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答えを当てる「やり方」ばかりの数学教育はもう通用しない! 芳沢光雄さん(桜美林大学教授)

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
4月20日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、数学者で桜美林大学教授の芳沢光雄さんをお迎えしました。苦手な数学の話ということで久米さんは内心怯えていたのですが、芳沢さんの熱血トークで不安は一気に吹き飛ばされました。

芳沢光雄さん

芳沢光雄さんは1953年、東京都生まれ。桜美林大学の教授。いまは数学教育に大変な情熱を注いでいるのですが、学習院大学から大学の教員になった頃は数学の研究に専念しようと考えていました。それが1990年代になっていわゆる「ゆとり教育」が推進され、「数学で小難しい理屈を教わっても社会では役に立たない」、「文系に数学は必要ない」といった風潮が広がると、これに猛然と反旗を翻し、数学を学ぶことの面白さや大切さを世の中に訴えるようになりました。全国の小中高校の出前授業や数学の教員の研修会で訪れた先はのべ400ヵ所以上。数学が苦手な人に向けた本も数多く執筆しています。お菓子の「サイコロキャラメル」が2016年に一度販売中止になったときには「子どもたちの数学教育にこんなに最適なお菓子を絶対なくしちゃいかん!」と涙を流してメーカーに訴えたほど、熱い思いを持っています。

久米宏さん

「芳沢さんは普通の数学者とはタイプが違いますよね? 苗字は「芳沢」ですけど、「古今亭」とか「一龍斎」のほうが似合いそうな感じで(笑)」(久米さん)

「それは久米さんを師匠ととして話し方を学んできた効果もあるんですよ」(芳沢さん)

実は芳沢さん、高校生のときにTBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」で久米さんの金曜2部(1部のナチチャコパックのあとでした)を聞いて、この人の話し方はほかとは違う! とラジオに釘付けになったそうです。久米さんの「パック」は1970年の4月からたった5回しかやっていないので、それを聞いていたとはかなりの激レアさんです。

スタジオ風景

「久米さんの話し方を聞いて『これだ!』と思ったというのは、数学の先生の話し方は訳のわからないお経をずーっと聞くようで、面白くないでしょ。ところが国語の先生はここだというところで吸い込むような話し方ができるんです。数学の先生は全然だめなんです。教科書の棒読みでまったく単調」(芳沢さん)

「つまり先生の教え方が子供たちを数学ぎらい・算数ぎらいにさせている可能性があるということですね」(久米さん)

「まったくそうなんです。教科書だってそうです。例えば『340×6=2040』という式を、算数の教科書では『340円のお弁当を花子さんに6個買ってきてもらいます。いくら持っていけばいいですか?』って学ばせるんです。何でも花子と太郎なんです。これを面白いと思う人がいますか?!」(芳沢さん)

「ハハハ」(久米さん・堀井さん)

「同じ式でも例えば…。音は1秒間に340メートル進むんです。雷がピカッと光ってから6秒後にドカンと鳴った。そうするとこれも『340×6=2040』と同じ式で、2040メートル先に雷が落ちたということになるんです。花火でも同じです。同じ式でもそういことを交えて話せば、子供たちも興味を持つわけです。やっぱり興味を持つような話をしなきゃだめです」(芳沢さん)

芳沢さんは、今の日本人(子供から大人まで)の数学離れは深刻な状況になっていると言います。「分数の計算ができない大学生」の実態が紹介され世間を驚かせたのが20年前。いまは「%(パーセント。比率)が分からない大学生」がたくさんいるそうです。芳沢さんは「子供たちは少しも悪くない。悪いのは日本の数学教育なんです」と怒っています。

書籍

「芳沢さんの本(『「%」が分からない大学生~日本の数学教育の致命的欠陥』)を読んで衝撃を受けたんですけど、いまの日本人って相当、数学がだめなんですね」(久米さん)

「今は何でも『やり方』ばっかり教えているんです。やり方を憶えて速く答えを出せばいいという、答えの当て方なんです。だからクイズ番組みたいになっちゃってる。やり方を忘れると何も分からなくなるんです。だから、なんでそうなるのかが説明できないんです。消費税8%込みの代金を求めるときになんで定価を1.08倍するのか説明して下さいと言っても、できない。要するにいまの数学は、すべて『やり方』を暗記するだけの科目に成り下がっているんです」(芳沢さん)。

数学というのは、一つひとつプロセスを積み重ねていくことなんだと芳沢さんは力説します。センター試験のマークシート方式では正しいプロセスを踏んで答えに行き着いたのか、それとも「たまたま当たった」のか、まったく分かりません。最近、試験を記述式にしようという動きが広がってきましたが、記述式にすると生徒の成績は非常に悪くなります。マスコミは数学の学力低下を嘆いてみたり、記述式はやはり難しすぎるのではないかと指摘します。ところが芳沢さんは…

スタジオ風景

「数学の記述式の成績が極端に悪いのは当たり前なんですよ。子供たちはいままでみんな『やり方』、答えの『当て方』ばっかり学んできたんですから。自分の言葉で説明するためにいちばん大事なものを学んでいないわけです。どうしてこういう現場のことも分からない人が摩訶不思議な、難しすぎる問題を作るのかと思っています」(芳沢さん)

記述式の問題は、先ほど出てきた「消費税率8%込みの代金」と「定価×1.08」のつながりを説明させる文章を書かせるぐらいで十分。あるいは簡単な地図を示してA地点からB地点までの行き方を誰にでも間違いなく伝わるように文章で説明させるという問題もいいと芳沢さんは言います。

公式や解き方を憶えて素早く計算して答えを当てることが数学なのではない。数学は「自分で試行錯誤すること」であり、そうやって理解したことを「自分の言葉で説明すること」。そういう作業を大事にすることは、諦めない心を育てます。そして自分のやってきたことに自信を与えてもくれます。それが本当の数学力なのです。

芳沢光雄さんのご感想

芳沢光雄さん

「パックインミュージック」の時代から50年間憧れの久米さん対談できて、本当に光栄に思います。ただ、私自身あんまり感激してしまって、途中からラジオでしゃべっているということが頭から抜けちゃって、しゃべりたいことをしゃべってしまって、これでよかたのかなという不安があります(笑)。でも、これでみなさんに楽しく聞いていただけたなら、私は幸せです。

ああ、本当に面白かった! ありがとうございました。

「今週のスポットライト」ゲスト:芳沢光雄さん(数学者・桜美林大学教授)を聴く

次回のゲストは、ステンドグラス職人・加藤眞理さん


4月27日の「今週のスポットライト」には、ステンドグラス職人の加藤眞理(まこと)さんをお迎えします。加藤さんはこれまでに
修道院、病院、ホテルなど数多くのステンドグラスを製作・修復し、国内最大級の作品も手がけています。40年前、アメリカ大陸放浪の旅で出会った老画家に勧められてこの道に入ったというユニークな経歴をお持ちの方です。

2019年4月27日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190427140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)