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大学進学を目指す障害者のための受験案内誌▼人権TODAY(2019年3月16日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「大学進学を目指す障害者のための受験案内誌」です。

障害のある学生が気になる受験情報を掲載

どこの大学にどんな障害のある学生が在籍しているか、入学試験や、大学の授業においてどのような配慮がなされているかなど、大学進学を目指す障害のある学生にとって気になる情報を載せているのが『大学案内障害者版』です。
この『大学案内障害者版』を発行している「全国障害学生支援センター」の殿岡栄子さんに伺いました。

「全国障害学生支援センター」の殿岡栄子さん

受験の時、印刷されている受験問題を読んで、鉛筆を持って解答するという形が一般的ですが、そうしたことに対応が難しい学生とか、入学後、授業を受ける際に、聴覚障害があって先生の講義が聞こえないとか、車いすに乗っているから大学の設備が使えないとか、いろんな障害によって配慮しなければいけない内容というのがみんな違って出てくる。どのようにして大学と話し合いながらその自分の配慮を受けてより良い学生生活を送れるかっていうことについての相談や情報提供を行っています。

「全国障害学生支援センター」代表の殿岡翼さんと、殿岡栄子さん

大学の入学試験では、公平性を担保しつつ配慮を行うことが障害者にとって必要となってきます。大学入学後も、設備面でのバリアフリー、授業で補助者が付けられるかどうかなど、学生生活で障害当事者の懸念を少しでも解消できるよう情報を提供しています。
最新の2019年度受験用のものは、A4サイズで680ページほどの厚さがあります。高校や図書館などでの購入が多いようですが、もちろん個人でも購入することができます。

大学案内障害者版(2019年度受験用)

全国すべての4年生大学を対象に調査

全国に800以上ある4年生大学すべてを対象に、インターネットを通じて質問に回答してもらい、データを完成させています。
項目は現在200項目ほどあります。人それぞれ障害が違うように、多くの人の疑問をカバーするには、どうしてもそのくらいの項目は必要になるのだそうです。

調査を始めた当初は、配慮をしているという事例がほとんどなく、調査に対しても「答える義務はない」と拒否されることも多かったといいます。また、個別の配慮の実績はすでにあるにもかかわらず、すべての学生に同じクオリティのサポートを約束できないという思いから、明確な回答を渋る大学も多かったといいます。
もちろん、団体が行っている調査は大学側を追及するためのものではありません。大切なのは、より多くの人に学ぶ機会を提供するために、障害のある学生たちがどのような環境を求めているのかを大学側に知ってもらうことです。調査項目を見て、具体的な支援内容に気づき、大学の中に専門の部署を設置するケースも増えているそうです。

当事者だからこその共感、非当事者だからこその気づき

『大学案内障害者版』を発行している「全国障害学生支援センター」スタッフは、様々な障害がある当事者7人とボランティアから成ります。
当事者スタッフが、調査内容を考え、実際に調査の依頼をし、結果をまとめて一冊の案内誌にしています。
お話を伺ったスタッフの殿岡栄子さんは全盲です。同じくスタッフで、団体の代表を務めるご主人の殿岡翼さんは脳性麻痺による肢体障害があります。
様々な障害のある当事者スタッフがいることについて、殿岡栄子さんはこのように話します。

障害が違っていても苦労していることは同じなんだ、思いは同じなんだとか、逆に、障害が違うと思ってもみなかった苦労をしていたんだとか、いろいろなことが見えてきたんです。情報も直接、障害当事者の手で提供して、とにかく大学進学を目指す後輩たちに同じ思いをさせたくない。

大学案内障害者版を使って行きたい学校を決定

この『大学案内障害者版』で受験する大学を選び、進学をした人にも伺いました。
脳性麻痺のため生まれつき肢体障害のある宮地めぐみ(みやじ・めぐみ)さんです。
宮地さんは、この案内誌を見て、行きたい学校を数校に絞り込み、実際に大学見学をして、受験する学校を決めるという方法を取りました。

父親がインターネットで大学を探してくれている時にたまたま目にしたのがきっかけだったんですけれども。その大学案内の中から行きたい大学を選びました。何校かピックアップして、オープンキャンパスに実際参加してみて、学校の雰囲気とかも肌で感じてみて、目でバリアフリーの状況を確認した上で、最終的に受験をしたのは、1校だけだったんですけど、その受けた1校に合格して進学しました。

大学案内障害者版を利用して受験校を決めた宮地めぐみさん

配慮のある大学への進学を考える前に、自分が行きたい大学選びを

団体としては、この案内誌はあくまでも「きっかけ」として活用してほしいといいます。
スタッフの殿岡栄子さんはこのように話します。

あなたにとってこういう選択肢を大学に提示すれば配慮を受けてもらえるんだよと。あるいは、配慮を受けてもらえなかったとしても自分で動かしていけるんだよということを伝えたかった。配慮があるから大学に行くわけじゃなくて、大学に行くという目的をもってほしい。勉強でも遊びでも友達でもいい。行きたい大学も、配慮のあるなしに関係なく、自分で決めてほしい。
そこの大学に配慮がなかったら、自分が求めていけばいい。その法的根拠ができたのが差別解消法なんですよね。

調査項目は法整備や補助器具などの技術進歩などに合わせて見直しています。ほとんどの大学で当たり前になってきた項目については適宜削除し、代わりに、近年理解が進んできた発達障害に関する質問を追加しているということです。
団体では、受験案内だけでなく、個別の相談や、障害を抱えながらも大学進学を果たした学生たちの体験談をまとめた冊子の発行も行っています。

全国の4年制大学すべてを網羅。質問項目は200以上に及ぶ

全国障害学生支援センター
住所:〒252‐0318 神奈川県相模原市南区上鶴間本町3‐14‐22 田園コーポ3号室
電話:042-746-7719
FAX:042-705-6040
URL:http://www.nscsd.jp/
MAIL:info@nscsd.jp
活動時間:月曜日~木曜日の10時~16時

(取材報告:TBSラジオ・ディレクター 瀬尾崇信)