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「日本は社会的なカッコいい像が不明確」平野啓一郎と考える

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8月9日(金)のゲストは作家・平野啓一郎さん。新書『「カッコいい」とは何か』を出された平野さんから政治意識を持つことのカッコよさ、そして『表現の不自由展・その後』についての話を武田さんが伺います。

武田:この本で出た話で、欧米だと政治意識を持つということがカッコいいとされると。でも日本では反抗することがむしろカッコ悪いとされる。その辺りはどう思われてますか?

平野:反抗がカッコ悪いという話は若い世代から聞こえてくるし、カッコいいというのは価値をクリエイトしていくことが重要だから、文句言ってるだけっていうのはカッコ悪く見えるというのはあるかもですけど、社会全体を良くしようと思うなら上手くいっていないことを批判していかないと良くならないし。僕の原稿レベルでも、編集者との打ち合わせは問題点の話しかしてないので(笑)良いところはそっとしておけばいい。悪いところの話をしないとしょうがない。

平野:日本の場合、社会的なカッコいい像が不明確で。特にお金を持った人がどう振る舞うのがカッコいいのか。アメリカの場合、好き嫌いあるかもしれないけど、環境問題に関与するとかドンと寄付をするだとか。それが立派ということだけじゃなく、カッコよく見えるという文化を作ってきたと思うんですね。日本はお金持ちがどう振る舞えばカッコいいのかが曖昧だから、ズレたことになる場合もあるし。差別的な人を見てカッコいいと思う人もいるので、そうじゃなくて社会だとどうしたらカッコよくなるのかということを議論した方が良い世の中になるのではないかと思うんですけどね。

武田:平野さんの本の中で、「日本社会には風刺が足りない」と書かれてて、僕は風刺がメインの仕事みたいなものなので(笑)

平野:昔は新聞にも風刺画ってよく載ってたんですけどね。政治はカッコいい化しようとするから、「でも滑稽じゃない?」と言ってバランスを取ることが大事だとは思うんですけどね。

武田:固まった価値を後ろから突く行為に、真面目な顔をして「それやめて下さい」と言われることが増えてきちゃって(笑)でも風刺を浴びないと、お金を持った人がどう立ち振る舞えば良いか分からないですよね。

平野:シニシズムは僕もあんまり好きじゃないんですよ。人のやる気を削ぐような。そこの区別も付いてないんだろうなと思うんですよね。何やってもシニカルに笑われるのは嫌だけど、明らかにおかしいことをカッコよく見せてるのをちゃんと突くことは大事かなと思うんです。

武田:この1週間はあいちトリエンナーレの『表現の不自由展・その後』についてが騒がれましたが、平野さんはどう捉えられていますか?

平野:誰が何をしたのかを個別に話さないといけないと思います。官房長官の補助金の言及、市長のはっきりとした否定的コメント、多くの人の電話抗議、何人かの爆弾予告というのは、一つの答えではないので、個別で議論すべきかと思います。

平野:爆弾予告は犯罪なので悪いに決まってますが、市民の電話は想定されるべきだし。津田さんはよく知っている方ですが、「爆弾予告もあったし、電話応対にも疲れてしまって…」と記者会見で一緒くたで語ってしまったのは良くないなと思いました。電話応対で疲弊したのはあったと思いますが、当然それに対しての意見は色々あると思うので、それを上手く建設的な議論に落とし込む制度設計はもっとあった方が良かったと思います。

武田:「大変なことが5つあります。1個目が◯◯、2個目が◯◯」という見せ方をすればはあるかもしれないけど、それをメディアが5項目全部ちゃんと伝えられるかといえばそうでもないわけで、「何か大変なことになってます」ということになっちゃいますよね。

平野:今回は新作ではなくて、過去の展示を「何故展示できなくなったのか」という説明と共に見せるので、国民が表現の自由について考える非常に重要なきっかけだったと思うんです。「作品がけしからん」っていう意見は展示の仕方とはまた違う話なので。プラスで、歴史修正主義に対して国家はどういう態度を取るのかとか、名古屋市長による表現の自由の侵害行為などは分けて議論すべきだなと思います。

武田:今回の問題は、その作品ごとで作者が何を主張しているのかということよりも、「こういう風に俺は見えたんだ」ということの方が優先されているというのが危うい気がしていて…

『カッコいい』から考える社会の話。全編はradikoのタイムフリーで。

8月9日のGUEST ACTIONを聴くhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190809162725

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)