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楽器との対話に耳を傾けて~ チェリスト:宮田大さん

コシノジュンコ MASACA

2019年6月23日(日)放送
宮田大さん(part 2)
チェリスト。1986年、栃木県宇都宮市生まれ。9歳から出場する全てのコンクールで優勝。2009年の第9回ロストロポービッチ・チェロコンクールでは日本人として初優勝。以降、日本を代表する演奏家として国内外で活躍していらっしゃいます。

出水:弦楽器にはいろいろありますけれど、チェロはどういう位置づけなんですか?

宮田:チェロというのは、オーケストラになるとどちらかというと伴奏になるんですけれど、作曲家が必ずやるのが、曲の中で一番いいところにチェロを使う。なので、曲の一番泣かせどころ!というところでチェロが出てくることが多いです。やはり人間の声に似ていると言われるので、語りかけるというか……。

JK:一番表現しやすいってことですか?

宮田:だと思いますね。自分の中でもチェロを通すと、どう楽しかったのか、どう哀しいのか、形容的な言葉が出てくる。自分が本当にチェロと対話しているところをお客さんにいただけたらな、と思います。

JK:だからチェリスト1人で全部できるんですね。深いですね~。でもすごくかさばるっていうか……あれいつも自分で持ち歩いてるんでしょう?? 一心同体、肌身離さず。

宮田:そうなんですよ(;´∀`) もしかしたら成人女性と同じぐらいの大きさにはなるのかなぁ。飛行機に乗るときも隣の席の分も買っている感じです。

JK:もう1席取らなきゃいけないの? そりゃそうよね、渡せないもん。人間扱い(笑)お友達みたい。

宮田:駅の改札とかもギリギリ通れるぐらいのサイズなんです。だからいつも詰まりながら抜けていくという……。

出水:満員電車とかドキッとしますよね!

宮田:満員電車になると、時間をずらして乗らなきゃいけなかったり。本当に申し訳ない顔をしながら……顔だけですけど(笑)

JK:でもコントラバスよりはまだいいわね! あれって大変よ、車乗るのも大変!

出水:バイオリンを選ぶ方、チェロやコントラバスを選ぶ方、それぞれ性格が違ったりするんですか?

宮田:そうですね、バイオリンだとメロディをよく演奏することが多いので、どっちかっていうと自分をしっかり持っている人が多いですかね。チェロはどっちかっていうと大型の人が多くて、ちょっとのほほ~んとかほわ~んとしている人が多いです。コントラバスだと、幹事役とか。仕切る役柄の人が多いです(^^)

JK:いろんな人がいるわね! オーケストラの中にもいろんな性格の人がいるわね。

出水:宮田さんが使ってるチェロも、文化財級の貴重なものなんですよね!

JK:もう財産! お金で買えないわよ。だって350年前のでしょう?

宮田:そうですね!1698年にストラディヴァリウスが作ったシャモニーという楽器と、1710年にゴフリラが作った楽器なんですけど。

JK:ちょっとリアルな話になるんだけど・・・いくらで買ったのよ?

宮田:いやぁ・・・ねぇ(^^;) 自分はお借りしてるものなんですけど、30年ぐらい前にストラディヴァリスを買われた方にお伺いしたところでは、だいたい2億円ぐらい。

出水:おお!! (;゚Д゚)

JK:まだ安いほうじゃない? 6億とかいう人いますもんね。時代によってかしら?

宮田:そうですね、30年前の話なので、いまは10倍になってると思います。本当に歩きスマホとかできなくなりますね(^^;)

出水:2つの楽器はどのように使い分けているんですか?

宮田:先にストラディヴァリウスをお借りしていたので、それを使ったりしていますが、家でゴフリラを引いたりすると、重戦車のような感じがしますね。「チェロといえばゴフリラ」と言われているぐらいなんです。ストラディヴァリウスだと、チェロは50丁しか現存していないんです。だから値段も高騰しているという。

JK:そのうちのひとつなの?! 世界中を相手にたった50個って! 少ないわね!

出水:最初に弾いたときの音色の衝撃は覚えてます?

宮田:ヘルツ周というか、周波数が全然違うんです。包み込まれるというか……お風呂に入った時にじんわり温かくなると思うんですけど、そういう纏わりつくというような感じ、とおっしゃる方が多いですね。

JK:全身でふわぁ~っと包み込むのね

宮田:だから不思議と、オーケストラの中でもストラディヴァリウスの音はすんっ!と突き抜けて聞こえる。不思議な楽器だなと思いますね。

出水:楽器が自分の身体になじむまでどのぐらい時間がかかるんですか?

宮田:そうですね、いま6年ぐらい使わせていただいているんですけど、やっと相棒になってきた感じがします。やっぱりいい楽器だと、どうにかこの楽器を制覇しようと思うとよくなくなっちゃうんです。モデルさんもそうだと思うんですけど、やっぱり服が一番。服を全面に出さなきゃいけないというのと同じだと思うんですけど、楽器の良さを出すためにはまず友達になって、楽器の良さを引き出さないとな、と思います。

JK:気負わないほうがいいのね。

宮田:パリのロストロポービッチ国際チェロコンクールで優勝させていただいたときに、友人がパリでパティシエをしているんですけど、オペラというチョコレートケーキを食べたときに、押しつけがましくなかったんですよ。食べた人の感覚に寄り添ってあげる、という味がして。「ザ・チョコレート」という感じがあまりしなくて、自分もそういう音楽家になりたいなと思いました。

JK:いま急に思い出した。指揮者でチョン・ミョンフンさんと「蝶々夫人」を一緒にやったんですけど、その時みなさんにオリーブオイルを本当に持ってきて、「このように滑らかに弾いて」って言ったんです。言葉じゃなくて。

宮田:でも、それはとても名言だと思います!
JK:宮田さん、今までの経験の中でマサカ!と思った経験は?……まだ若いのに何なんだけど(^^)

宮田:たとえばハプニングということであれば、イタリアで演奏会があったんですけど、チェロって椅子に座って練習をしなくてはならないんですけど、舞台に出て行ったら椅子に車輪がついていたんです。回転椅子ですね。だから本当に踏ん張れなくて、ずるずるしたり(^^;)その会場が野外だったんですけど、舞台が斜めっている会場で、常に踏ん張っていなきゃいけなかったという(苦笑)

JK:前に落ちないように、なんか滑り止めとか?

宮田:それもなかったんです(笑)ピアノの方も傾いていましたし(笑)でもそのぐらい、海外では演奏を聴くのが身近にあるのかな、と思うんですけど。日本がとても幸せすぎるというか。

JK:海外なんかだと、チェロを部屋で練習しててもお隣の人は怒らないでしょう?

宮田:怒らないと思いますね。逆に聞かせてくれてありがとうって言われると思います。

出水:宮田さんの演奏なら、ずっと流れててほしいですよね!

宮田:日本は家が木でできていることが多いんですけど、海外は石でできていることが多いので、ホールじゃなくても音が響いて良かったりします。

出水:コンクートの前日は1日何時間ぐらい練習するものなんですか?

宮田:そうですね、あの時は1日8時間ぐらい練習してましたね。握力がなくなりました。今はせめて1~2時間しかできなくなりました。その時は体力があったなーと思います。やっぱり自分の持ち曲になっていない状況なので、不安なんですよね。でも今は2時間ぐらい練習するというのは、経験があったりすると、自分の頭の中にジュークボックスのように引き出しができて、「今日はこういう風な音色を出してみたいな」とか「こういう雰囲気にしたいな」と思ったことができているかを確認する。そういう感じですね。

JK:コラボって言うとだいたいピアノですか?

宮田:そうです。ピアノの人とも音楽で対話しなくてはいけない。自分が練習してきた成果をやります、ってなるとどうしても発表会になってしまうんです。発表会と演奏会は全然違うので。演奏会ではその時に自分が思ったことを、言葉にせずに音で表現するということをしています。

出水:ロマンチックな作業ですね~(*^^*) ちなみに好きなチェリストっていますか?

宮田:やはり自分がずっと習っていた先生方が好きなのかな。尊敬してもいますし。まずは倉田澄子先生に習いまして、そのあとドイツのアカデミーでフランス・ヘルメルソンに習って……でもまぁ、本当にいろんなチェリストがいるんですよね! チェロって個性が出るんですけど、みんな持ってるものが違うので全員音が違うし。ロストロポービッチの演奏も今ではYouTubeで聞けたりするので、それを聞きながら練習したりとかはあります。間の取り方とか独特ですからね。ロストロポービッチさんみたいになりたいな、と思って聞くと言うよりは、その人のいいいとこ取りをしていきたいなと思います。

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iPS細胞研究基金チャリティコンサート

日時:2019年9月3日(火) 18:20開場 19:00開演
会場:サントリーホール
出演:横山幸雄(ピアノ) 川井郁子(ヴァイオリン) 宮田 大(チェロ) 濱 一(指揮)KODAMA国際教育財団記念オーケストラ
スピーチ:山中伸弥
料金: 全席指定¥10,000(未就学児童入場不可)
お問合わせ:ジャパン・アーツぴあ 0570-00-1212

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JK:山中先生はiPS細胞基金のために、本人はマラソンで稼ぐっていってるけど、研究費とかすごくお金がかかるんですって。だから私たちができることって、音楽で集まって、売上金を寄付するというのが一番シンプルでいいかな、と思って。

宮田:そうですね、音楽で手助けができれば

JK:ピアニストの横山幸雄さんもこの番組に出ていただいて。横山さんとご一緒にご出演してくださるんですよね。

宮田:そうなんですよね。この時はベートーベンのピアノソナタ第3番、チェロ奏者にとっては大切にしている有名な曲なんですけど、これをサントリーホールで演奏します。舞台が広いので、ポツンという感じになるかもしれませんが(^^;)そこで皆さんにチェロの魅力を伝えられたらなと思います。

JK:いや、ポツンでいいんですよ! 集中的にみられるから。余計なものはいらないと思います。

出水:お二人ともお忙しいですけれど、リハーサルってどんな感じですか?

宮田:直前にたくさん練習時間をっ儲けさせてもらって! 幸雄さんも大変お忙しい方なので(^^)でもピアニストにとってはベートーベンって曲数もたくさんありますし、横山さんも慣れてらっしゃると思うので、横山さんからいただいた気持ちや音楽性も表現できたらなと。当日ならではのセッションが生まれたらいいなと思います。

出水:お忙しいと思うんですが、オフのときは何をしていらっしゃるんですか?

宮田:いまはスキューバダイビングを主流に(笑)先日は沖縄のほうに行かせていただいたり、近くだと伊豆だったり。やはり普段から音楽を聴いていると、音があふれたりしていて、絶対音感だからいろんな音が聞こえているわけではないんですけど、水中に潜ると無音の時間というか。

JK:水中の中ではなにか音を感じるんですか?

宮田:本当に自分の息をしている音しか聞こえないですし、色彩感というのが「青」だけでは表せないというか。何かの色に何かが混ざっているような、レンブラントように上からさーっと光がさしてくるようなのを見ていると、自分の音楽に対してひとつの経験になるかなと思います。何もかも忘れられて、地球に生きているという感じがしますね。

=OA楽曲=

M1. サンサーンス「白鳥」 / 宮田大

「コシノジュンコ MASACA」
TBSラジオで、毎週日曜17:00-17:30放送中です。ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。