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百聞は一触にしかず!「ふれる博物館」▼人権TODAY(2019年7月6日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、日本点字図書館がプロデュースする「ふれる博物館」です。

新宿区高田馬場のビルの2階にある「ふれる博物館」( 路上に誘導ブロックあり)

点字や音声だけには伝えきれない「触覚情報」を提供

点字図書や録音図書の貸し出しを行っている社会福祉法人「日本点字図書館」が、点字や音声情報だけでは伝えきれない「触覚情報」を提供することを目的として作ったのが「ふれる博物館」(東京・新宿区)です。
設立の経緯について、館長の伊藤宣真(いとう・のぶざね)さんに伺いました。

「ふれる博物館」館長の伊藤宣真さん

盲教育で有名な大内進さんが「手と目で見る教材ライブラリー」というのを開いていて、関連する収蔵物をたくさん持っている。視覚障害者の方だけでなく、一般の方にも触ってもらおうという企画があり、「それ、やりましょう!」ということになって。昨年、平成30年の4月1日に正式オープンしました。

見える人の世界では「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、目の不自由な人の世界では「百聞は一触にしかず」という言葉があるそうです。触れることで、形だけでなくその背景にある社会的側面を捉えることができると言います。

さわれる、レリーフ状の『最後の晩餐』

まず、入ってすぐ展示されているのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』の石膏のレリーフです。レリーフは立体的に作られていて、もちろん触ることができます。

「最後の晩餐」のレリーフ

目の見える方であれば、どのような構図なのかすぐにイメージできる有名な作品です。目の見えない方、視力の弱い方でも、イエス・キリストが十字架に架けられる前の晩に弟子たちとともに食事をしているシーンを描いたことであるとか、絵にまつわる情報について、知識として知っている方も多いと思います。

でも、実際に、人物がどんな向きで描かれているのか、作品としてどのような手法が優れていて評価されているのか、実際に見ないと分からない部分が多いことは確かです。こういった部分も含めて、作品そのものだけでなく、作品の背景についても職員が付き添って展示物について説明してくれます。

私が伺った日も、視力が弱い女性が来館されていました。職員のガイドに従って、『最後の晩餐』のレリーフの天井部分や左右の柱の長さを触り、手前が小さく、奥に行くに従って広がっていく浮彫り部分を確認し、遠近法を体感していました。

企画展では他業種と積極的にコラボ

「ふれる博物館」では、視覚障害のある方が教材として使ってきたものを展示しているエリアが常設されています。また、この他、4か月間ほどの長めのスパンで企画展も行っています。

過去に行われた企画展『指で巡る東京観光』を紹介しますと…東京駅、国会議事堂、東京タワー、スカイツリー、雷門など東京の代表的な建築物の模型を指で触りながら巡るというものです。音声ガイドは、はとバスのガイドが担当していて、説明を聞きながら、建物に触れ、バス旅行をしている気分で東京観光ができるような工夫をしたのだそうです。

そして、現在行っている企画展が『ルイ・ブライユと、さわって学べる点字の世界』。いまから200年ほど前に点字を考案したルイ・ブライユの胸像や生家の模型、また、点字考案以前にどのような方法で文字情報を伝えようとしていたのか、それが分かる道具などを展示しています。

現在開催中の企画展「ルイ・ブライユと、さわって学べる点字の世界」

身の回りにある「触って識別できる製品」

私たちの身の回りにある製品の中にある点字や、似た製品と間違えないような工夫を紹介するコーナーもあります。

日常でも色んな所に点字表記があるのをご覧になることがあると思います。例えば、缶ビールのプルトップの傍に付いている点字は「お酒」と書いてあるんです。点字をご存じない方でも判るもので、業界で統一しているが「牛乳パックの切りかけ」です。紙パックの上部には切りかけがあります。牛乳以外の紙パック飲料には凹みがありません。

私たちの身の回りにある、触って識別できる製品

他にも、シャンプーの容器の側面には連続した突起物があります。リンスやコンディショナーの容器にはついていません。頭を洗うとき、誰しもが目を瞑りますよね。容器を触れば中身を間違えずに使えます。このような、身の回りにある「触って識別できる製品」の紹介なども行っています。

想像もつかないキャラクターの形を

なんとなくイメージしていたものを、より現実に近いものとして捉えてもらうために今後、どのような展示や企画を考えていきたいと思っているのか、館長の伊藤宣真さんはこのように話します。

キャラクターですね。目の見えない人には想像つかないですから。「ドラえもん」や「ピカチュウ」ってどんな形しているんだか分からないですよね。玩具業界に協力いただいてやってみたら面白いんじゃないかなと思いますし。
最近、博物館・美術館サイドも工夫しているんですよね。視覚障害者にどうやって説明しようか、どうやって理解してもらえるか。博物館・美術館・水族館所とコラボして、お持ちのものをお借りして展示してみるのも面白い試みかもしれません。

博物館・美術館でも、最近、一部、標本や展示物で触って体感できるコーナーを設けているところも多くなっています。このような体感コーナーがあると、距離を感じていた作品が一気に身近に感じられます。新しい視点、新しいアプローチで得られる知識というのは、障害のあるなしに関係なく、好奇心をくすぐる感覚があります。

 
日本点字図書館附属 池田輝子記念「ふれる博物館」
場 所:東京都新宿区高田馬場2-3-14 アイ・ブライト2階(路上に誘導ブロックあり)
開館日:水・金・土曜日(10時~16時)
入館料:無料
電 話:090-3247-7290(開館日のみ)/03-3209-0241(本館代表)
URL:https://www.nittento.or.jp/about/fureru/
※職員がガイドしますので、是非予約を取ってから来館ください

(取材報告:TBSラジオ・ディレクター 瀬尾崇信)