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刀剣ブームの影に「とうらぶ」アリ!日本のゲームやマンガの威力に注目

森本毅郎 スタンバイ!

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忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」
(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)
8時からは、話題のアンテナ「日本全国8時です」
全国ネットで、日替わりゲストとともに放送。
毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男さんの「賢くなれる雑学コラム」!

月尾嘉男

今日5月19日(木)は「ゲーム・漫画の威力」

国内で刀剣ブーム

現在、国内で刀剣ブームが起きています。例えば、東京の八王子にある「東京富士美術館」では「ザ・刀剣 千年の匠の技と美」という展覧会を開いています(2016年3月29日~7月3日)。宮本武蔵が所持していたと伝えられる「名物武蔵正宗」やNHK大河ドラマ「真田丸」の主人公・真田幸村が徳川家康に祟りをもたらすために所持していたという伝説のある「妖刀村正」などをはじめ、30点以上の名刀が展示されているうえ、かなりの刀が初公開であるため、通常の1.5倍から2倍の観客が来場しているそうです。

「ザ・刀剣 千年の匠の技と美」東京富士美術館公式HPから

「ザ・刀剣 千年の匠の技と美」東京富士美術館公式HPから

またつい先頃、京都国立博物館が所蔵していた刀が坂本龍馬が京都の近江屋で暗殺されたとき床の間に置いていた「陸奥守吉行」であることが明らかになり、今年秋(2016年10月15日)から京都国立博物館で開かれる特別展覧会「没後150年 坂本龍馬」で公開されるほか、同年12月から長崎歴史博物館、江戸東京博物館(2017年4月)、静岡市美術館(同7月)で展示されます。

「没後150年 坂本竜馬」京都国立博物館HPから

「没後150年 坂本竜馬」京都国立博物館公式HPから

さらに刀剣を常設展示している博物館も急速に入館者が増えているそうです。東京都渋谷区の「刀剣博物館」では国宝や重要文化財の日本刀が多数展示されていますし、東京・上野にある「東京国立博物館」には、日本刀を定期的に入れ替えて常設展示している部屋があります。いずれも最近になり、入館者が増えているそうです。

刀剣女子が後押し

この刀剣ブームの後押しをしているのが「刀剣女子」と呼ばれる比較的若い女性で、その女性たちを目覚めさせたのが去年から大流行しているコンピュータゲーム「刀剣乱舞オンライン(通称とうらぶ)」です。これは名刀を擬人化した「刀剣男子」を育成強化して戦わせるゲームで、例えば、室町時代より名刀といわれる国宝「三日月宗近」は美男の剣士に変貌して活躍するという具合です。

これが「刀剣乱舞」公式HP。DMMのこのサイトのほか、スマホでも楽しめます

これが「刀剣乱舞」公式HP。DMMのこのサイトのほか、スマホでも楽しめます

今年(2016年)2月にはユーザーが100万人を突破し、3月にはスマートフォン版も登場している程の人気です。さらに5月前半には東京で演劇として上演され、大阪でも上演され、秋には「刀剣乱舞」というミュージカルにもなりますし、来年(2017年)にはアニメーションがテレビジョン番組にもなるという熱狂ぶりです。

刀剣女子の威力を証明する例が「日刊スポーツ」に紹介されています。「映画 日本刀~刀剣の世界」というドキュメンタリー映画(2016年5月、東京で公開)がありますが、制作費700万円以外に、全国各地での上映や海外映画祭への出品費用などとして200万円をインターネットで募金するクラウドファウンディングで調達したところ、わずか6日間で目標を達成し、さらに広告費の支援として募金を続けたところ、5月9日の締切までにおよそ410万円に到達しました。ここに出資をした395人の約85%が18歳から35歳の女性だったそうです。

ゲームや漫画の波及力

このように最近の流行はゲームや漫画が起爆剤になる例が増えてきました。鉄道マニアの女性は「鉄子」と呼ばれますが、この活躍に影響を及ぼしたのは2002年から2006年まで「週刊ビッグコミックスピリッツ増刊IKKI」などに連載された「鉄子の旅」というノンフィクション漫画と、その続編の「新・鉄子の旅」「鉄子の旅3代目」でした。

また、ほとんど男性の仕事と考えられていた土木現場で仕事をする「土木女子」の増加を応援したのは、2011年から発行された「ドボジョ!」という漫画でした。

ゲームや漫画は一般の書籍に比べて低級で子供相手と思われがちですが、発行部数を比較すれば圧倒的多数で、影響力は絶大なのです。書籍のベストセラーは世界全体では1859年に出版されたチャールズ・ディケンズの「二都物語」が2億冊、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」が1億冊、日本では太宰治の「人間失格」が1200万冊、村上春樹の「ノルウェイの森」が1200万冊で最大です。

ところが日本の漫画は「ワンピース」が3億2000万部、「ゴルゴ13」が2億部、「ドラゴンボール」が1億5700万部と桁違いです。ゲームでも世界全体では「Wiiスポーツ」が8300万本、「スーパーマリオブラザーズ」は4000万本、「テトリス」が3500万本、「ポケットモンスター」が3200万本などですし、国内だけでも「ポケットモンスター」が3000万本、「スーパーマリオブラザーズ」が1300万本、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が900万本。社会への影響力を考えれば、書物よりは漫画やゲームの方が巨大ということになります。

若者がマルクスの「資本論」や日本の「古事記」を漫画で読む時代を嘆く大人も少なくありませんが、日本が得意とするこのようなポップカルチャーを若者の娯楽としてだけではなく、社会を動かす力として世界に普及させることは重要な日本の戦略ではないかと思います。


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