方が求められて。エベレストに何百人も登頂するというのは、すごいチャレンジだけど安全だということが確保されていないとできないですよね。でも、それを冒険や挑戦、チャレンジと呼ぶ状況は、角幡さんから見ると「それをそう言われると困るな」と思うのは想像つきますね。

武田:ご自身が冒険という取り組みをやって、ゆくゆくは本になることも考えてると思うんですが、窮地がくるタイミングってこっちでは管理できないじゃないですか。そうすると冒険の最中に、どれだけ全体像を把握して、旅をしているものなんですか?「よし、これ50ページ書けるぞ!」という状況ではないじゃないですか?(笑)

角幡:でも、そういう意識はあるんですよ。書き手である以上は。「こういう旅をしたらこういうことが書けるんじゃないか?」が前提なんですよ。そうすると現場でも、「今これが起きたら面白いのにな」と思っちゃうんですよね。一番最初に冒険の本を書いたとき、「行動者として不純じゃないのか?」と葛藤があって。でも、もうしょうがないかなと思って割り切ってますね。「また思っちゃってんな」って(笑)

武田:冒険をしながら「撮れ高足りないなぁ〜」って思ったりすることもあるんですね(笑)

角幡:あります、あります。これはどうしようもない(笑)あと、全体的に旅を管理したい自分もいるんです。イメージ通りの本が書けるわけなので。

武田:1から10まで角幡プランがあって、動く角幡はその1から10までそのまま行けるわけではなくて、ぶつかっていきますよね。

角幡:そうですね。でも1回だけイメージ通りのときがあって、それはね、自分にとってはあんまり本として面白くないですね。予定調和になっちゃって。

武田:スタンバイも動くのも自分だから面白いですよね。最初のスタンバイが明確じゃなかったら、文章として揺さぶりがない可能性もありますよね。最初がきっちりしているから面白いんだと思います。

角幡:現場での発見や思ってもみなかった方向にガァ〜っと行っちゃったときが醍醐味ですね。『極夜行』は自分の思った通りに全く行かなかったんですが(笑)、想像以上の発見はあったんです。書くときもその興奮があって。そのライブ感がよかったのだと思います。

文章の巧みさと性格のひねくれさに嫉妬し合う、角幡さんと武田さん。ゲストコーナー全編はradikoのタイムフリーで。

8月23日のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190823162245

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)