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絵本の読み聞かせで教える命の大切さ

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・絵本の読み聞かせで教える命の大切さ

3月は国の自殺対策強化月間です。
去年1年間に自殺した人の数は、およそ2万4000人。月別でみると、新年度を前にしたこの3月が最も多いんですね。ということで、今回は自殺問題に関連して「絵本の読み聞かせで命の大切さを教える取り組み」を紹介します。

画家で絵本作家の夢ら丘実果(むらおか・みか)さんは、2007年に自殺予防の専門家らと作った絵本『カーくんと森のなかまたち』を出版しました。
内容は、生きる自信をなくしたホシガラスのカーくんが、仲間の鳥たちに励まされて、自分も必要とされているんだと気付くというストーリーです。

夢ら丘さんは、教育委員会などからの依頼を受けて、全国の小中学校や幼稚園でこれまでに400回以上、読み聞かせの授業をしてきました。その読み聞かせが、自殺の予防にどんな効果があるのかを聞きました。

夢ら丘実果さん
「1970年代から欧米やニュージーランドなどでは、心の健康のための 教育を絵本やビデオを使って行っていこうという動きがありまして幼い頃から繰り返しそういった教材を使って教育をしているんです。絵本の読み聞かせの効果というのは、脳科学者の泰羅雅登教授も『読み手と聞き手の信頼関係を作って心の脳に働きかけて効果を生む』ということを証明しているんですね。教師が理屈で『いじめはいけない、自殺はいけない』と言っても説教されてるような気持ちになって、子供はなかなか心を動かさないっていうことなんですが、絵本ってやっぱり暖かくて、視覚と聴覚に訴えて働きかける、そういった効果があって、子供の頃の暖かい気持ちになるようですね」

絵本の読み聞かせによって心がほぐれた子供たちが、自分の悩んでいることを話すようになったそうで、不登校がゼロになったり、いじめが減った学校もあるということです。その読み聞かせの授業の子供たちの感想を紹介してもらいました。

「中1の女の子は、勉強も運動も苦手で一人ぼっちでいることが多くて何度も自分はダメだと思って、一人で抱え込みすぎて死のうと考えたそうなんですけども『この本に出会えてまだやりたいことがたくさんあるからやっぱり生きようと思えるようになりました』って書いてくれてるんですね。また、びっくりするのがこれは小1なんですけど『私は生まれてこなくても良かったんだと思っていたけれど、この絵本を読んでもらうとやっぱり私は生まれてきて良かったんだと思いました』と書いてくれてるんですね」

いろんな悩みがたくさんあって死にたいと思っている感想がとても多くて、それから「悩んだ時に相談する」ということを知らない子が多いことが驚きです。
ただ、こうした授業は全ての学校で行われているわけではありません。『カーくんと森のなかまたち』の絵本を、夢ら丘さんとともに制作した吉澤誠さんのお話です。

吉澤誠さん
「学芸大などの調査では、99%の学校が心の健康状態に問題もつ生徒がいると回答している。問題意識があることは分かっているんですね。で、そういう心の病気を扱う授業を必要だと答えた学校は8割以上あるんだけれども、実際実施しているのが3割なんです。じゃ、その5割は一体何を教材に使ったらいいか分からないわけです。どういう授業をしたら分からない。ただ、絵本だと親しみやすくて、とっつきやすい。ですから、そこを取り入れていただければなと思ってるところなんですね」

今の国会では、学校での自殺予防に努めることが盛り込まれた自殺対策基本法の改正案が成立する運びとなっていまして、夢ら丘さんや吉澤さんは先月、馳文部科学大臣を訪ね、自殺予防教育について要望を出しました。

「カリキュラムの義務化というか、年間1時間でも自殺問題とか心の健康のための時間を割いてほしいと言いに行きました」
「子供たちは命の大切さについて学ぶ機会はすごく多いんですけど死にたくなった時に、あるいは悩みを抱えた時にどうすればいいかということを教わっていないんですね。やはり小さいうちから年に1時間でもそういった自殺予防教育を義務付けて、たくさんの子供たちが救われるように祈っています」

日本では10代から30代までの死因のトップは自殺です。そのため、小学校から命の大切さを教えることは重要ですし悩みを相談できる環境づくりも急がれます。子供のいじめや自殺は大きな社会問題ですから、こうした絵本の読み聞かせなど、心の健康や命に関わる授業を少しでも取り入れてほしいですね。

担当:進藤誠人