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武田砂鉄×宇垣美里「女性に嫌われる」カテゴリーを作ってるのは多分男性

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4月19日、ライターの武田砂鉄さんがパーソナリティの金曜日。ゲストは、フォトエッセイ『風をたべる』を出した、元TBSアナウンサー・宇垣美里さん!

武田:反骨精神が通底しているなと思って。文章を書くことは自己分析にも繋がると思うんですが、反骨精神の在りかというのはどこにあると自分で分析しますか?

宇垣:生まれたときからなんですが、「ここではないどこかへ」とか、決められた「こうしろ、ああしろ」に対しては「絶対に抗ってやる」という気持ちがずっとあったので。息をするようにあったので、何故かというのが出てこないんですよね。

武田:「ここではないどこかへ」ってことは、ここに対する苛立ちがあるわけですよね?

宇垣:そうですね、田舎出身ってこともあるので。出身は神戸なんですけど、その中でも本当にのどかな、西の端の海が近くて、魚が美味しくて、台風が来ると網戸が潮っぽくなるような場所で育ちましたので。狭かったんでしょうね、自分にとっては。当たり前にここで過ごしていくことが幸せと思っている友人たちに、どこか苛立ちを感じたり、もっと遠くへ行きたい、もっといろんなものが見たいという気持ちが、小さい頃からあったと思います。

武田:その気持ちを隠しながら友達たちと接していたのか、露骨に見せて距離を取っていたのか、上手いことやってたのですか?

宇垣:中学生のときには「ここじゃダメだ」と思って。公立でいろんな人がいた学校だったので、その中で似たように「もっと勉強して別のところに行かなきゃダメだ」と思う友人はいたので、その子たちと何を言われようが一番最前の席をゲットして授業を聞くという感じでしたね。

武田:“ここじゃダメ連合”というか、「ここじゃダメだ」と思ってる友人がいたということですね。それは良かったですよね。「ここじゃダメだ」と思って孤立してたらターゲットにされますもんね。
宇垣:ターゲットにされても跳ね退けるタイプだったので、されてたのかもしれないですが全然気づかずで。

武田:無自覚だったみたいな。それが一番タチが悪いですよね(笑)イジメる側も当然良くないですが、イジメ甲斐みたいなことを考えるじゃないですか。イジメ甲斐がないっていうのはすごいですよね。

武田:昔から『QuickJapan』の連載はずっと読んでいて。怒りを文章にそのまま注入しているのがすごいなと思ってね。
宇垣:ありがとうございます。

武田:一番新しい号の『拝啓、貴方様』という連載で、「親友」というタイトルで、「はっきり言います。私、あなたの好きな人、大嫌い!マジでぶん殴りたいなと思います」って(笑)「マジでぶん殴りたいなと思います」っていう言葉をエッセイに直接的に書くってすごく技術のいることだし、パワフルな試みだなと思うのですが。文章で感情を書き出すというのは、昔からやっていたのですか?

宇垣:例えば気が強かったり、プライドが高かったり、ちょっと素直になれない自分がいて。それを直接会ってだと「いいもん、別に」と言っちゃうことを、文章だと本当に素直な気持ちで伝えらることが実際多くて。何度も何度も書き直して、推敲して送ることが多いですから、より自分の気持ちに近かったりとか、嘘をついてないことが多いと思うので、より感情に近いところだったり、ナーバスな部分については文章化しようと思っています。

幸坂:エッセイの中にも「マイナスの感情を書いて供養する」と書いてありました。
宇垣:あれは完全にお焚き上げですね~(笑)書いてると途中で馬鹿馬鹿しくなるというか。あと簡単にコンテンツになるので「めちゃくちゃ面白い!」となりますね。

武田:あ~、外部装置化するというか。自分の怒りを外に置いて、客観的に見たら「これ、面白いんじゃないか」となって、面白かったらお焚き上げをして終わらせようと。
宇垣:それか、完全に笑い話にして友達に伝えたりとか。

武田:そっか。僕なんかはいつもイライラしているので、怒りの感情をずっと根に持ってるんですよね。「中1のあのときの話だけどさ…」と同級生に話すと、まぁ同級生みんな忘れてるじゃないですか。だけどこっちは持ち出せるんですよね。ただそれで得をしたことがないので、外部装置化かぁ。

宇垣:鉄板の持ちネタになれば楽かなと思うんですけどね。なかなか鎮まらないですからね。

武田:中1のときにサッカー部だったんですけど、杉山君という人が、中1でスタメンだったんですね。控えのメンバーがグラウンドの脇でランニングとかしてたんですね。そこで杉山君が「おい、中1こっち来いよ!」って言ったんですよ(笑)「杉山、お前も中1だろ!」って。その苛立ちが20年来あります(笑)
幸坂:その一言がですか?(笑)すごい根に持ってるなぁ!

武田:これまでは自分の感情をメモ書きにするとか、誰か特定の人に手紙を出すとかみたいな形だったと思うんですけど、今回公に皆が見るわけじゃないですか?そのときの感情の表し方は、手紙とは違ってきますか?

宇垣:もちろん違いますし、それが全て本当のことと思って欲しくないし、ちょっとずつ脚色はありますし、本当のことも本当じゃないことも、嘘ももちろん書いてますので。真っ直ぐ自分のことばかりというわけではないのですが、それも含めて読み物として楽しんで頂けたらと思います。

武田:こういったエッセイって「本当なの?嘘なの?どっちなの?」と聞く人がいるんだけど、まぁどっちでもあるというか。全くの嘘ってことでもないんだけど、本当と嘘で単純化した方が、読む側は楽なんだろうね。でもとりわけアナウンサーという職業だと、そのまま受け取られやすいということですよね。別に本に限らず、自分の発言の一部分が切り取られて、それが燃え広がるということってたくさんあったと思うんですが。大変だなと思っちゃいます。

宇垣:自分って相対的なものだと思っているので、切り取られた一言やニュアンスで、私をそう思う人は、「この人にとっての私はそう思うんだな」と。まぁ、それだけっちゃあそれだけですね。

武田:幸坂さんはどう思いますか?アナウンサーというか、外に出る仕事をしてみると、○だけではなく×と言われることも多いじゃないですか。
幸坂:理想のアナウンサー像というのがそれぞれの人の中にあるので、そこから外れると「お前、アナウンサーなのに!」と言われてきたので、宇垣さんの本を読んで「言ってくれてありがとう」と思いました。型にはまるのが正解じゃないと私も思うので、嬉しいなと思いながら読んでました。

宇垣:たまたま私は、言うことも、叩かれることも苦ではないので、言える人が良いんじゃないかと思うので、それでちょっとでも楽になれる人が良いなと。副産物として。

宇垣:私、ネットで「女性に嫌われる」と書かれるんですけど、本当に嫌われたことそんなになくて。どちらかと言うと男性の方が面倒臭い思いをさせられます(笑)
武田:「女性に嫌われる」というカテゴリーを作ってるの、多分男性でしょ?記事を書いたり、調査をしているのは。
宇垣:そうです。分かってないなあと思うんですが。
武田:それって矛盾してて、「宇垣ってのは女性に嫌われてるらしいぞ」って話をするのはおじさんっていうね。

武田:エッセイを読むと、言葉一つ一つに面倒臭さが(笑)僕も面倒臭い人ですから分かるんですが。「あざとい」という言葉を人から吹っ掛けられて、わざわざ「『広辞苑』によると…」と。僕もよくやる手で。「実は“あざとい”というのは『広辞苑』でこう書かれています」と。「押しが強くて、やり方が露骨で、抜け目がない」と。「このニュアンスは悪口らしいけど、冷静に考えてみると、みんなによく思われたい、好かれたいというのは願望に忠実なわけで、それは良いことなんじゃないか?」ということをわざわざ書くわけですよね(笑)この、いちいち面倒臭いというのが大事。次に適当なことを言えなくなるから。

宇垣:相手は面倒臭いと思いますけどね(笑)
武田:まぁ、面倒臭い者になったもん勝ちだと思いますけどね。「あいつは面倒臭いよ」となると、ちょっとした天気の話とかされなくなりますから(笑)

宇垣:でも、相手が軽率に言葉を使わなくなるので良いですね。「女の子だもんね」と言われなくなる。

武田:さっきリスナーの方から「上司から、女性らしくあれ」と言われるというメールが来たのですが、それも宇垣さんの前だったら「女性らしくって何ですか?説明してください」となりますもんね。
宇垣:そうですね。女性らしい格好するのは大好きなんですが、「お前に強要されることじゃねえ」って(笑)
幸坂:アハハハッ!
武田:それが一番重要なこと(笑)要請する側がそこがイコールになっちゃうのは不思議ですね。

幸坂:私は真似したくても出来ないですからね。宇垣さん、ロックだなと思いますね。

武田:編集者はすぐ小説を依頼してきますから。もし「小説を」と言われたらどうですか?
宇垣:おこがましいですけど、書くことは好きなので、いろんな書き方が出来たらいいなと思っています。言語表現も好きだし、何か思った事象を言語化するのが好きで、パズルを当てはめるように。その一つの形として小説があるのなら、それを出すかは分からないけど、技術は体得したいですね。

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GUEST ACTION 宇垣美里http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190419162730

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